2017年04月01日

ブラームスの名曲7 オルガンのためのフーガ変イ短調WoO8

ブラームスが少年の頃より抱いていた志は、偉大な音楽家(芸術家)になる事でした。本当の芸術とはどんなものか、ブラームスは思考を重ね、過去の文献を辿り、英知を見出しました。それはゲーテやシラーの芸術家の心得に関する格言(箴言)でした。

ゲーテ:「大衆の温和な反応は、中庸な芸術家にとっては励みとなるが、天才にとっては侮辱であり、また恐るべきものだ」。

シラー:「真の天才は、時として他人の賛辞で慰めを得る事もあるが、創造力溢れる感情を得れば、直ぐにそのような松葉杖にすがる必要がなくなるものだ」

以上のような芸術家の心得を少年時代に学び、その後大作曲家になった後もブラームスは死ぬまで、このような箴言(しんげん・いましめとなる短句)を守り通した作曲家でした。

奇異な音響で聴衆を驚かせる事は皆無で、聴衆(大衆)に阿ず(おもねず)、極力外的なパフォーマンスを避けた作曲活動をしました。

従って、ブラームスに慣れない聴衆は、ブラームスが何を言いたいのか、何を表現しようとしているのか、解らない人が多数いました。しかしブラームスはそんな事に頓着せず、自分が信ずるゲーテやシラーの箴言通りの生き方をしました。そんなブラームスが最も良く表れたのが、このオルガンのためのフーガ変イ短調です。

参考:三宅幸夫氏著のブラームス

これは不思議な曲です。私も最初は何が何だか解りませんでした。しかし何遍も重ねて聴いて行く内に、ブラームスの切実なる感情が聴き取れるようになりました。深い愛情と哀悼、そこにはブラームスの涙がありました。

自らピアニストとして愛したレパートリーの中に、ベートーヴェンのソナタ「葬送」があり、「ある英雄の死に捧ぐ」と題された「葬送行進曲」が変イ短調で書かれていたため、それに倣ってこのフーガを変イ短調にしたのだそうです。この感情は変イ短調でなければならぬとブラームスは確信を持っていたのです。直前に亡くなったシューマンに捧げるべく、ベートーヴェン縁の変イ短調を拝借したのだそうです。変イ短調は、♭が7つある特異な調性です。

参考:CD付きブックレットの山野雄大氏の解説



posted by 三上和伸 at 22:47| ブラームスの名曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする