2008年10月21日

自然通信53 秋の湯ノ湖

 深まる秋、私達は紅葉を愛でようと奥日光の湯ノ湖を訪れました。紅葉とは不思議なもので単なる植物の自然現象なのですが、それを見た人間は大いに感嘆し心を動かします。単に美しいだけではない、植物の旺盛な活動を終える最後の精一杯の華やぎに、人は共感するのです。秋の短い日の中で世の無常を目の当たりにし、己に置き換えて恋慕うのです。それは生への切ない憐憫と思われます。

秋の湯ノ湖
 自然通信53 秋の湯ノ湖 栃木県奥日光 2008.10.18
 ここ数日の天気が余りにも好く、またNHKのお天気お姉さんの週末の予報も素晴らしく、私はこの日を置いて今年の今一度の天下の紅葉を楽しめる時は無いと早合点し、妻を伴い日光に出掛けてしまいました。朝五時に自宅を発ち、まずは世界遺産の東照宮とその周辺の神社仏閣に参詣し、神仏の加護を頂き、この旅の安全を祈願しました。宗教心を持たない私ですが、心静かに手を合わせていると何故か不思議な安らぎを覚え、晴れやかな気分になるのでした。日光金谷ホテルの美味しい昼食を取り、いざ勇んで紅葉狩りへと動いた途端、途中、まだそれ程色付いていないイロハ坂で恐ろしい渋滞に巻き込まれ閉口しました。やっとの事で明智平に辿り着き、その展望台から望んだ男体山の雄姿と華厳の滝の紅葉に、渋滞で荒んだ我が心根は癒されました。途中の戦場が原では巨大な唐松群がその枝先の隅々までを黄金に染め、威風堂々と並び立ち、その偉丈夫振りに私達は惚れ惚れと見惚れました。そして漸く午後遅く、本日の最後の目的地・湯の湖に至りました。高木には葉は少なく、渚の水際の低木が紅に色付いていました。温泉の混じった湖水は満々と湛えられ滑らかに滑り、辺りの山の静けさと呼応し幽玄の佇まいを見せていました。
posted by 三上和伸 at 23:17| 自然通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする