2008年06月29日

今宵の名曲この一枚11 ブラームス

  今宵の名曲11
 ブラームス オルガン曲集
 クリストフ・アルブレスト(オルガン) [ヨアヒム・ヴァーグナー製作・聖マリア教会オルガン・旧東ベルリン] 1978.4.24-27録音
ブラームス

 コラール前奏曲とフーガ「おお悲しみよ、おお心の痛みよ」 イ短調WoO.7
 フーガ 変イ短調WoO.8 
前奏曲とフーガ イ短調WoO.9
前奏曲とフーガ ト短調WoO.10
 この当時、ブラームス(24歳頃)は対位法の研究に没頭し、その成果として以上のオルガン作品を作り出しました。またこの当時は恩師シューマンの精神の病からの死があり、これ等の作品にシューマンの死が色濃く投影されています。真摯で厳粛な深い悲しみの中に沈んでいます。

 11のコラール前奏曲OP.122
  第一番「わがイエスよ、私を導いてください」ホ短調
  第二番「最愛のイエスよ」ト短調
  第三番「おおこの世よ、私は去らねばならない」ヘ長調
  第四番「わが心は喜びに満ちて」ニ長調
  第五番「汝を飾れ、おお愛する魂よ」ホ長調
  第六番「おお、いかに幸いなるかな、信仰深き人々よ」ニ短調
  第七番「おお神よ、まことなる神よ」イ短調
  第八番「一輪の薔薇が咲いて」ヘ長調
  第九番「心より我は願う」イ短調
  第十番「心より我は願う」イ短調 原コラールは前の第九番と同じ
  第十一番「おおこの世よ、私は去らねばならない」ヘ長調
 死を目前にしたブラームス最後の作品です。この世への惜別の歌であり、ブラームス特有の美学・諦観に溢れています。聴く者を感動に導きます。

 父の日の数日後、我が娘より贈られたプレゼントのお金を携え、私は横浜ジョイナスのレコード店新星堂を訪れました。以前から欲しかったブダペスト弦楽四重奏団とヴィオラのトランプラ−が共演したモーツァルトの弦楽五重奏曲集(三枚組)と前回の今宵の名曲10で紹介したメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」を選び、暫く陳列棚を眺めていたところ、このブラームスオルガン曲集が目に飛び込んできました。それは旧東ドイツの国営レコード会社シャルプラッテン製作の原音の再盤と帯に記されており、私は迷わずこの一枚も買い求めました。メンデルスゾーンを最初に聴き、次にモーツァルト、そしてブラームスと順次聴いて行きましたが、初めはブログに掲載するのは「真夏の夜の夢」だけと決めていました。ところがブラームスのオルガン集が余りにも素晴らしかったので、ここに投稿する事となりました。こんな人生を真正面から捉えた音楽は一般的ではなく、このブログの場では似つかわしくないかも知れません。それは多少懸念される事かと想われましたが、しかし、この様な音楽も存在し、またそれを愛する人間もいる事を知って頂きたかったのです。人生の生き方として、人は何を頼りに何に希望を繋ぎ、生き抜いて行くのでしょうか? それは人それぞれに異なり、皆様もそれぞれ様々にお持ちの事でしょう…。私にも幾つかの支えと希望があります。一つは家族への愛、二つには自然への憧れ、三つ目は音楽(芸術)を享受する喜びです。私は心が荒むと心優しいモ−ツァルトを聴きます。そして生きている実感を味わいたくなると強い情熱のブラームスを聴くのです。この二人の諦観の涙に触れ、私は乾いた心を癒し、荒む魂を鎮めるのです。やがて心には一点の灯火が点り、それは次第に赤々と燃え盛り、明日を生きる希望となるのです。そんな精神がこのブラームスのオルガンの響きの中にもあります。ひたすら救いを求める善良な魂の渇望があり、そこに慈しみ深い愛が浮遊しています。
posted by 三上和伸 at 22:55| 今宵の名曲・音楽の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする