2009年01月14日

音楽の話3 シューマン ピアノ五重奏

 シューマン ピアノ五重奏曲変ホ長調作品44
 昨年のクリスマスプレゼントに我が長女から貰ったものは、CD券(ミュージックギフトカード)でした。子供が成長し大人になると子供からプレゼントされるものが増え、反対にこちらからあげるものは極端に減りました。それは嬉しいような寂しいような、何だか面映ゆい気持ちであり、有り難い事ですが親の立場は益々なくなりつつあるようです。
 先日の仕事の帰りに、私はこのCD券を携え横浜新星堂を訪ねました。この時、新星堂は在庫一掃の半額セールを実施していました。それならばと雑然と棚に並べられた大量の品を哀れな老眼の目で必死に隈なく見定め、私は三組のCDを買い求めました。その一枚としてピアニスト、アルトゥール・シュナーベル(1882-1951)とプロ・アルテ弦楽四重奏団の共演したシューマンのピアノ五重奏曲を選びました。シューマンはブラ−ムスやモーツァルトに次ぐ私の大好きな作曲家で、特にピアノとピアノの入った曲目(協奏曲、室内楽、歌曲等)を気に入っています。このピアノ五重奏曲はピアノと弦楽四部が合奏する曲で、それぞれのパートが美しい旋律を掛け合いながら進みます。常にぴったりと寄り添い互いに慈しみ合い語り合っているように聞こえます。その豊かな官能性と繊細な抒情性…、人間の愛と男の優しさに溢れたシューマンならではの作品で、後のシューマンの致命的な病などまるで感じさせない幸福な音楽です。この幸福が何時までも続けば良かったのにと思わずにはいられない、それ程までの幸福感が横溢しています。但しそれでも第二楽章はやや悲しく、甘い追憶の情緒が溢れます。しかしその悲しみさえ幸福の神に包まれた魂の裏返しに過ぎません。恐らく、愛妻クララとの苦難に満ちた結婚までの日々が思い出されているのでしょう…。ロマン派の室内楽を味わうには絶好の曲であり、愛と優しさを感じさせてくれる名曲です。お勧め致します。
 演奏者は故人であり、CDは古い録音で音質は冴えませんが、その演奏は音楽をする喜びに溢れていて好感が持てます。シュナーベルは小作りですが大変お洒落な演奏でシューマンの世界を優しく開いて聴かせてくれます。
posted by 三上和伸 at 23:49| 今宵の名曲・音楽の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする