2010年03月14日

音楽の話15 NHKN響アワー、「春の祭典」を聴いて

 S.ビシェコフ指揮のN響でストラヴィンスキーの「春の祭典」とG.マーラーの「アダージェット」を聴きました。
 神秘的土俗的な踊りの音楽「春の祭典」、ストラヴィンスキー三大バレエの最後にして最高最大の作品です。何よりもそのリズムの熱狂した野蛮さが大胆で圧倒的ですね。正に血沸き肉踊る音楽の持つ原始的な快感を呼び覚ます音楽です。インタビューで指揮のS.ビシェコフはバッハ、ベートヴェン、ワーグナーを引き合いに出しこう述べました、「この曲は音楽の流れを変える革新的な曲で、次世代の作曲家に大きな影響を与えた。皆この曲が頭から離れず困惑しているのだ」と…。確かに私もそう思います。しかし当のストラヴィンスキーはこの曲を最後にこのような作風からはおさらばしているのです。その後のストラヴィンスキーは十九世紀に成し遂げたブラームスの古典主義的な道を推し進め新古典主義へと軌道を修正しています。この曲は彼の野蛮で知的な野心を満足させる言わば実験的お遊びだったのかも知れませんね…。
 演奏は迫真のもので、リズムと管弦楽法の知的且つ原始的快楽を極度に発揮した熱狂的なものでした。私も興奮し心臓の高鳴りが聞こえました。

 G.マーラーと言えば交響曲第五番第四楽章「アダージェット」、さる映画音楽に使われお馴染みとなりました。現代の日本でもテレビドラマなどに使われています。美しい音響を持つ安らぎに満ちた陶酔の音楽で、心癒される方も多い事でしょう。
 常日頃のマーラーの心を悩ませていたのは死への恐れ、運命への呪い、そこから逃れるためにマーラーは音楽と女性の中に没頭したのでした。この余りにも美しい音の洪水の中に…、アルマと名乗る魔性の女の胸の内に…。私達もその魔性の洪水に溺れるのが、マーラーの正しい聴き方です。
posted by 三上和伸 at 22:55| 今宵の名曲・音楽の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする