2011年08月20日

伊豆漫歩1 河津七滝巡り 2011.08.13

 夏の風流、夏の遊びと言えば涼み(涼)…、春の花見、秋の月見、冬の雪見と対応し並び称される日本の風雅です。想うに涼と言えば風水、風と水が柱となるでしょうか。行水、打ち水、風鈴に団扇、縁台、夕涼み、かき氷などは風と水が拘わっていますものね…。そして自然物では滝と言うものが一番にこの涼と関係が深そうです。落下する流水が押し出す風と飛沫、それはマイナスイオンたっぷりの自然の息吹きとその恩恵、正に滝こそが涼を作り出す最高の創造主と申せます。

 そんな訳で私達は昼のご馳走の後、もう一つの涼しいご馳走を頂くべく、河津七滝(カワヅナナダル)を訪ねました。但し瀑布は最高の涼の対象ながら、そこへの行き帰りは数多の階段の下り上り(初めは必ず下りです)、大汗を掻き掻きの滝見物、この醍醐味は人それぞれの感想と好みがあるのでしょうか? 我が妻と次女は大汗が嫌いなようです。汗に困惑の二人を横目に私一人が悦に入り独り善がりの滝見物を推し通したのでありました、申し訳ない…。結局、全七滝を制覇したのは私だけ、お二人さんは途中の土産物屋で物色三昧…。でもね、上半身汗みどろで戻った私に土産物屋でTシャツを買ってくれたのは妻でした、申し訳ない…。

 *“ダル”の語源=水が垂れる現象を“垂水(たるみ)”と言いますが、ここ河津ではその垂水から滝を“タル(発音上ダルに変化)”と言い表すそうです。平安時代から続く由緒ある郷土言語であるそうで、中々味わいのある良い呼び名ですね。七滝、大滝、釜滝など、全部“ダル”と発音します。

 *河津七滝は最下流の大滝から最上流の釜滝まで名の付いた都合七つの滝が連なっています。私達は下流の大滝から順次上流を目指し巡りました。

@大滝(おおだる)
大滝
落差30メートル、七滝の中では水量、流勢、落差合わせて最大の滝、轟音と共に落下する様は見応え十分です。「これ観ずして七滝を語るべからず」、と私は言いたいのです。

A出合滝(であいだる)
出合滝
伊豆はマグマからなる玄武岩の溶岩台地、ここでは滝の側面に見事に柱状節理を成した岩盤が見えます。この岩盤を削り込んだのが河津川、その激しい落差ある地形故に河津七滝が生まれたのでした。

丁度、河津川本流と支流が交わるのがこの出合滝、如何にも人の出合と掛け合わせたかのようなネーミング、しかしそもそも昔から、二本の川の合流点を出合と名す訳で、ここは単に川の合流点にある滝に過ぎないと言えるでしょう。

この写真の構図は滝を上から眺めたもので、手前から水泡を迸らせ奥に落下しています。そのまた奥の蒼い滝壺の先に一条の水泡の筋が見えますが、それがもう一本の川の滝壺に当たります。ここらがこの滝の名の所以の出合の場と言えます。

B蟹滝(かにだる)
蟹滝
切り立った岩場が蟹の甲羅に見える事からこの名が付いたようです。流れ落ちる水の姿ではなく川床の岩盤の形から名が付けられる、この玄武岩の露頭が広がるこの地ならではの名と想われます。

C初景滝(しょけいだる)
初景滝
この滝の洞に住んで修行を積んでいた行者・初景の名に因んで初景滝と名付けられました。この初景は盗人に金品を奪われ滝壺に落とされ殺されたのです。以来この盗人の一族代々は呪われる羽目になり、ろくな死に方をしなかったのだそうです。この美しい滝には不釣り合いな程の忌まわしい伝説が残されていたのでした。

柔らかになびくような落水、優雅と言っても差し支えない風情があります。より多くの飛沫を舞わせ、マイナスイオンの冷気を遠くまで漂わせるそれは清々しい滝です。七滝中、最も美しいと思われる方も多い事でしょう。滝壺の端には伊豆の踊り子の“踊り子”と“私”の像が建てられてあり、小説の中の場面さながらの佇まいを魅せていました。七滝観光の中心です。 

D蛇滝(へびだる)
蛇滝
やはりこの名も岩盤の姿形模様から導き出されたもので、大蛇の持つ七つの頭の鱗を彷彿とさせる事に因っています。滝の左岸(向かって右側)の岩盤の模様を指すようです。

E蝦滝(えびだる)
蝦滝
これは岩盤の姿形ではなく、滝の水泡の白い筋がエビの尾に似ていたからと謂われています。確かに?エビの尻尾のようですね。

F釜滝(かまだる)
釜滝
大滝に次ぐ規模を誇る見事な滝。周囲は山に囲まれこの滝こそ深い谷の底にある雰囲気が濃厚に漂っていました、昔はこの辺りを地獄谷と呼んでいたとか…。最上部の釜滝はそんな深山幽谷の佇まいを魅せる奥深い自然境にありました。汗みどろで歩き通した甲斐がありました。

 *七滝巡り、全行程約7,000歩
posted by 三上和伸 at 15:51| 《漫ろ歩きの旅》漫歩シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする