昨日観たポツンと一軒家は日蓮宗の信仰登山が行われている七面山の宿坊での話でした。七面山は、日蓮宗の総本山である身延山久遠寺に属した法華経の聖地です。まあ、久遠寺の奥の院のそのまた奥の院としての価値がある日蓮宗・信仰登山の拠点です。南アルプスの一峰であり、標高1989mの巨大な山で、その頂上直下に身延山の守護神・七面大明神を祀る本堂の敬慎院(けいしんいん)があります。
南アルプス林道に入り、早川町角瀬が七面山登山口であります。そこから暫く車道を行くと羽衣に行き当たります。家康の側室であったお萬の方が登った事から女人禁制が解かれたと言われ、ここの白糸の滝の前に、お萬の方の銅像が設えられています。ここからが徒歩で登る本当の登山道で、敬慎院までは50丁目(片道5時間)あります。
その36丁目にあるのが、大森林の中にある今回のポツンと一軒家の目的地・晴雲坊(せいうんぼう)で、探索人とカメラマンの二人三脚で訪ねました。歩き始めて最初にあったのが二丁目の神力坊で、そこに可愛い?女将さんが居て、彼女に麦茶の接待を受けていました。その女将が教えるところによると、目的地は晴雲坊と言う宿坊で、そこは95歳のお婆ちゃんとその娘さんが経営してるとの事でした。好い情報を手に入れで、勇んで修験道を登りだしました。この女将、今回のポツンと一軒家が自分の所・神力坊で無く、残念頻りの風情で、それがまた可愛く映っていました。
途中では下山して来る信徒や強力と言う運搬人夫とも出会い、また大人しい地元民・ニホンカモシカにも出会いました。この4人の強力を使うと、何と往復30万円も掛かるそうな、二人は呆気に取られていました。それでも、そうまでしても信仰登山をしようとする奇特なお大尽もいる訳で、信仰と言う謎に満ちた力は、恐るべきものと感心させられたのでした。
36丁目の晴雲坊のお婆ちゃん、95歳で心を籠めて客あしらいしていました。そのポジティブさ、美しい…。泣きばかり入れるネガティブな我が母に見せてやりたい思いでした。好い歳を取るとはこう言う事と私は理解しました。そのポジティブとネガティブの別れ道、シッカリ見据えて歳を取りたいものですね。