2013年06月30日

雑記帳141 蛍と共に、三十六歌仙灯籠を楽しむ 2013.06.29

 読売ランド聖地公園では、“ほたるの宵”と名して蛍狩りが行われています(明日まで)。小川の畔に飛び交う蛍を楽しむ訳ですが、もう一つ文の趣きある情緒が味わえる催しが用意されていました。長野県・野沢温泉・湯沢神社の灯籠行列の三十六歌仙灯籠が、列をなして並べられていました。蛍狩りの前段階として、蛍の小川へ辿り着くまでの僅かの時間に、私達は古の歌を味わえたのでした。恐らく野沢温泉の観光ピーアールの一方策なのでしょうが、蛍と三十六歌仙の風流、誠に心憎い演出でした。

一、紀貫之
紀貫之 

桜ちる木の下風はさむからで空にしられぬ雪ぞふりける

(訳)桜が散る木の下を吹いてゆく風は寒くなくて、天の与かり知らぬ雪が降っているのだ。
*木の下風:木の下を吹く風 *空にしられぬ雪:天が降らした雪でなく、落花を雪に喩えた

二、伊勢
伊勢
 
三輪の山いかに待みん年ふとも尋ねる人もあらしと思へは

(訳)三輪山は、神が「待つ」と申しますが、わたくしはいったいどのようにお待ちしてお逢いすることになるのでしょうか。年月が経っても訪ねて来てくださる方なんて、いらっしゃらないだろうと思いますので。

三、山部赤人
山部赤人 

若の浦に潮満ち来れば潟を無み葦辺を指して鶴鳴き渡る

(訳)和歌の浦に潮が満ちて来ると、干潟が無くなるので、葦の生える岸辺をを目指して鶴が鳴き渡ってゆく。

四、紀友則
紀友則 

夕されば佐保の川原の河霧に友まどわせる千鳥鳴くなり

(訳)夕方になると、佐保の川原に霧が立ちこめ、友とはぐれてしまった千鳥が鳴いている。参考:ウェブサイト・紀友則・千人万首

五、小野小町
小野小町 

わびぬれば身をうき草の根をたえてさそう水あらばいなむとぞ思ふ

(訳)詫び暮らしをしていたので、身を憂しと思っていたところです。浮き草の根が切れて、水に流れ去るように、私も誘ってくれる人があるなら、一緒に出で行こうと思います。 ウェブサイト・小野小町・千人万首

これより36歌仙までありましたが、有名な五人で打ち止めと致しましょう。和歌に造詣の深い方なら全てを網羅せんと欲するでしょうが、古典文学に素人の私にはこれが精一杯でした。それでも雄渾なる古典の世界は素晴らしい、いい経験をしました。
posted by 三上和伸 at 21:38| 雑記帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする