ベートーヴェンが尊敬するナポレオン・ボナパルトをイメージして書いた交響曲。大荒れのフランス革命に翻弄されたヨーロッパでしたが、ベートーヴェンは英雄交響曲を書いて、フランス革命を総括しました。
生前(第五・運命を書いた後)に、「一番の自信作は?」と問われたベートーヴェンは、即座にこの英雄を示しました。「第五では無いのですか?」の問いにも、断固として英雄を上げたそうです。この先「第九」を作りますから、その時は「第九」と答えたでしょうが、この時点では、何と言っても「英雄」だったそうです。従って英雄は、ベートーヴェンの2番目の傑作と言う事ができますね。
ソナタ形式の権化の第1楽章、葬送行進曲の沈痛な響きが胸を締め付ける第2楽章、狩りの雰囲気が横溢する第3楽章、変奏曲の名人・ベートーヴェンが残した雄大なバリエーション・フィナーレ、全楽章、文句なく英雄的であり、巨大な傑作です。
私的(非公開)には1804年の12月に演奏されましたが、公的(公開)には1805年の4月7日に、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場で初演されました。