2011年10月16日

音楽の話53 ブラームスのウィーンカールスガッセの家

 ブラームスのウィーンの家に付いてご質問がありましたのでお答えいたします。
 
 それはカール教会が近くにあるカールスガッセ(小路)4番地にあった(現在はない)借家で、ブラームス38歳の1871年から死の年の1897年まで26年間に亘り住んだアパートです。独身を貫き創作に全てを捧げたブラームスは生涯自分の家を持たなかった人で、贅沢は言わず、己の生活や創作に支障がない限りどんな住まいでもよかったのです。翻って考えれば、このカールスガッセのアパートは楽友協会やオペラ座(ブラームスはオペラは書きませんでしたがオペラ大好きな人)に近く、己の活動に便利だったようで、大変気に入っていたと想われます。実際、私もこの辺りを歩きましたが、ブラームスの快適さが充分偲ばれる素晴らしい立地と確信しました。

 このアパートの様子やウィーンに於けるブラームスの日々の暮らし振りが写真入りで紹介されている良い冊子があるので、紹介いたします。それは三宅幸夫著の「ブラームス」(新潮文庫)で、その140〜141ページに記載があり、そこには寝室、音楽室(ピアノ室、シュトライヒャーのグランドピアノが置かれてある)、書斎(厖大な書物と楽譜があり、音楽学者でウィーン学友協会司書のマンディチェフスキーが好意で管理をしていた)の三部屋があると書かれ、ピアノ室の壁にはラファエロの「システィナの聖母」やベートーヴェンの胸像が掛けられてあると記されています。勿論、ヘルムート・ノヴァークの手で描かれたピアノ室の精密な水彩画の写真も添付されており、小机やロッキングチェアー等のインテリアも描かれてあり、ブラームスのピアノ室の模様を臨場感たっぷりに垣間見る事ができます。

 また、同時にブラームス行き付けの大衆レストラン「赤いはりねずみ」(当時は大衆向け、現存していると聞きます)や健脚のブラームスがよく散歩をしたウィーン市立公園、そして散歩中のブラームスを程良くデフォルメしユーモラスに描いた傑作と言われているオットー・ベーラーの影絵などが素晴らしい色彩で紹介されています。是非ご覧あれ!

posted by 三上和伸 at 11:30| 今宵の名曲・音楽の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする