2010年05月10日

自然の風景26 旅の幸福最後まで 2010.05.02

私達は安曇野の旅の最後にお定まりの大王わさび農園を訪ねました。あの清々しい水の流に会いに…、黒沢明の「夢」の第八話「水車のある村」の舞台に使われたあの水の流に…。

その麗しい流に心動かされた妻はどうしてもゴムボートに乗り、この水の流を体感したいと言い出しました。本当はカヌーに乗りたかったらしいのですが、カヌーは見つからず、私は内心ほっとし、溜息を付いたのでした。

とにかくボートに乗りました。汗を掻くくらいの陽気だった所為もありとても気持ちよく、あの映画のシーンのようにしばし夢幻の狭間に遊びました。水の持つ涼みの快感に私の肉体は生理的官能の喜びに満たされたのでした。

そしていよいよ中央道に乗り帰路に付きました。旅の喜びに満たされた私達は心地よい疲れを感じ、妻は暫しのお休みと寝息をたて、私は快適に車を走らせました。

中央道の富士見を過ぎた辺りから南アルプスが観え初め、巨大な屏風を広げたような鋸岳が現われ私を驚かせました。
やがて甲斐駒が現われると私の熱狂は頂点に上り詰め、その高く偉大な岩峰を仰ぎつつ必死で揺れる車のハンドルを握り締めました。
最後に鳳凰山が悠然と姿を見せ、その長い尾根の稜線が甲府盆地に馳せ下るのを観て心が穏やかに落ち着くのを感じました。私はやはり高く大きな南アルプスが一番好きなのだな…と心から実感したのでした。

そして大月から河口湖に向かう暫くの間、常に行く手には富士山が前に立ち、私達を祝福してくれました。それはこの旅の幸運の証、充実の証明、私はそう信じて胸が熱く燃えました。
posted by 三上和伸 at 23:12| 自然の風景 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする