2020年04月22日

ピアノ曲を聴きましょう20 ブラームスのピアノソナタ第3番ヘ短調Op.5 2020.04.21

1853年(20歳)は、ブラームスにとって画期的な年になりました。数年前に知り合ったジプシー系のヴァイオリニスト・エドワルト・レメーニと共に、ドイツ各地を”どさ回りの旅”に出ました。この頃のドイツは、どんな芸術家や職人だろうと、一回は各地を回り、修行の旅をしました。ブラームスも世に出ようと、それに倣って、青雲の志を胸に、故郷ハンブルクを旅立ちました。幾つかの街を流し、最初に頼ったのが、レメーニの知り合いで、ファノーファーのオーケストラのコンサートマスターをしていたヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムでした。ブラームスの終生の友となったヨアヒムとの出会いがこの時だったのでした。

二人はヨアヒムに紹介された、ワイマ−ルにあるフランツ・リストの館を訪ねます。しかし、最下層の出であったブラームスは、リストの金満な生活ぶりに敷居の高さを感じ、レメーニを残してそこを去ります。音楽も水と油の違いがあり、飽くまでもエンターテインメントに徹するリストに比べ、ブラームスは古典主義者であり、音楽を第1に考える絶対音楽の立場を取る作曲家を目指していました。率直なブラームスはこの時、音楽理論で、リストに失礼を働いたらしいのです。後年のレメーニの述懐によれば、出来上がったばかりのリストのピアノソナタロ短調を聴いている折、ブラームスが居眠りをしてしまったのだそうです。まあ、これはレメーニの与太話とされていますが、あながち、全くの嘘とは思えません。何故なら、死ぬまでブラームスは、リストの音楽を否定していました。

途方に暮れたブラームスは「困ったら、俺の所に来い!」と言ったヨアヒムの言葉を思い返して、暫くはヨアヒムの厄介になりました。その後、「シューマンを訪ねよ!」の言葉を胸に、ロベルト・シューマンが住むライン地方を徒歩旅行しました。その間、作曲していたのがこの第3ピアノソナタでした。そして到頭、勇気を振り絞って、ブラームスは一人でシューマンを訪ねたのです。運命の出会でした。シューマンは妻クララとともに、ブラームスの作品(ピアノソナタ1番・2番、ピアノ用スケルツォ、歌曲など)を絶賛し、音楽雑誌に紹介文を書いてくれました。更に、楽譜出版の手引きまでしてくれました。この恩に報いるために、シューマンの死後もクララを支え、子沢山のシューマン家の世話を焼きました。クララが演奏旅行で稼いでいる間、ブラームスが家政婦とともにシューマン家の子供たちの面倒を見たのです。クララから預かった家計費を、家計簿までつけて、見事に使い切ったブラームス、大作曲家の思いもよらない楽しい逸話があります。

それからは日夜、シューマンの目指した憧れの古典主義にのっとった、偉大な作品を生み続けました。古典を規範として、そこにロマンの魂を融合させる道、この新しい音楽を創るために、20歳から44年間、休まず働き続けました。このブラームスの新しい道は、成功しました。バロック・古典・ロマンと続く西洋音楽をここで総括したのでした。
第1楽章 アレグロ・マエストーソ(堂々と快速に)
ヘ短調 3/4拍子 ソナタ形式
巨大なソナタ形式の第1楽章、ここでは後年によく見られるモットーがあります。このモットーは各楽章に現れ、全体の統一感を形作っています。懐疑的な第1主題、甘く盛り上がる第2主題、提示部は2回繰り返されます。展開部は打って変わってロマン的情緒に沈潜します。途中1回は盛り上がりを見せますが、直ぐに深い情緒に沈みます。まるで後年の充実した諦観の理念を彷彿とさせます。再現部は激しく力を籠めて進んで行き、完璧な処理でコーダに結びます。モットー・提示部・展開部・再現部・コーダ、圧巻のソナタが展開します。これがソナタ形式です。

第2楽章 アンダンテ・エクスプレッシーヴォ(歩く速さで、表情豊かに)
変イ長調 2/4拍子 三部形式
この楽章にはある詩が掲げられています。シュテルナウ(オットー・インカーマンのペンネーム)の「若き恋」と言う詩作品で、「黄昏は迫り 月影は輝く そこに二つの心、愛で結ばれ 互いに寄り添い、抱き合う」と詠ぜられる詩に感化され、この楽章は出来ました。ありきたりの詩ですが、ブラームスに掛かると、生々しい告白の芸術に生まれ変ります。正に、若き恋の赤裸々な告白の音楽となります。ブラームスは時より、偶に、こんなエロチックな音詩を作る事がありました。

第3楽章 アレグロ・エネルジーコ(力強く快速に) スケルツォ―トリオ ヘ短調
この第3ピアノソナタは異例の5楽章で出来ています。この第3楽章を真ん中にして、1楽章と5楽章が一対、2楽章と4楽章が一対となって、3楽章を中心にシンメトリーを形作っています。エネルジーコの用語の通り、激しく力感的で、奔放なスケルツォです。このソナタの中心・大黒柱の雰囲気が濃厚です。

