2008年08月23日

今宵の名曲・この一枚13 ヘンデル

今宵の名曲13
ヘンデル
ヘンデル 水上の音楽(ハレ版) 組曲第1番ヘ長調HWV.348 組曲第2番ニ長調HWV.349 組曲第3番ト長調HWV.350 
王宮の花火の音楽HWV.351(クリュザンダー版) 指揮;ネヴィル・マリナー アカデミー・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

 時代及び世の東西を問わず、時の権力者は風流風雅を好むものです。故に夏の暑さの盛りには舟遊びなどが行われて、涼を楽しむ行事が盛んだったのです。古の日本でも皇室や貴族は池に小舟を浮かべ、そこに雅楽隊を設えて音曲を楽しみ、夏の風雅を満喫したようです。そしてそれと全く同様に十八世紀のイギリスでも、時の国王ジョージ一世がテームズ川で舟遊びの行事を催し、涼を楽しんだのです。(1715/08/22)

 この時、音楽隊(オーケストラ)の楽曲を作曲したのがヘンデルであり、その曲こそがこの水上の音楽なのです。多勢の楽人を乗せた音楽隊の舟はこの壮麗典雅な楽を響かせ、国王の乗る舟に近づいて行きます。音楽好きの国王は大層驚き感激し大はしゃぎをし、この曲を大変気に入りました。国王のヘンデルへの愛顧は揺ぎ無いものとなり、ある理由で国王の機嫌を損ねていたヘンデルでしたが、ここで大いに認められて再びイギリス王室の音楽家として地位を確立したのです。音楽は自然の広大な空間に共鳴するように豊かに大らかにそして涼やかに流れ行きます。極めて外に向いた明朗闊達な音楽であり、ヘンデルの豪快な気質がよく表れた見事な作品です。私達も王族の気分となり、この曲を掛け心に舟を浮かべ聴いてみましょう。きっと貴方の窓辺にも涼しい川風が流れ来るでしょう。そしてふっと汗が引く事でしょう…。

 王宮花火の音楽は、当時の紛争の終結を祝う花火大会のために書かれたヘンデル作の野外音楽です(1749/4/27)。従って初めはブラスバンドのために書かれたものであり、当時は百本の管楽器が夜空に轟いたそうです。正に壮大なるパフォーマンスであり、華々しいイベントであったのです。一度この設定で私達もこのブラスバンド版を聴いてみたいものですね…花火を射ち上げる前の期待を込めた一興として…。その最高のスペクタクルが実現されたならば、歓喜は爆発し、話題騒然となる事は必至と思われます。是非、興行主の皆様、御検討をよろしくお願い致します。
 後にこの曲は作曲者自身の手によって演奏会用に編曲されました。今日、私達が聴いているのはこの編曲されたものであり、オーケストラで奏され、より豊麗な美しさに満ちています。
posted by 三上和伸 at 10:29| 今宵の名曲・音楽の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする