2009年11月30日

音楽の話10 NHK「オーケストラの森」 スクロバチェフスキ指揮の読響  ラヴェル・ボレロを聴いて

 1927年、ラヴェルは高名なバレリーナ・イダ・ルビンステインから一幕もののバレエ音楽を依頼されました。最初は他の作曲家の作品の編曲を考えましたが上手く事は運ばず、自らのオリジナルでスペイン風のバレエ音楽「ボレロ」を仕上げイダに応えました。
 バレエは男女のジプシーが酒場で熱狂的に踊る振り付けで、イダ・ルビンステインがジプシー女に扮して同年初演されました。
 
 曲は一つのリズムパターンで終始し、スペイン舞曲のボレロに乗って主題とその応答だけが楽器を替えながら繰り返されます。最初はフルートに始まり様々な木管楽器が主題を演奏し次に金管楽器へと引き継がれます。曲の展開はなく、その音色の変化が一つの聴きどころとなるのです。更に弦楽器が加わり次第に緊張と興奮は増して行きます。最後に全合奏となり熱狂的クライマックスで曲を閉じます。この間、全曲を一つの大きなクレッシェンドとして最弱音(冒頭のドラムの刻むリズム)から最強音(全合奏の終止)まで次第に強さを増して奏されるように設定されています。正に前代未聞の楽曲構成となっており初演当時より近年まで大いなる物議を醸し出して来ました。

 演奏は木管・金管の各ソリストたちが卒のない達者な腕を披露していました。流石に一流のプロの腕前は違うなと安心して聴く事ができ感心させられました。このような曲はソリストの感性が大きくものを言う曲目なのです。
 指揮のスクロバチェフスキは巨匠の風格漂う毅然とした指揮振りで全曲を見事な統率力で構成しました。幽かなドラムのささやきに始まって圧倒的なエンディングまで、極めて爽快で端正な音の絵巻を描き出していました。

 *モーリス・ラヴェル(フランス、1875〜1937)
 ドビュッシー、サティと並ぶフランス近代の作曲家。極めて精緻な管弦楽法を駆使しオリジナル作品や編曲作品を作出した。またピアノ作品にも名作が多く、今日でもピアノコンサートの曲目に頻繁に登場している。
 管弦楽作品=スペイン奇想曲、バレエ「ダフニスとクロエ」、バレエ「ラ・ヴァルス」、バレエ「「ボレロ」など。
 ピアノ曲作品=「ソナチネ」、「鏡」、「夜のガスパール」、「クープランの墓」、「水の戯れ」など。
 編曲作品=ムソルグスキー「展覧会の絵」など。

  
posted by 三上和伸 at 12:33| 今宵の名曲・音楽の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする