2008年12月31日

音楽の話1 大晦日 第九とレクイエムを聴く

 今年の大晦日は紅白歌合戦も格闘技も見る積りはありませんでした。それに確たる理由はないのですが、心がそれらを求めなかったと言う事です。今年はもっと温かいもの心を潤してくれるもので年を越したく思いました。
 まずN響の第九を聴きました。闘争の一楽章、それに続く熱狂的舞踏の二楽章、ベートーヴェンの力に満ちた論理性が展開されて行きます。ところが三楽章、美しい流れの中に甘い追憶と静かな祈り…、ベ−トーヴェンの新境地、苦悩の告白が述懐されます。そこには晩年のベートーヴェンの切実な辛苦と疲弊が感じられ心に響きます。しかし第四楽章で最後の力を振り絞り人類の共存を謳います。それは正義と善意に満ちていて極めて哲学的であり思想的です。ベートーヴェンはゲーテに影響を受けていて「俺は音の詩人になる」と述べたそうです。この第九こそはベートーヴェンが命を掛けた偉大な作品であり、真に音の詩人に値するベートーヴェンのベートーヴェン的音楽です。
 そんなベートーヴェンを聴いた後、もっと心を埋めたくて私はモーツァルトのレクイエム(鎮魂曲・死者のためのミサ曲)を聴きました。このレクイエムと言うジャンルは時々聴きたくなる音楽で、その事で言えば私は特異な音楽愛好家だと思っています。親族の命日や彼岸の折りにも良く聴きます。レクイエムは死者の魂を鎮める曲ですが、生者にも広く心開かれた曲です。極論すれば生者に慰めを与える音楽と言えます。このモーツァルトの八曲目の「涙の日」とそのアーメン終止を聴けば、私は涙と嗚咽なくして聴き終わる事はありません。十三曲目「祝せられたまえ」や終曲の「永遠の光を輝かせたまえ」を聴くなら、深い心の平安を得る事ができるのです。そしてそれから力を得て、私は再び生きる希望を輝かすのです。 

 万歩計便り(2008.12.31) 6321歩
 三日月と金星は大分接近しており、今夜は手を伸ばし中指と薬指を開きピースサインをした間隔にあります。明晩はおそらく月が金星より東に抜けるかも知れません。大変美しく、是非ご覧あれ!
posted by 三上和伸 at 23:52| 今宵の名曲・音楽の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする