ここの所、立て続けに入院生活を送ってしまいましたが、その辛い中、家族とは異なる愛情を注いでくれる人が何故か現れて、私を幸せにしてくれました。まあ、相愛では無くて私の勝手な片思いなのですが、私の場合、素敵な女性に巡り合う強運を持っているようです。皆さまはふしだらと思われますでしょうが、これは一方的なプラトニックの恋愛。若い女性にそっと心を通わせる、これは掛け替えのない人生の楽しみです。
前回(7〜8月の入院)は病棟スタッフの女性二人で、一人は彼の懐かしの女優・服部妙子似の淑やかな中年女性。もう一人はTBS・Nスタに出ているスタイル抜群の女子アナ・小林由未子似の若い人(女)。
服部妙子さんは大人しく人見知りで、声を掛けず仕舞いでした。でも発される喋りは女らしいイントネーションが感じられ、仮令妙子さんが観えずとも、ドアーの向こうに妙子さんの気配を感じたものでした。配膳などの仕事姿を、何時も唯々眺めては楽しんでいました。そのはにかんだ笑みが、えも言われぬ愛おしさ、陶然と眺めていたものでした。
小林由未子さんはシャキシャキした元気もので、私と気が合いました。冗談も解すようで、私が「そのユニフォーム、可愛いね…」と褒めたところ、由未子さんは、ユニフォームの胸元を反らして「そう、有難う、ところで私は?、私をどう思う?」、私はもじもじしながら「もっと可愛いです」。由未子さんは破顔一笑、手を振りながらその場を離れました。私の瞼には由未子さんの揺れる胸元が鮮明でした。
今回の入院の一期一会の女性は、うら若きナースの方、若い頃の前田愛似。手術室から這う這うの体で逃げ帰った私を優しく迎え介抱してくれました。「今日の昼間担当(日勤)の〇〇です、よろしくお願いいたします」。「あっ、こちらこそよろしく…」、「今日の予定ですが、歩く練習をしましょう。それでこれからバルーンのパイプを取りましょう」、「えっ!、好いよ!、もっと後で好いよ!」、「でも…、(それも私の仕事だから…)」。『こんな若く可愛い娘に、そんな事させられない、恥ずかしい…』、でもこの娘にはそれを譲ろうとしない強い意志が感じられました。透き通った円な瞳がその行為を私に納得させようとしている風でした。とうとう私は諦めて手術着を解き下半身を曝しました。手術用のパンツをハサミで裂き脱がせ、私の一物に突き刺さったバルーンパイプを指にし、抜き取りました。「口で大きく息をしてください」と言いながら手馴れた手つきでそれを抜き去りました。驚きましたね。何の感情も持たず冷静沈着、爽やかな目で私のバルーンパイプを処理してくれました。そして一息ついた頃に歩行の練習を補佐してくれました。私の袖を掴みゆっくりとゆっくりと私の歩みを補助してくれました。
夕方夜勤のナースと交代する時間に、彼女はもう一度私を訪ねてくれました。「もう直ぐ夜勤と交代するので、何かありますか?」、「あっ、今日はどうも有難う、恐縮です。お世話になりました」、「はい、お大事に…」、「もう帰るのですか?」、「ええ、帰ります」、「気を付けてね」、その私の最後の愛の言葉に彼女は微かに反応し、笑みを零しました。好い時間が流れました。一期一会の愛らしいナースは、それから暫くして私のベッドから離れました。恐らくもう二度と会えないだろう美しき娘…さようなら…