第4楽章 アンダンテ・モルト
変ロ短調 2/4拍子 「インテルメッツォ・回顧」
第2楽章と連動している楽章、「回顧」の名のシュテルナウの詩がここでも掲げられています。ブラームス特有の追憶の音楽、ブラームスは己を顧みる事が好きなようで、生活はポジティブでしたが、芸術はネガティブだったようです。過去の偉大な芸術の研究をしたり、形式美の研究をしたり、それらを顧みる作品が多いですね。過去と現在を踏まえての未来の可能性、それを見詰めた(見据えた)作曲家、それがブラームスです。

第5楽章 アレグロ・モデラート・マ・ルバート(快速と中速、しかし自由な速さで)
ヘ短調 6/8拍子 ロンド形式
AーB―AーCーAーコーダの形式で進みます。別に数える必要は無く、音楽がこのように理論立てて作られている事が解れば、音楽鑑賞にも幅が出来ます。コーダ(結尾)はカノンを用いています。巨大なエンディングです。

ブラームスはこの3番で、一定の満足感を得られました。もうピアノソナタは必要ないと確信しました。今後はひたすらシンフォニーの復活に人生を賭けます。


posted by 三上和伸 at 22:27| ピアノ曲を聴きましょう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

間奏曲 麒麟がくる第14話 信長・道三、聖徳寺の会見 2020.04.22

三百丁余りの鉄砲隊を率いて聖徳寺(しょうとうじ)に来訪した織田信長。それを道中の小屋で見守った道三と光秀、道三はその偉容に度肝を抜かれました。会見の場では、信長の登場が遅れ、道三は立腹、しかし現れた信長は、美しい装束で包まれていました。信長は鉄砲と会見遅れを全て帰蝶の所為と正直に話しました。帰蝶が画策した水増しの鉄砲隊、美しい装束で道三を幻惑させる作戦、見事にその画策は当たりました。そして信長の弁、これからの戦は鉄砲が主力になると、百姓でも訓練すれば直ぐに鉄砲は撃てるようになると、信長は道三に力説するのでした。新しい戦に自信を見出す信長、道三の信長への覚えは、目出度いものになりました。

会見場から帰った光秀は寛いでお膳の前に…、母・牧と妻・熙子を前にして、飯を食いながら、会見の模様を喋ります。道三が信長を高く評価し認めた事を…。あんな嬉しそうな道三を始めて観た事などを…、捲し立てました。和やかな雰囲気になった所で、信長の妻になった帰蝶の話が…。「もし会見が失敗に終わったなら、信長様と戦になるかも知れぬと…、そうしたら帰蝶様は帰っていらっしゃる、そうしたら大変じゃ…」と牧が…。「そうですよ、帰蝶様は十兵衛(光秀)様がお好きでしたから…、私の里の妻木でもそれはそれは評判でした。何時か帰蝶様は十兵衛様の元にお嫁に行かれるのではないかと…」。ここで十兵衛は食っていた魚の骨を喉に詰まらせます。空かさず、熙子が盆を差し出し、「骨を取って差し上げます」。優しくて美しい熙子、惚れますね。木村文乃・熙子、大好き!

信長は雇った鉄砲隊を武器にして、今川と村木砦で戦い、勝利を果たします。「エイ、エイ、オー」と勝鬨を揚げる信長の狂気の目、恐ろしい…。信長・染谷将太、会見場と言い、村木砦の戦いと言い、見事な演技でした。そのサイコパスの危うい演技…、寒気がするほど素晴らしい…、第14回「聖徳寺の会見」は、染谷・信長の独壇場でした。
posted by 三上和伸 at 17:36| 間奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

私の歳時記 旧暦弥生の卅 今日は弥生の晦 2020.04.22

晦の月を観ようと、早起きをしましたが、早過ぎて、眠くて眠くて待てませんでした。結局、30分も経たない内に、再び寝床に入ってぐっすり、まあ、写真は撮れなかったですが、健康第一、これで好いのだ!

そして今日4月22日は「アースデイ」、地球環境を考える日です。孫の世代に綺麗な地球を残す。私達の絶対の責務です。
posted by 三上和伸 at 10:00| 私の歳時記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

前奏曲 ☁|☀、降水確率10%、北風、19℃ 2020.04.22

今の所☁、5時頃に最低気温、今は少し上がって12.6℃、寒くは無いですが、太陽が無い分、気持ち的には寒々しい…。それでも昼前後には太陽も顔を見せる予報です。

今日は、コロナ封鎖された義母のために、お米などの食品や生活用品などの買い物を、お使いして差し上げる予定です。これからひと歩き(散歩)してから出掛けます。お年寄りは心細いですよね。我が母は、老健ですので安心ですが、面会謝絶ですので、きっと寂しがっている事でしょう。物質的な辛さは何とかなっても、精神的な辛さはどうにもならない、コロナ禍、厳しいものがあります。
posted by 三上和伸 at 08:10| 前奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする