2012年03月19日

ピアノの話36 フクヤマモジュラーピアノアクションの修理 ハンマーフェルト貼り付けとバットセンターピン全交換及びブライドルテープ全交換 2012.03.17

「フクヤマピアノ…」、何と懐かしい響きなのでしょうか。今はもうそのピアノはありませんが、昔実家で弟が使ったのがこのメーカーのピアノでした。私もそうでしたが、我が弟は芸術に興味を持ち、私は習わなかったのですが、弟は年少よりピアノや書道を習い、直ぐに頭角を表しました。親馬鹿?の父母は、何とこの弟に当時としては大金が必要であったピアノを買い与えたのでした。勿論月賦(ローン)であり、その月々の払いのために、母は働き(パート)に出たのでした。後年、私がピアノ調律を職業に選んだのも、このピアノの存在が大きく、その修業時代には、このピアノで随分勉強させて貰いました。更に、この当時の一年余りの間には、私は生まれて初めてピアノ演奏を習いました。初歩のバイエル教則本を終えただけでしたが、私の職業の充実に於いて、何かしらの得るものがあったと今は思っています。

1、モジュラーピアノのハンマーバット(右)とアップライトピアノのハンマーバット(左)との大きさの比較
ハンマーバット
同一なのは下部のフレンジ(回転軸の部分)のみ、バット本体やキャッチャー(右端)までのシャンク(棒状)の長さも短い。勿論、ここにアップライトのハンマーシャンクは無いが、ハンマーシャンクの長さの差異は更に大きい。

2、ハンマーフェルトの剥がれの手当て
ハンマーフェルト剥がれの修理
ハンマーフェルトの付け根の部分が剥がれる故障は、古いピアノによく見掛けるもの。どんな接着剤でも良いが、接着剤を入れたら糸などで縛り圧する。乾いて強固に接着したら糸を外し、接着剤のカスをナイフで取り除く。


3、センターピン交換(スティックとガタツキの修理)

@バットフレンジセンターピンのスティック
センターピンスティック
バットスプリングは正常なのに、全く元に戻らない激しいスティックである。しかも、これが全鍵に亘ってこの状態にある。これでは全く用を成さず、このピアノは演奏困難な状態となっている。従って全88鍵分のバットフレンジのセンターピンの交換が必要となる。

Aセンターピンの種類、3種の番手と直径(太さ)の数値
センターピンの番手
左:#20(1.250mm)、中:#20.5(1.275mm)、右:#21(1.300mm)
このフクヤマモジュラー型のバットに使われているセンターピンの番手は#19乃至#19.5であるからして、交換用はそれよりやや太いセンターピンを使う。何故なら、センターピンホール(穴)のブッシングクロスの質量は変わらないのであるから、同じ太さのセンターピンを入れては後にガタツキの原因になるからである。リーマ(穴抉り工具)でブッシングクロスを抉り(こじり)、穴を僅かに広げ滑りを改善し、ピン味を確認し、やや太いセンターピンを入れるのである。

このピアノでは、大体、以上の三種があれば、事足りる。

Bセンターピン交換の手順
一方ごとにガタツキとピン味(抵抗)を確かめる リーマで抉る 両方に通しピン味を確かめる

T.片方ずつホールとピンの相性(ガタツキと抵抗)を確認し、やや抵抗のある一番適当な番手を選ぶ。
U.片方ずつリーマで抉り、ピンを入れてピン味を確かめ、滑りがあり抵抗もある最良のピン味が得られるまで何回も繰り返し、それを作り出す。
V.両方にピンを入れ、指で押して更にピン味を確かめる。

フレンジをバイス(万力)に挟んでガタツキを確認する
W.最後にフレンジをバットに取り付け、フレンジをバイスに挟み、ガタツキの確認をする。


4、モジュラー型ピアノのブライドルテープ全交換

@アップライトとモジュラーのブライドルテープの比較
U型とM型のブライドルテープの比較
写真で見る通り、モジュラー型のブライドルテープはアップライトに比べかなり短い。新しいブライドルテープに交換するには、この短い寸法でテープ部分をカットしなければならない。

Aブライドルテープ切断定規の調整
定規のピンを抜く 見本に合わせて定規ピンを打ち込む
新たにモジュラー型ピアノ用にブライドルテープ切断定規を調整する。ピンを抜き、見本に合わせて新しくピンを打ち込む。

Bブライドルテープの切断
切断
新品のブライドルテープをモジュラー型サイズに切断する。全88本、狂いない正しい寸法で断つ。

因みに、ピアノの話17のブライドルテープ全交換と、ピアノの話21のセンターピン全交換も参考までにご覧ください。





posted by 三上和伸 at 23:29| ピアノの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

間奏曲528 春の実感、「春ですね!」 2012.03.19

沈丁花
一昨日昨日と打って変わって今日は太陽が素晴らしい! 春ですね! 我が庭の沈丁花は未だ蕾ですが、今日あたり、花開くかしらネ。この写真の沈丁花は、昨日、横須賀の実家から妻が失敬したもの?。イエイエ、母に頼んで手折って貰いました。帰途に就いた昨日の車内でも、そして今現在のこの部屋の窓辺でも、清冽な香りが溢れかえりました。今私は春の実感に酔っています。
posted by 三上和伸 at 07:32| 間奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする