2019年10月29日

音楽夜話 さだ・読響コンサート 2019.10.28

さだまさし・読響コンサートプログラム
クラシックのコンサートはしっかりとしたプログラムがあり、その日の曲目は一見にして判ります。しかしポピュラーのコンサートには印刷物としてのプログラムはありません。さだも論外でなく、私らは終演後、必死になって押し合い圧し合い掲示板の前へ進み、手書き風の掲示物を写真撮影してくるのです。プログラム無しで、一聴にして曲目を当てられるのは、クイズチックなマニアだけです。健全なマニアはやはり明細なプログラムが必要なのです。

渡辺俊幸のオーケストラアレンジメントが素晴らしく、さだの歌に勝るとも劣らない秀逸な出来でした。兎に角、オーケストラは充実した音で鳴り響き、リズムを刻んだのです。コンサートの音楽監督、これは演奏会を前にして、各パートの譜面を周到に整えていく譜面作りの作業があり、時間と労力が掛かります。コンサート成功に犠牲的労力で貢献をした渡辺に、私は拍手を捧げたいと思います。

渡辺のクラシック音楽への好みが現れたのが、冒頭の「ロッシーニのウィリアム・テルの序曲」です。クラシック指揮者に負けぬ手振りで、規律正しい、明快な指揮法を示しました。これがこのコンサートの序曲となりました。読響共演なればこその選曲でした。

第一部の最後の曲が「都会暮らしの小さな恋に与える狂詩曲」、何やら長ったらしい曲名ですが、詩は兎も角、これは名曲でした。何とガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」とラフマニノフの「パガニーニ主題による狂詩曲(ラプソディー)」のモチーフを繋ぎ合わした曲で、渡辺のオーケストレーションの妙味が現れた快演でした。この素晴らしいクラシックメロディー、変幻自在のオーケストラの饒舌振り、この曲が聴けただけでも、今日この会場に来た甲斐がありました。

アンコールに歌われた「いのちの理由」、さだの最も素晴らしい曲、メッセージに溢れた、人間の理由です。これを聴けば、誰しもさだまさしファンになります。

*渡辺俊幸
フォークグループ赤い鳥の元ドラマー、後にさだまさしの専属アレンジャー。後年アメリカに渡り、バークリー音楽大学で、作曲・編曲法を学び、ボストン音楽院で、指揮法を学ぶ。その後、ロスアンゼルスで、アルバート・ハリスに管弦楽法を学ぶ。映画テレビなどの主題音楽を多く手掛ける。古い話ですが、大河ドラマの主題テーマ「利家とまつ」が有名。

posted by 三上和伸 at 22:25| 音楽夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする