2009年07月17日

音楽の話8 ヨハン・シュトラウスU ワルツ「美しく青きドナウ」

ハンガリーのドナウ川
ハンガリー・ビシュグラードの要塞付近より
 満々と水を湛え、滔々と流れるドナウ川、正に大河の風格です。
 ウィーンではドナウ運河は行きましたが、ドナウ川本流には行きませんでした。代わりにハンガリー・ビシェグラードの高台からのドナウを載せました。恐縮です。

 ワルツ「美しく青きドナウ」は最も有名なクラシック音楽と言えます。この「美しく青き…」の語は日本人に強い関心を促し、今までの多くの日本人はドナウ川の青さ美しさを疑う者はいなかったと思われます。ところが昨今、日本人の海外旅行が盛んになり、ドナウ地方を訪れる方も増えました。その方々は異口同音に「ドナウは青くも美しくもなかった。」とおっしゃいました。今回、私は初めてこのドナウを見てこう思いました。大河の中流域はこんなものだと、川には多くの成分が混ざり溶けています。その結果微生物の繁殖が盛んとなり水は混濁し、緑掛かって見えるのです。大都市の中心を流れる川が清流の煌めきを持つなどありえないのです。ではなぜヨハン・シュトラウスは「美しく青きドナウ」と名してこの曲を書いたのでしょうか?。それにはそこにオーストリア人の重苦しい政治的事情が存在していたのでした。
 この時代はオーストリアとプロシア(ドイツ)が戦争(普墺戦争)を始め、フランスのナポレオンV世が調停し、オーストリアは領土の一部をプロシアに奪われてしまいました。その結果プロシアはドイツ民族の国家・ドイツ帝国となり、独立を果たしたのです。そんな暗い世相に嘆くオーストリア国民を明るい歌で救おうと指揮者・ヘルベックはワルツ王・ヨハン・シュトラウスに作曲の依頼をしたのでした。無名の詩人・ベックの詩「美しき青きドナウ」をテキストにシュトラウスは男声合唱団向けにワルツを書きました。それがこの曲・ワルツ「美しく青きドナウ」です。“ウィーンの誇りドナウ”を美しく青いと讃えたのはオーストリア国民を励ます意味で当然の使命だったのです。故国を想うその優しさが世にも稀な美しい曲を書かせたのでした。
 この曲は、現在では女声合唱や混声合唱でも演奏されます。また合唱なしの管弦楽だけの演奏でも親しまれています。立派な志しで書かれた曲ですが、管弦楽曲の娯楽作品であり、肩肘張らずに楽しめます。皆様も是非どうぞ。
 ウィーン生まれのウィーン育ち、生粋のウィーン子であるヨハン・シュトラウスは故国ウィーン(オーストリア)の為に働きました。ヨーロッパ全土、ロシア、アメリカを又に掛け、演奏旅行に明け暮れました。その全ての土地で絶賛を博し名を成し、ウィーンを世界に知らし示したそうです。従って、そのウィーン市民としての国際貢献は高く評価され、オーストリア第一の外交官と讃えられたそうです。 
 
posted by 三上和伸 at 22:25| 今宵の名曲・音楽の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする