2019年11月28日

新横浜漫歩 能「江野島」 横浜能楽堂 2019.11.21

能は、猿楽(さるがく・平安時代発祥)から進化した伝統芸能の一分野で、狂言と共に明治維新以降に能楽と呼ばれるようになりました。狂言が最小の演者で、台詞中心に滑稽話を演じるのに比べ、能は大人数で演じる音楽劇で、囃子方(はやしかた)の伴奏と地謡(じうたい)の合唱を伴って、各配役が謡(うたい)を朗誦して物語を進行させます。シテ(仕手・為手)が主役、ワキ(脇)が脇役、その他は、シテヅレ、ワキヅレなどの配役が出演します。地謡は8人の合唱で、斉唱(ユニゾン、無和声)で謡われます。能の囃子方は四拍子(しびょうし)とも言われ、笛方(能管)、小鼓方、大鼓方、太鼓方の4人が演奏します。そしてこの囃子方の掛け声が、劇中、頻繁に掛けられます。「ヤ」「ハ」「ヨーイ」「イヤー」の掛け声が、四拍子方4人の演奏のタイミングを取るのと同時に、シテ・ワキその他の演者への合図にもなるのです。全体の音の流れをこの掛け声が絞めています。

「江野島」
【所】相模国 江野島 【頃】不詳
【作者】観世永俊(世阿弥の流れ・親類) 大鼓方・能作曲者
【初演】1534年(天文2年)

【役】
シテ:漁翁・五頭龍王 中森寛太
ツレ:漁夫 桑田貴志 辯才天 永島充
子方:十五童子 富坂耀 富坂唐
ワキ:勅使 森常好
ワキツレ:従者 舘田義博 則久英志
鵜ノ鳥ノ精 仲邑修一

シテ:主役 ツレ:脇役 ワキ:脇役 ワキツレ:脇方に属するツレ

【囃子方】
大鼓:安福光雄
太鼓:林雄一郎
小鼓:幸正昭
笛:藤田貴寛

【地謡】
中森健之助
遠藤和久
小島英明
駒瀬直也
佐久間二郎
観世喜正
鈴木啓吾
田所宜夫

【後見】
遠藤喜久
観世喜之
奥川恒治

以上の役者と演奏者で「江野島」は上演されました。

【あらすじ】
1、欽明天皇の御代において、相模の国の海上に、ひとつの島が出現したとの知らせを受け、勅使一行が現地に派遣された。

2、現地に赴くと、漁翁と若い漁師が現れ、「江野島」と名付けられた島の経緯を語る。

3、更にふたりは、島を守る龍口明神の故事を語った後、漁翁は自分こそが明神の化身だと明かし、姿を消す。

4、その夜、勅使一行が島にとまっていると、辯才天が眷属の十五童子を引き連れて現れる。

5、辯才天が美しい舞を舞っていると、やがて五頭龍王も現れて舞う。

6、勅使の前に進み出た龍王と辯才天は、末永く治世を守る事を誓い、龍王は島の周りを飛び巡り、辯才天は紫雲に乗って霊験を示す。

7、実にありがたい、神の御示現であった。

江野島の辯才天と深澤沼に住む五頭龍王の恋物語。人民に悪さをする極悪の龍王でしたが、江野島を作った辯才天が龍王を諭し、二人で、江野島王国を創ったお話。中世・戦国時代に作られた能の大作「江野島」です。

囃子方の素晴らしい演奏に乗って、シテやワキにツレが謡を朗誦します。面を付け、漁翁と五頭龍王を演じた中森寛太、そして素晴らしい辯才天の踊りを舞った永島充、初めての能であり、初めての曲でしたが、大いに感動を貰いました。その真剣な演技と音楽、また観たいと強く思いました。日本の伝統芸能も素晴らしい!

参考:鎌倉能舞台・中森健之助氏の解説文に依ります。
posted by 三上和伸 at 22:10| 新・横浜漫歩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする