2013年09月21日

私の歳時記 2013.09.21(旧暦葉月の十七日) 今宵は立待月

 先程六時半頃に月は昇りました。今宵の月は十七夜の月、立ち待ちの月です。昨夜は焦れて待った十六夜の月、今宵は少し待ち慣れて立って待つ月、立待月。月待ち人も気持ちに余裕が出て来るものなのでしょうか。私も余裕綽々で、今し方ベランダに降り確認しました。大分右肩(方)が欠けてきました。何か寂しい気が致します。それが嫌で段々月見に情熱を燃やせなくなるのですね。減っていくのは辛いですものね。明日の月の出は七時を過ぎます。そしてもっと欠けます。でも仰ぎましょう…、空模様は心配ですが…。明日は居待月です。
posted by 三上和伸 at 21:45| 私の歳時記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ピアノ曲を聴きましょう10 Nちゃんに贈った二枚目のCD・Famous Piano Music 2013.07.13

 音楽を骨の髄まで愛する三上家では《私は》、たとい孫のNちゃんが外孫《因みに我が家に内孫が生まれる可能性は多分ゼロ》であろうとも、音楽好きになる事を望んでいます。勿論、無理やりに音楽家の道を押し付ける積もりは毛頭ありませんが、是非、歌《最初は次女ママKさんが歌ってやって、その内、少年少女合唱隊に入れたい、歌は素晴らしい》と一つの楽器《初めはKさんが手解きして、ゆくゆくは夏さんに本格的にピアノを…、ピアノは音の並びを覚える絶好の楽器》を嗜《たしなむ》んで欲しいものです。何故かと言えば、本当の意味で音楽を知れ《理解する》ば、その人の人生に大きな力《助け、私がその例》となるからです。音楽を始めとする芸術は、人の心を育てます。Nちゃんの心に、善と正義、勇気と忍耐、希望と信頼、そして博愛が芽生えれば、Nちゃんが愛情深い幸せな一生を送る糸口が見付かると私は信じています。私はそれをNちゃんに授ける一助がしたい…、そのために、その機会が巡ればその度に、私はクラシック音楽のCDを送ろうと心に決めています。

 過去にNちゃんに贈ったCDは、生まれる前の胎教の目的でKさんに贈った数枚と、今年3月にNちゃんに直接?贈った“パニス・アンジェリクス”の一枚がありました。あの時のNちゃんの反応が素晴らしく、Kさんの印象も良かったので、今回は是非ともピアノ小作品の有名どころを聴かせたいと想いました。7月のある日、私は横浜西口のCD屋に立ち寄り、吟味の末、“Famous Piano Music”のタイトルを持つピアノ小品集を選びました。これには全13人の有名ピアノ曲作曲家による全20曲のピアノ小品が並んでおり、現代の優秀なピアニスト達の演奏で収められています。

◎曲の紹介
@夜想曲 グリーグ
これは北欧のショパンと呼ばれたグリーグが、生涯に亘って書き溜めた抒情小曲集六十六曲の中の一曲です。ノクターンの名を持つ夜のムード溢れる曲ですが、パリに住んだショパンのような都会趣味と陶酔はありません。その代わり、僻地ノルウェーのグリーグだからこその素朴と清潔があります。あくまでも透明で清澄なピアノ音、そこには北国の冷気さえ漂っているようです。暑気の日本には打ってつけの音楽かも知れません。気持ちだけでも涼しくなります。

Aトロイメライ シューマン
トロイメライと言えばシューマン、シューマンと言えばトロイメライ、シューマンの代名詞となったピアノ小品の傑作です。白日夢と訳されるトロイメライ、夢幻の世界を彷徨ったシューマンならではの音楽詩、正にピアノの詩人でなければ書けない異次元の世界です。この別世界の雰囲気を幼いNちゃんはどう受け止めるのでしょうか?、興味津々ですね。因みに子供の頃《小学生》の私はこの曲と衝撃の出会いをしました。旅先で眠れぬ夜を過ごしていた私にある人が、このトロイメライのオルゴールを掛けてくれました。その何とも言えぬ摩訶不思議な夜のムード、しかも得も言われぬ心を融けさせるメロディー、その突然の衝撃にますます眠れなくなり、魔界に放り出されたかの如く、私は鳥肌を立てながら呪文のようにそのメロディーを口ずさんでいました。「♪ららーん♪、♪ららららららーん♪、♪らららららららららららららーん…♪」。それでもそれからは、そのメロディーだけが私の耳に焼き付いて離れず、肝心の「トロイメライ」の名を知るのは、私が中学生になってからでした。

Bワルツ7番 嬰ハ短調 OP.64-2 ショパン
ショパンのワルツは、ヨハン・シュトラウスのウィンナワルツのように直接踊りと係わるものでなく、ピアノ曲の一つの様式として存在しています。ですから繊細で夢見るようにあどけなくセンチメンタルで、そこに個人の私的感情を色濃く表現しています。少し練習すれば?弾けるように?なりますよ。熟年の皆様も是非どうぞ!…、眠っているピアノが役立ちます。

C子犬のワルツ 変ニ長調 OP.64-1 ショパン
このCDでは前の嬰ハ短調と順番が逆さまに並べてありますが、この曲の方が先で作品64-1です。ショパンの恋人《愛人》ジョルジュ・サンド《女流作家、恋多き男装の麗人》が飼っていたサンドの愛犬がモデルで、サンドの強い勧めでショパンに書かせたと言うのが真相のようです。それでも流石は当代随一のピアノの詩人・ショパン、子犬の仕草や動作を巧みに表現して、人気絶大なワルツに仕立て上げました。

D愛の夢 リスト
初め歌曲として発表されたものを人気にあやかってピアノ独奏用に編曲した作品。歌曲として人気が高かったため、リストは同じ元手を使い、柳の下の二匹目のドジョウを狙ったと想われます。まあリストに限らず、プロの作曲家は売らんがためにあれこれ方策を試みるものです。結果、願ったり叶ったりで、楽譜も演奏会チケットも売れに売れました。リストは王様のように大邸宅《御殿》に住んでいました。

Eエリーゼのために ベートーヴェン
ベートーヴェンは、己の事を力強く男っぽい《男らしい》作曲家だと自負していました。「英雄」、「熱情」、「運命」、「皇帝」など、勇ましい副題を持つ曲がありますが、それらがそのベートーヴェンの性格を如実に証明してみせています。ところが、女心を取り入れた愛らしい曲も書いたのですね…、心ならずも…。 惚れた弱みでしょうか、センチメンタル・オトメチック大嫌いなベートーヴェンも遂にタブーを犯してしまいました。エリーゼが誰なのか?本当はテレーゼではないのか?、諸説あり、未だに研究者は詮索に余念がありません。しかし私はそんな事はどうでも良く、哲人・ベートーヴェンも普通の男の一面を持っていた…、女性に恋い焦がれてメロメロだった…、その事が判るだけでもこの曲の価値は高いですね。愛情の籠った良い曲です。

F即興曲 OP.90-2 シューベルト
全4曲の内の第2曲で、変ホ長調・アレグロの曲。快速のテンポで進むその推進力は中々気持ちの良いもの…。即興曲《アンプロンプチュ》の名に相応しく、今生まれたかのような澱みない生命感で溢れています。ところがこの即興曲の名は、シューベルトが考え付けた名ではなく、出版するに当たって楽譜出版商のハスリンガーが当時流行り出したこの曲名を選び、名付けたのでした。それでもシューベルトはその名が気に入ったそうで、問題は無く、そのお陰で即興曲の名は今日までも生き残りました。その後の作曲家では、ショパンやフォ-レ、ラフマニノフ等が即興曲の名を借りて名曲を残しています。

G前奏曲「雨だれ」 ショパン
バッハの平均律クラヴィーア《長短各十二の調性に基づき、二十四のプレリュードとフーガからなり、それが二巻ある大作》に感化されて書いたと言われるショパンの二十四の前奏曲《プレリュード》集OP.28は、勿論、一巻でありフーガはなくプレリュードだけですが、バッハと同様に長短各十二の調性に基づいて二十四曲《但し、調性の並びはバッハと異なる》が書かれました。ロマン派の時代に、発想力・構成力で、音楽の巨人・バッハに挑戦したその志の高さは、大いに評価されるべきでしょう。この二十四の前奏曲の中の第十五番変ニ長調ソステヌートが「雨だれ」で、全編を通して雨だれを模した持続音が鳴り、それをなぞるように曲は展開されて行きます。冒頭は雨だれも静かで、そこに甘い懐古の歌が歌われます。優しい歌で恋の希望と愛の安らぎに満ちています。しかしその安息も長くは続かず、雨だれも力を増して悔恨の嵐が吹き荒びます。仲違いをしたのでしょうか、恋人は去って行きました。それでもやがて、雨も小降りとなり雨だれも優しく時を刻み出します。するとあの人は帰って来ました。優しいあの歌を歌いながら…。美しくも力強い曲、雨の日の詩情が溢れます。正に雨だれが誘う抒情詩、傑作です。

H四季〜トロイカ チャイコフスキー
1875年、あるロシアの雑誌が四季に纏わる詩と音楽を月一回、ひと月毎に連載する企画を立てました。詩は何人かの詩人に割り振って著して貰い、その詩を基に作曲を担当したのがチャイコフスキーでした。その年の12月から翌年の11月に掛けて1曲ずつ全12曲のピアノ独奏曲が発表されました。そして10年後の1885年に全12曲を纏め、組曲「四季」OP37aと題して出版されたのでした。トロイカはその内の11月のページで紹介されましたが、この頃のロシアは旧歴を使っていたらしく、旧暦11月と言えば新暦の12月頃、ロシアの大地には充分の積雪がある頃。ですから、トロイカが11月に紹介されたのは肯けます。と言うのも、トロイカとは三頭立ての馬橇(そり)の事を言うからです。勿論雪のない夏には馬車仕立てとしますが、本来は雪道を走る馬橇の事なのですよ。旧暦11月(新暦12月、真冬)にトロイカはピッタリ正解なのです。因みに、その他の月も紹介して置きますね。一月「いろりばた」、二月「謝肉祭」、三月「ひばりの歌」、四月「松雪草」、五月「五月の夜」、六月「バルカローレ《舟歌》」、七月「刈り入れ人の歌」、八月「収穫」、九月「狩りの歌」、十月「秋の歌」、十一月「トロイカ」、十二月「クリスマス」。トロイカは長閑(のどか)で爽快な気持ちのよい作品です。ロシアの雪原をひた走る三頭立ての馬橇・トロイカ。その颯爽とした姿を彷彿とさせます。蹄の音も静かながら小刻みに聴こえてきます。

I五月の夜 パルムグレン《1878〜1951》
「フィンランドのショパン」と言われたセリム・パルムグレン、近代フィンランドを代表するピアニストにして作曲家です。日本のピアニスト・舘野泉などの紹介により、近年一般に知られるようになりました。グリーグの項で述べたショパンの影響は、このパルムグレンに於いては尚も強く、ショパンの書いた「二十四の前奏曲」を踏襲する同じ名の作品を残しました。生涯の作品の大半は3分にも満たないピアノ小品群(300曲)ですが、北欧の風土を色濃く映したピアニズムは地味ながらも魅力的です。白夜であろうフィンランドの五月の夜、そこにショパンの熱病はありませんが、仄かにやる瀬無いパルムグレンの慕情があります。「五月の夜」、そこからは常に心地よい風が吹いていました。

J亜麻色の髪の乙女 ドビュッシー
フランスのピアノ曲の良さが際立つ名作。繊細で都会的、極めて上品な表現の中に仄かな人間味が漂います。一点の汚れない無垢な官能性と奥床しい精神性が絶妙のバランスで表現されているのです。これがフランスですね、これがドビュッシーですね。

Kスペイン舞曲「アンダルーサ(アンダルシア風)」 グラナドス
イサーク・アルベニスの後輩に当たるエンリケ・グラナドスは、アルベニス同様にスペインの民族音楽を芸術の域に押し上げた作曲家です。スペインにはアンダルシアのジプシーフラメンコやアラゴンのホタなど、地方地方に特有の舞曲のリズムがあり、グラナドスはそれらを活用して、ピアノのための十二のスペイン舞曲を書いたのでした。その内の一曲で第五番ホ短調の「アンダルーサ」は、アンダルシア風の意味合いがあり、スペイン南部のジプシーフラメンコのリズムを活用したものです。従ってギター的書法が顕著で、本来はピアノ曲ながら、ギター版も人気が高く頻繁に演奏されます。小気味良いリズムと情感溢れるメロディーには、南欧の異国情緒が横溢しており、聴けば臨場感たっぷりで、まるでスペイン旅行をした気分?になります。酔わせてくれます。

Lトルコ行進曲 モーツァルト
当時のヨーロッパの人々にとって最も異国と想われていた国はオスマントルコでしょうか。イスラムの超大国で、長年西側ヨーロッパ諸国はオスマンの侵略(ウィーン包囲等)に苦慮してきました。しかしこの頃は、もう既に脅威の侵略国家では無くなっていたので、異国趣味も手伝って一種のトルコブームがあったと言われています。評判を気にする創作家やエンタティナーは、そんな趣味や流行にも敏感に反応します。モーツァルトもその例外ではなく、当時の異国趣味を反映させた曲、トルコ行進曲を作曲したのでした。トルコ行進曲は単独で演奏される機会が多い曲ですが、本来はピアノソナタ第11番イ長調K.331の第3楽章に納まっている行進曲です。このK.331はモーツァルトのピアノソナタの中では最も有名な曲ですが、それは取りも直さずこのトルコ趣味のお陰なのです。それでも、確かにこの曲は素敵ですが、もっと素晴らしい曲が前に二つ並んであるのです。そうです、第一楽章のバリエーション(変奏曲)と第二楽章のメヌエットです。まあ、好みの問題をとやかく言うのは何ですが、私は調子の良い曲(トルコマーチ)も好きですが、もっと優しい人間の心模様を表した曲(バリエーションやとメヌエット)の方が好きなのです。聴いていて音楽の温かさで心が満たされます。因みに面白い事を教えます。実はこの曲はピアノソナタと名が付いていますが、ソナタ形式を使った楽章はないのです。第一楽章が緩やかなバリエーションの緩叙楽章、第二楽章は舞曲のメヌエット、第三楽章がトルコマーチのロンド(形式)。不思議なソナタですね。

M春の歌 メンデルスゾーン
メンデルスゾーンの「春の歌」はピアノ小品集の「無言歌集」の中に収められている一曲です。この無言歌、調べてみましたら“無言歌”とはメンデルスゾーンの造語だそうで、メンデルスゾーンは中々言葉遊びの上手い粋な男だったようです。ピアノ独奏で言葉は無いけれど歌うような音楽だから無言歌、ドンピシャリの鋭い閃きですね。曲は6曲ずつ8集あり、更に1曲付け足して全49曲が遺されており、それはメンデルスゾーンの全生涯に亘っています。演奏は比較的容易く、子供や女性でも楽しめるように工夫されています。「春の歌」は実にメンデルスゾーンらしいピアノ曲、屈託がなく伸び伸びとして優雅、まあ、幸せな上流階級の音楽です。

N幻想即興曲 ショパン
ショパンの作品の中でも特に有名な曲。音階を多用し、劇的で華やかな印象を与える一部と三部、甘い追憶を歌った名旋律の中間部。正に完璧な作品、これ以上望む事はありませんね。

Oアダージョカンタービレ・悲愴より ベート−ヴェン
ピアノソナタ第8番ハ短調「悲愴」の第二楽章であるアダージョカンタービレ、緩やかに歌うようにの演奏指示記号をそのままこのピース(楽曲の一部分)の題名としています。アダージョカンタービレの名の通りに美しい旋律が歌われていきます。何時聴いても心に染みる歌、この歌を聴いて反応しない人は滅多にいないでしょう。音楽の原点と言ってよい希代の名旋律です。「悲愴」と言う名はベートーヴェン自身が付けました。第一楽章に悲愴の名に相応しい序奏を付けるなど、ベートーヴェンとしては自信を持って発表した曲であり、事実、ベートーヴェン作曲のピアノソナタの最初の傑作でありました。

P夜想曲(ノクターン)第2番変ホ長調 ショパン
少々ショパンが多過ぎますね。まあ、娯楽性の高いピアノ曲の最右翼ですから致し方ないと思いますが、貴族的サロン趣味はもう止めて欲しいですね。だからここでバッハやブラームスを入れても良かったのではないですかね。バッハならフランス組曲辺りから、ブラームスはラプソディなんかが良いですね。このCDに重力が加わります。音楽に人間の重さ加わります。

Q泉のほとりの妖精 カスキ
高音域の右手を使った伴奏で中音域のメロディーを左手で歌わす、透明で神秘的な雰囲気を醸し出しています。伴奏が水を表すのか、妖精の飛翔を表すのか良く判りませんが、中音域の柔らかなメロディーは、自然と人の調和を促し、清澄な祈りへと誘うようです。美しい曲です。ヘイノ・カスキはフィンランドの作曲家、パルムグレン同様に巨匠シベリウス後のフィンランドを代表する作曲家です。三者に共通する特徴はやはりフィンランドの自然への愛なのでしょうか。冷涼な音に熱い愛、それはフィンランドそのものです。

R月の光 ドビュッシー
誰もが知っている世紀のピアノ名曲、美し過ぎると言っても全く過言とは無縁の言動でしょう。一点の汚れもない音の美しさ、音楽の天才にしか書けないピアノ曲です。しかもそこに人間の仄かな情もあります。美しいものに涙してしまう感覚(センス)があるのです。もうこれは音楽の一つの理想像…

S練習曲〜別れの曲 ショパン
またショパン、でもこれは素晴らしい。別れ、それは生きる人間の避けて通れないシーンの一つ。好む好まざるを超越して、去らなければならない者、見送らなければならないも者。だから泣いても笑っても叫んでも無言でも、良い顔をして別れたいですね。相手が元気になるような…
posted by 三上和伸 at 16:12| ピアノ曲を聴きましょう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

新・野の花5 霧ヶ峰八島ヶ原湿原の花々 2013.08.09

キンミズヒキ ヨツバヒヨドリ ハクサンフウロ ホソバノキリンソウ ノアザミ コオニユリ ゼンテイカ(ニッコウキスゲ) ツリガネニンジン ウド チダケサシ キオン カラマツソウ ノリウツギ フシグロセンノウ ヤナギラン ヤナギラン ヤマホタルブクロ マルバダケブキ マルバダケブキ ハバヤマボクチ ヨツバヒヨドリとアサギマダラ エゾカワラナデシコとコウリンカ エゾカワラナデシコ オトギリソウ メタカラコウ オミナエシ ノコギリソウ シモツケソウ アサマフウロ ワレモコウとアキアカネ 鎌ヶ池 クガイソウ シモツケソウとアキノキリンソウ ノハナショウブ マツムシソウ ヤナギランとシシウド 

近年、鹿の食害に悩まされている花園は限りがなく、ここ霧ヶ峰もその例外とはならず、往時の賑わいはまるでなくなりました。あのニッコウキスゲが黄金色に埋め尽くした車山肩でさえ、近年は固まった群落は数えるほどで、淋しいものがありました。そんな訳で、恐らくは美ケ原もそれなりだろうし、仔牛には会えませんが、王が頭ホテル宿泊不可をいい事に、美ケ原は回避して、八島ヶ原湿原に向かう事にしました。そして着いて歩き出した途端、それは正に正解でした。そこには百花とは言わずとも数多の野花が密度濃く彩って繁盛でした。それは何故かと問えば、そうです、鉄で出来た鹿を寄せ付けない手強い針金の柵があるからです。このだだっ広い湿原はこの湿原を一回りする長大な鉄柵に囲われていたのです。今やここまでやらなければ自然の花園は守れません。天敵のいない鹿はそこまで殖え栄えて、根こそぎ美花麗花を食い散らかしてしまうのです。

1、キンミズヒキ(金水引)
キンミズヒキ
バラ科キンミズヒキ属
黄色の花穂が金色の水引(紙糸の紅白の水引に喩えられた別種の花)のように観えたからキンミズヒキの名になりました。良く実る草で、実には鉤(カギ)のような棘(トゲ)があり、獣毛や人の衣服にくっ付き、その獣や人によって遠くへ運ばれます。そしてそこで落下着床し、発芽して根を張ります。進化の過程で身に付けた凄技の持ち主です。

2、ヨツバヒヨドリ(四ツ葉鵯) 
ヨツバヒヨドリ
キク科ヒヨドリバナ(フジバカマ)属
フジバカマの仲間、花も姿形も良く似ています。低地に咲くヒヨドリバナの一種で、こちらは高原に咲くヒヨドリバナです。普通のヒヨドリバナ(葉が互い違いに生える互生)との違いは葉の生え方で分かります。この草は3枚から5枚(普通は4枚)の葉が茎の同じ部分から輪生します。因ってそれが四ツ葉の名の元となりました。そしてヒヨドリの由来は、普通のヒヨドリバナが野鳥のヒヨドリの鳴く頃(秋深まる頃)に咲くからで、それに因んでこの名になったと謂われています。

3、ハクサンフウロ(白山風露) 
ハクサンフウロ
フウロソウ科フウロソウ属
低地に生えるゲンノショウコの仲間、この仲間には亜高山に生育する種が幾つかあります。その一種がこのハクサンフウロで、ゲンノショウコの仲間である以上、この草にもお腹を調整する薬効があります。加賀の白山で最初に見付かったので名にハクサンの冠が授けられましたが、何処の亜高山や高原にも存在しているハイカーには馴染みの花です。ささやかな薄紅が登山の疲れを癒してくれます。

4、ホソバノキリンソウ(細葉の麒麟草) 
ホソバノキリンソウ
ベンケイソウ科マンネングサ属
葉が厚い多肉植物。この仲間の若い芽は、茹でて水に晒すと、お浸しや和え物にして食べられるそうです。見るからに美味しそうですね。鮮やかな黄色が中国の伝説上の動物・麒麟を連想させる事により、キリンソウの名を頂きました。小さい草ですからこの名は身に余る光栄ですかね。

5、ノアザミ(野薊) 
ノアザミ
キク科アザミ属
アザミの仲間で春咲き種はこのノアザミだけなのですが、それを言えるのは下界での話…。高原では殆どのアザミが夏に咲きます。同時期に同じ所で春咲き秋咲きが咲いているのです。私も区別は出来ないのですが、まあ当て感でノアザミと申しておきましょう。我等素人はそれでいいですよね。でもこの色、この濃い薔薇色はどなたでも感じ入るものがおありのようですね。ここでもこの花を前にして、溜息をつかれる方が多かったのでしたから…。鮮やかで美しい色です。

6、コオニユリ(小鬼百合) 
コオニユリ
ユリ科ユリ属 別名:スゲユリ(菅百合)
鬼百合の小型版と言う事で小鬼百合の名が付きました。鬼百合の葉の付け根にある珠芽(むかご)がこの小鬼百合にはなく、鬼百合に比べ全体に優しい風情があります。そしてこの百合の重要な特質としては、食用百合として農業栽培をされていると言う事です。暮れになるとお節料理の材料としてこの百合の百合根(球根)が販売されているのです。私は過去にこの百合根を購入して植え、肥料をやり球根の分球を促し、苗を増やした事がありました。数球の肥大球根があれば、直ぐに50株位の苗はできます。小作りにして一株に一二輪咲かせると、野の風情を演出できます。美しいですよ。 

7、ゼンテイカ(禅庭花)別称:ニッコウキスゲ(日光黄菅)
ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)
ユリ科ワスレグサ属
禅庭花とはいい名ですね。禅道場の庭に咲く花、何やら禅の奥義を象徴しているような花に思えてしまいます。でも我々にはニッコウキスゲと呼んだ方がお馴染みですね。ゼンテイカと言ったって知る人ぞ知る花の名で、一般には通じませんよね、それでも和名はゼンテイカなのですよ。スゲの呼び方では、この種にはもう一つユウスゲ(夕菅)があります。こちらは夕に花開く夜の花、ニッコウキスゲは朝咲いて夜萎む昼の花です。どちらも残念ながら一日花なのです。スゲとは本来カヤツリグサ科スゲ属の総称で、節の無い茎が特徴ですが、どうも一般の植物でも節の少ないス−とした茎を持つ種は、スゲの名拝借に傾いたように思われます。キスゲの一直線の花茎もスゲに似ていると思われたのでしょう。兎に角大群落を形成する種・ニッコウキスゲ、亜高山の草原の代表選手?です。

8、ツリガネニンジン(釣鐘人参)別称:トトキ(父木)、シャジン(沙参) 
ツリガネニンジン
キキョウ科ツリガネニンジン属
釣鐘人参は読んで字の如く、釣鐘に似た花を持ち、朝鮮人参のような白い根をした植物の事…。日本では数種類が観察され、低地から高山までそれぞれが適地に棲み分けています。このツリガネニンジンは低地から亜高山帯に掛けて生育し、夏から秋にかけ薄紫の愛らしい花を咲かせます。別称のトトキはツリガネニンジンの若芽を指し、主に山菜での呼び名となります。その謂れは二三あり、一つに、余りにも美味しいので、トッテオキの菜っ葉から“トットキ”になり、訛って“トトキ”になったと言うもの。もう一つは、この茎を手折ると白い乳液状のチチ(乳)に似た液が出て、それをチチ(父)に当てはめ、またそれを方言にして(トト)、その木だから“トトキ”、まあ、こちらは「こじつけ」のような気がします。シャジン(沙参)はこの草の漢名・生薬名との事。根を咳止めや痰切りに使います。精力増強にもね、フフフフ…。これは一目瞭然、分かり易いですね。

9、ウド(独活) 
ウド
ウコギ科タラノキ属
夏、山でこんな姿の花を見付けたなら、それはウドです。これは有用且つ美味なる草で山菜として珍重されます。素晴らしい芳香を有す若芽、たといその若芽が育ってこんな花が咲いたとしてもその蕾や葉は食べられます。ウドの大木になったとしても、茎の髄はセロリのように美味しいそうです。またこれは軟白栽培(地下壕で日を当てずに育てる)で育てる事も出来、春の香味野菜として珍重されています。山で太陽を浴びたウドを山ウド、軟白栽培をされたものを白ウドと言い、元は同じウコギ科タラノキ属のウドです。何故「ウドの大木」か、ウドは大きく育つ草で、大きく育ったウドは、若芽として食用にならず、かとって草ですから木材にもなりません。何の役にも立たないからウドの大木と卑下されてきました。されどされど、先ほど述べたように育ったウドも木材にはなりませんが、それなりに美味しく食べられます、「ウドの大木」は中らずと雖も遠からずの諺(慣用句)ですね。人間に置き換えてもね。どっかこっか役に立っているのが人間です。でも悪人には不適合ですね。−(マイナス)が過剰ですから…。そしてもう一つ、当て字の独活(どくかつ、どっかつ)の事。これは中国名・漢方生薬名で、根を利用して生薬とし、発汗を促して解熱・鎮痛に効能があります。

10、チダケサシ(乳茸刺し)
チダケサシ
ユキノシタ科チダケサシ属
園芸種のアスチルベの親になった種。円錐花序の花穂に小花が群がり咲き、地味ながら美しい…。株により白から淡紅色と色幅があり、直ぐ傍にあっても色の濃淡が際立って素晴らしい…。この種は硬い茎が特徴で、昔の村人はこの茎を何本か手折って山に入り、*乳茸を採ってはその茎の串に刺してゆきます。沢山採れてもう串に収まらなくなれば、村人は山を出て家路に就きます。出汁にしたり焼いて食べたり、その夜は乳茸三昧で大御馳走…。山の珍味に舌鼓を打ったのだそうです。

*乳茸(本来はチチタケ、転化した地方名でチタケ乃至チダケ、切ると乳液が出るので乳茸) ブナ科(橅、楢、椚)の林内に生える茸で、色は茶色から赤色、椎茸のように傘の開いた形をしています。食感は今一つだそうですが、強い香りがあり、特に栃木県で珍重され、郷土料理の名物“ちたけそば”が有名だそうです。またヨーロッパでは普通に食べられている茸だそうですよ。

11、キオン(黄苑) 
キオン
キク科キオン属
キオン属はキク科最大の属だそうで、世界で約2,000種が存在しているそうです。その2,000種の内の一種っがこのキオンで、その属名にその名が用いられているのです。言わば代表選手?ですね。黄色の花は、高原では紫と並んで多数派ですが、キリンソウやアキノキリンソウに比べこのキオンは、やや精彩が無く地味かも知れませんね。

12、カラマツソウ(唐松草)
カラマツソウ
キンポウゲ科カラマツソウ属
フフフフ、美しい…、久方振りですね、これ程美しいカラマツソウに出会えたのは…。この日は幸運でした。自然のお花畑でも比較的少数派の花ですからね、絶好の咲き頃を観られるのは幸運と言うしかありません、ツイテいました。花が唐松の葉に似ているのでカラマツソウ、色は違えどもその愛らしい印象はピッタリですね。自然の造形の妙味を感じない訳にはいきません。ホント、美しい…、フフフ…

13、ノリウツギ(糊空木)
ノリウツギ
アジサイ(旧ユキノシタ)科アジサイ属
昔はユキノシタ科アジサイ属でしたが、近年の分類学上ではユキノシタ科の樹木はアジサイ科に変更になりました。従って草本類はユキノシタ科、木本類はアジサイ科に分けられたのですね。野生のアジサイの中では取分け白花の美しい種類で、野に在りて清々しい存在です。私は好きですね、白い紫陽花、ホンに美しい…。ところでノリウツギとは変わった名です。糊に空木です。でもこれにもチャンと理由があるのですね。昔、和紙を漉くには糊は欠かせなく、糊の役目として、このノリウツギの樹液を使ったのだそうです、だからノリ…。そしてウツギは、この花があの卯の花(空木)の白い花を思わせたのでウツギ…。ここに糊空木の名が完成しました。

14、フシグロセンノウ(節黒仙翁)
フシグロセンノウ
ナデシコ科マンテマ(旧センノウ)属
節黒仙翁、変な名ですがこれもこの花を特徴づける意味があります。先ず節黒とは、茎の節が黒っぽいので節黒、これはそのものズバリ、間違いの無いところですね。問題は仙翁、仙には仙人の他に俗界を離れた人や優れた・美しい等の字義(意味)があります。また翁は、父親や男の年寄りを指しますが、意外なところでは、鳥の首筋の羽と言う字義があります。これらを鑑みて私は、この花の名は“茎節の黒い、鳥(トキ)の首の羽のように美しい色をした花”と言う意味合いが成り立つと考えました。如何でしょうか?考え過ぎですかしらね? 好陰植物のフシグロセンノウ、樹木の少ない原野の八島ヶ原では少数派ですが、僅かにある木の木陰に涼むように咲いていました。美しい、大好きです。

15、ヤナギラン(柳蘭)別名(英米名):ファイアーウィード(火事雑草の意、アラスカ等で森林火災の後最初に進入する草) 
ヤナギラン ヤナギラン
アカバナ科ヤナギラン属
淡紅紫色の美しい花、群生すればそれは見事な光景を魅せます。高原の夏の女王と申しても、少しも偽りでなく、強い存在感を見せ付けます。私はどれ程この花を愛した事でありましょうか。この花に会いたくて会いたくて私は家族を引き連れ、毎年のように高原を訪れたのでした。そして私のこのような趣味がすっかり娘達にも浸透して、二人の娘もこの花のファンになりました。それは私の大きな誇りの一つ、そこに私がこの世に生まれた価値が存在すると確信しているのです。この麗しい愛着を子が引き継いでくれた。生まれて良かったと本心で喜べるのです。

16、ヤマホタルブクロ(山蛍袋)別名:提灯花 
ヤマホタルブクロ
キキョウ科ホタルブクロ属
名の由来は幾つかあります。一つに、別名の提灯花で分かる通り提灯のような花、ところで昔は提灯を“火垂る(ほたる)袋(ふくろ)と呼んでいました。ですからこの花もホタルブクロとなりました。もう一つは、もっと粋です。花の中に蛍を忍ばせて遊んだ記憶によりその名となりました。このヤマホタルブクロはホタルブクロの変種で、萼片にホタルブクロのような反り返りがないのが特徴です。誠に風雅な花、野の花らしい優しさを感じさせ、侘しささえも漂わせています。蛍袋、アイラヴ…

17、マルバダケブキ(丸葉岳蕗)別名:マルバノチョウリョウソウ
マルバダケブキ マルバダケブキ
キク科メタカラコウ属
葉が丸く山岳に生える蕗なので丸葉岳蕗、変わった名ですが、分からなくはないですね。しかしこの草の別名のマルバノチョウリョウソウとはどんな意味謂れがあるのでしょうか。得体が知れないですね。“チョウリョウ”とは何なのか、広辞苑で調べてみました。先ず、跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)の跳梁が出てきましたが、「はねまわること」、「悪人などがわがもの顔でのさばること」とありました。でもこれはね、結び付きませんね。大柄な花ですが、我がもの顔でのさばってはいませんよね。次に「張良」、前漢創始の功労者、秦を滅ぼし漢を統一に導いた一人。日本の能の題材にもなった偉人。もう一人が張陵、後漢の人で道教の源流と目される五斗米道(ごとべいどう)の創始者。これ以外にチョウリョウの名で広辞苑には掲載はなく、この二人の内のどちらかが、ナガバノチョウリョウソウの名の由来となったのでありましょう。しかし確たる証拠は見付かりませんでした。

18、ハバヤマボクチ(葉場山火口) 別名:ヤマゴボウ(山牛蒡)
ハバヤマボクチ
キク科ヤマボクチ属
ハバヤマは葉場山と書き、草刈り場のある草山を言います。つまりススキの原野で、茅葺屋根に使う茅(ススキの事)を採取する山を指します。そのススキの間にこの草もあるので、ハバヤマ…。そしてボクチは火口と書いてホクチ(ボクチ)と読ませますが、これは火種をうつし取る材料の火口(ほくち)を意味し、この草の葉を乾燥させたものが火口に使われたから、この草は…ボクチと呼ばれるに至りました。ところで、この草の繊維を蕎麦に練り込む蕎麦作り方法が昔から信州の飯山辺りで伝えられています。私は多分食べてないと思いますが、繊維が作り出す独特の腰と咽喉越しを生む蕎麦が出来上がるそうです。一度、飯山に行って試してみたいですね。勿論、これは山菜であり全草食べられます。若芽を始め、茎も根も美味しいそうです。別名のヤマゴボウは、牛蒡に似て美味しいこの草の根を食べていた民が名付けたものです。今これらを鑑みれば、このボクチは昔人の知恵を育て上げた宝の草だったと言えますね。

19、ヨツバヒヨドリとアサギマダラ
ヨツバヒヨドリとアサギマダラ
毒・アルカロイドを利し、己の種の存続を図る蝶・アサギマダラ。その浅葱の色と言い、黒の縁取りに浮かぶ斑模様と言い、実に神秘的な蝶です。その毒が回った?美しい翅は、日本の国蝶の候補に上がった程で、妖しい魅力を持っています。美しい花と共にこの蝶・アサギマダラを撮れた事は、今回の旅の大きな収穫でした。幸運に感謝します。

20コウリンカ(紅輪花)
エゾカワラナデシコとコウリンカ
キク科キオン属
エゾカワラナデシコと隣り合って咲いていたコウリンカ。オレンジ色の花ですね。舌状花が細く長すぎるため垂れています。その様が車輪のように観えるので、輪花。紅のように美しいオレンジ色だから紅輪花。まあ、何とでも名は付けられます。でもこの風情、余り見掛けないですよね。個性際立つ菊族の花ですね。

21、エゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子) 
エゾカワラナデシコ
ナデシコ科ナデシコ属
蝦夷と付くからには近似種のカワラナデシコより北国の花と言う事が出来ます。中部地方から北に咲きますが、中部地方では高原の花です。二種の違いはささやかなもの、取り立てて説明する程の事ではないのですが、チョイとお耳に入れましょう。花と茎の間には萼筒(タネの出来る所)と言う部分がありますが、その長さが違う(蝦夷の方が短い)。そして花の付け根の苞葉の数(蝦夷2対、カワラナデシコ4対)が違います。それでも、蝦夷もカワラナデシコも花の美しさに遜色はありません。どちらも素晴らしい微香を持ち、撫でたくなる美しさ。

22、オトギリソウ(弟切草) 
オトギリソウ
オトギリソウ科オトギリソウ属
毒草のこの草から秘薬を作り出した鷹匠の兄弟がおったそうな…、仲良く暮らしておったのだが、ある日、弟が禁を犯し、その秘伝を人に漏らしたそうな…、怒った兄は止むなく弟を切り殺したそうな…、哀れ弟の血飛沫は返り血となり、兄の身体を染めたそうな…。やがて兄はそれを悔い、オトギリソウに化身したそうな…、されどその遺恨の血飛沫は、この草の葉に永遠に残ったそうな…、黒い斑点となり、禍々しく… 

失礼しました、これはオトギリソウ伝説を私が脚色したものでお恥ずかしい… でも大体こんな話なのだそうですよ。その葉の黒い斑点の正体とは、暗赤色の色素・ヒペリシンだそうで、油点となって葉の模様となっています。

23、メタカラコウ(雌宝香) 
メタカラコウ
キク科メタカラコウ属
近似種に、より大柄な雄宝香(オタカラコウ)がありますが、これはそれより小さく優しい風情があるので、雌宝香(メタカラコウ)と名が付きました。またその宝香とは、この属の草の根に竜脳(香料や防虫剤に用いる)に似たよい香りがあるので、宝の香り・宝香と呼ばれるようになりました。この地では陽光降り注ぐ湿原にありましたが、上高地では梓川沿いの林下で良く観られます。水質地の半日影を好む草のようです。

24、オミナエシ(女郎花)別名:アワバナ(粟花)、オミナメシ(女飯)、チメグサ(敗醬) 
オミナエシ
オミナエシ科オミナエシ属
秋の七草の一つ、下界では七月に花開きますが、山深い田舎では立秋頃に咲きます。開花は早いですが花期は長く秋の花なのです。名の由来は別名にも記した通り、オミナメシ(女飯)が訛ってオミナエシになったもの…。昔の身分の低い女子供の主食は黄色い雑穀の粟で、その粟がオミナエシの花に似ていた為に女の飯のようだと喩えられ、オミナエシの名が付いたのでした。別名の粟花の謂れも同様のものがあります。また漢字で女郎花を当て嵌めたのも理由は同じで、女性に因んだ花と言う事ができます。ここでの女郎とは、遊女の女郎ではなく、一般的な女性を意味するお女郎さんを指していると想われます。そしてチメグサですが、これはオミナエシよりも遥か昔から使われていたオミナエシの古名で、漢字では敗醬と書きます。腐敗した醬油の意味ですよね。そうです、オミナエシには不快な臭いがあるのです。昔人は見事にこの悪臭を言葉に定め、この草に名を授けました。

25、ノコギリソウ(鋸草)別名:ハゴロモソウ(羽衣草)
ノコギリソウ
キク科ノコギリソウ属
名の謂れは単純で、葉の縁に細かい裂け目があるので、ノコギリソウの名になりました。別名のハゴロモソウは花の風情からの名付けのようで、白衣のようなふわりとした花が羽衣にみえたのでしょう。

26、シモツケソウ(下野草)別名:クサシモツケ
シモツケソウ
バラ科シモツケソウ属
下野の国に多くあった落葉低木のシモツケに似るので、クサシモツケと呼ばれ、やがてシモツケソウの名となりました。紅紫色(薔薇色)が特徴で、群生すればそれは見事な薔薇色の花園になります。惚れ惚れするような華やぎを作り出します。

27、アサマフウロ(浅間風露)
アサマフウロ
フウロソウ科フウロソウ属
浅間山山麓を中心に中部地方に産するフウロソウ。勿論ゲンノショウコの仲間ですが、この属ではゲンノショウコは最小ですが、このアサマフウロは最大の花です。色も濃くて見栄えが良く、最も美しいフウロソウと言っても過言ではないでしょう。嘗て娘達が小学生の頃、家族仲間連れ立って、ここで出会ったのが最後でした。今回とうとう念願を果たし再開できました。準絶滅危惧種であり、その存続は心配されますが、また会おう、それまでお互い元気でいよう、御機嫌よう! 私は深い満足の内に花の自生地を退きました。

28、ワレモコウ(吾亦紅)とアキアカネ(秋茜)
ワレモコウとアキアカネ
バラ科ワレモコウ属      
この時期、何処の草原湿原に行っても見掛けるのがこの風景ですね。どんなトンボでもこうした突起物には止まりたがるようで、このコンビは被写体として格好の対象です。何時観てもいいですね、こんな時ですね、地球地ていいなって思えてしまうのは…。ワレモコウは「我(吾)もまた紅」と言い張っている花だそうで?、臙脂色も当然紅色の一種なのですが、このワレモコウは少し赤黒いのを気にしている風、コンプレックスですかね?可哀想…。それに引き換えアキアカネは、夏の間は草原で呑気にお遊戯中、英気を養っているのかな? それでも九月になれば、里に下ります。恋して連れ立って水に卵を生むのです。見掛けますよね、田圃で良く… 老熟した雄は真っ赤に変色。正に秋、茜に変わります。

29、八島ヶ原湿原、鎌ヶ池 
鎌ヶ池
初めは湖沼だった所が、土砂の流入や水生植物の遺体などで埋め尽くされると、やがて葦や蒲の生える湿原に変わります。その内の高冷地の湿原は、植物が腐らず泥炭に変化するため、次第に堆積物の泥炭層に覆われ、周囲より高さを増して行きます。すると周囲の土砂や水の流入が止まり、湿原は貧栄養化が進みます。貧栄養化が進めば樹木や草本は生育する事が出来ず、水苔の天国となります。これが高層湿原です。八島ヶ原湿原は、泥炭層8メートル余りの発達した稀に見る高層湿原と言う事が出来るそうです。鎌ヶ池の先には水苔の高層湿原が広がっています。私達が愛でている草花は、この高層湿原の縁に咲いている花達なのですね。鎌ヶ池は昔ここが湖沼だった証と言ってよいのでしょうか。湿原との端境地に澄んだ水を湛えて、悠久の時を刻んでいます。

30、クガイソウ(九階草) 別名:トラノオ(虎の尾)
クガイソウ
こうした穂の形をした花の集まりを穂状花序と言いますが、何故かトラノオと呼ばれますね。余り虎の尾には似ていませんが、他に適当な動物もいないようなので、立派なトラノオをお借りしたのですね。クガイソウの九階は、輪生する葉が何段も付くので、一桁最大数の九を貰いクガイソウとしたようです。葉も花も美しい、大好きな草花です。トンボも止まり易そうですしね。

31、アキノキリンソウ(秋麒麟草) 別名:アワダチソウ(泡立ち草)
シモツケソウとアキノキリンソウ
キク科アキノキリンソウ属
こちらは総状花序の花。沢山の小花が群がって咲き上る賑やかな花です。別名でピンとくるでしょう、あの悪名高き秋の雑草・セイタカアワダチソウの親戚です。でもね、このアキノキリンソウ、とても上品で愛らしいでしょ。同じ黄色ですが、あの猛草?・セイタカの下品さ思えば、月とスッポン、美女と野獣、玉と石。セイタカ大っ嫌い!、アキノキリンソウ大好き! 私の偽らざる心境です。

32、ノハナショウブ(野花菖蒲) 
ノハナショウブ
アヤメ科アヤメ属
そこら辺りの庭園で栽培されている花菖蒲がありますが、その親に当たるのがこの種、野花菖蒲。あの豊満な子の花菖蒲に比べ、この野花菖蒲はスリムにしてスレンダー、見事にシェイプアップされた京紫の美人です。私の個人的趣味としては、魅惑のグラマーの花菖蒲より、痩身の貴婦人の野花菖蒲を愛します。スッキリとした野性味が源氏名を持つ人工美に劣る筈はありません。シンプルイズベスト、花にも当てはまります。

33、マツムシソウ(松虫草、山蘿蔔《ヤマラフク・山大根の意》) 
マツムシソウ
マツムシソウ科マツムシソウ属
松虫とは、昆虫の松虫の事を指し、松虫の鳴く頃に花開く事で付けられ名と謂われていますが、そうでもなさそうです。この花の形がある物に似ていたがために名付けられたとも謂われています。それは歌舞伎や順礼で用いられる叩き鉦の事だそうです。案外、こちらに真があるような気がします。また山蘿蔔は山の大根の意で、松虫草の根を指し、漢方で皮膚病の治療に使われるそうです。

高原の秋を代表する花で、その薄紫の群生は、他のどんな花よりも美しい…

34、シシウド(猪独活) 
ヤナギランとシシウド
セリ科シシウド属
遠くからでもその巨体は良く目立つもので、「ああ、高原にきたのだな〜」と感慨に耽るのに丁度良い草ですね。ウドに似てウドより大きく不味くて人の食べ物にならないので、イノシシに食べさせて置けと言う事でシシウド(猪独活)の名が付いたと謂われています。まあ、そんなところかなと思ってしまいますね。

◎夏も終わり、今は秋の半ば、お恥ずかしながら、やっとこの夏のページを閉じる事が出来ました。まあ、調べて書く調べて書く……。この繰り返しですから遅筆な私には可なりの難行でした。終わりました。ありがとうございました。
posted by 三上和伸 at 12:31| 新・野の花 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最後のダイエット日誌187 78.25kg 21.75% 約8,000歩 2013.09.21

◎今朝の天気 晴れ 気温 室内:27.5℃ 外気:26.5℃ 粗無風

*前夜 体重:78.5kg 体脂肪率:20.0%

*今朝 体重:78.0kg 体脂肪率:23.5%

◎平均値 体重:78.25kg 体脂肪率:21.75%

◎ウォーキングの記録
距離:6,900m 時間:70分 歩数:約8,000歩
posted by 三上和伸 at 07:00| 最後のダイエット日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする