2010年10月17日

音楽の話28 娘・夏子のピアノコンサート 2010.10.16

 我が娘・三上夏子のピアノコンサートが盛況の内に行われました。家族親族と友人達で作り上げた手作りのミニ音楽会。ピアノソロと音楽紙芝居の二本立て、美しくも楽しい欲張った音楽会です。小さなお客様の真剣な眼差しが眩しい音楽会でした。

 一部:ピアノソロ
1、エリーゼのために ベートーヴェン
 エリーゼとは誰なのか、長い間、論争がありました。実はエリーゼは誤った架空の名で、本当はテレーゼと言う名が正しいのだそうです。しかもこの曲が作られた時期には二人のテレーゼが存在していたと言う事です。現在では後の恋人テレーゼ・マルファッティがこのエリーゼのモデルに定まったようです。こんな素敵な曲を貰えて嬉しかったでしょうね。名前までも音楽史に刻まれて…。

2、トルコ行進曲 モーツァルト
 エキゾティックなトルコ風マーチ、この頃のウィーンの町ではこのような音楽が好まれていたのです。作曲家は敏感に時代の嗜好を嗅ぎ別けるものです。モーツァルトも時代に乗り、流行にあやかったのです。本来はピアノソナタ第十一番の終楽章に置かれていたもの。

3、エチュード「エオリアン・ハ−プ」作品25−1 ショパン
 同時代の作曲家R・シューマンがエオリアン・ハープのように美しいと言って絶賛した曲。正に分散和音の上に乗った甘いメロディーのたゆたいはハープそのものかも知れません。ピアノの美しい響きとくっきりとした甘い旋律はショパンにしか書けない音楽の宝石ですね。

4、エチュード「革命」作品10−12 ショパン
 ショパンは甘い音楽を書いた女性的な人と想われがちですが、この「革命」のような激しい男性的な曲も書きました。ショパンの祖国ポーランドのワルシャワに攻め入ったロシア軍に対して激しい怒りを込めて書いた曲。この「革命」はショパンの愛国心の告白でもあるのです。

 演奏はよくこなされた堂に入ったものでした。間のとれたメロディーの歌い回しにピアノの美音が重なり、官能的でもありました。成長の証が見えました。

 プログラムがやや軽いように思いました。無理難題かもしれませんが、一曲でもいいから大曲が聴きたかった…。例えばショパンのバラード一番のような…。


 二部:音楽紙芝居「動物の謝肉祭」 サン=サーンス 
 フランスのサン=サーンスが書いた見事な音楽描写力を発揮した娯楽作品。動物園の様々な動物と皮肉な目で見た人間が生き生きと描かれています。  
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第七曲「水族館」の絵を前にした三上夏子と日本画家の直井有子さん

*三上夏子…桐朋学園大学音楽学部演奏科(ピアノ専攻)を卒業後、後進の指導並びに演奏活動もしています。特に子供のためのコンサートには力を注いでいて今回で三回を数えます。とにかく音楽は人に聴かせる事が信条と述べており、生徒さん達にも人前で弾かせるために常に手作りのサロンコンサートを企画しています。

*直井有子…女子美術大学を卒業後、同大学院日本画科を修了、後進の指導の傍ら創作活動も盛んに行っています。今回は「動物の謝肉祭」の素晴らしい紙芝居絵を描いてくれました。  

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第十四曲「終曲」、動物皆が勢揃いしている場面、賑やかな大団円です。

 お友達の画家の直井有子さんが描いた素敵な紙芝居の絵。この精緻で色鮮やかな絵を観ながら音楽を聴きます、気の利いたお話しでその間を埋めながら…。入れ替わり立ち替わりに次々と絵は捲られ動物と人間が登場してきます。私としては第一曲の「ライオンの行進」第五曲の「ゾウのワルツ」第七曲の「水族館」第十三曲の「白鳥」が好きになりました。特に白鳥はこの組曲の白眉であり、これほどの名旋律は滅多にありません。ここでは絵と音楽が一体となり得も言われぬ白鳥の優しさに溢れていました。
 
posted by 三上和伸 at 00:14| 今宵の名曲・音楽の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする