2010年10月03日

音楽の話26 N響アワー、ネヴィル・マリナーのブラームス第一番

 先程までネヴィル・マリナーの指揮でブラームスの第一番ハ短調のシンフォニーを聴いていました。

 演奏は力強く迫力に溢れたもので、特に弦楽の合奏が素晴らしくN響の力量をよく表していました。事実、番組の冒頭で流されたインタビューの中でマリナーはN響の弦楽器群を褒めており、その言葉通りの演奏がなされたのでした。マリナーはイギリスの指揮者で室内オーケストラを主催した人でもあり、弦楽合奏を大切にする人です。古典交響曲の復活を目指したこのブラームスの交響曲は当時の金管楽器に頼り切った交響曲や管弦楽曲とは異なり弦楽合奏最重要の曲であり、その意味でもマリナーとN響の共演はすこぶる最適なものでした。

 一楽章からして緩みのない端正な古典的演奏で、しかも二楽章三楽章と楽章を重ねるに従って情熱の籠った響きを醸し出し感動的でした。ひたひたと力感を高め行進する終楽章は圧巻であり、圧倒的なクライマックスに到達しました。久し振りでN響アワーの放送に心臓の高鳴りを覚えました。

 インタビューの中でマリナーが語るその師・ピエール・モントゥーとの思い出話やモントゥーとブラームスの交流関係の逸話は大変興味深いものがありました。モントゥー(初めはヴィオラ奏者)はストラヴィンスキーの一連のバレエ音楽の初演を担当したフランスの名指揮者で、彼のブラームスとはブラームスのピアノ四重奏をヴィオラ奏者として共演する縁があり、それ以来ブラームスの熱心なファンとなりました。ブラームスの交響曲を演奏する事が生涯の幸せとなり、特に第二交響曲を熱狂的に愛したそうです。モントゥー死の直前の床でモントゥーがマリナーを前にして言ったうわ言「死んだらあの世でブラームスに謝らなくてはいけない。あなたのシンフォニーを上手に演奏出来なくて御免なさいと…」。86歳になったマリナーは懐かしむように話しました。
posted by 三上和伸 at 23:56| 今宵の名曲・音楽の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする