2020年03月29日

ブラームスの名曲21 歌曲「別れ」「セレナード」 OP14-5、14-7 2020.03.29

1858年(25歳)は、ブラームスの創作意欲が隆盛を極めており、第1ピアノコンチェルトOP15を始め、管弦楽用の「セレナード」2曲(OP11と16)などを上梓しています。それにアガーテ・フォン・ジィ−ボルトから霊感を受けた13曲の歌曲(OP14と19)と3曲の二重唱曲(OP20)を作曲しています。ここではもう一度、OP14から1曲ずつの女歌・男歌の歌曲を選んで述べてみます。

「別れ」 伝承の詩 OP14-5
目を覚ませ、目を覚ませ、若者よ!
きみはこんなに長い間眠っていた、
外では鳥たちが明るい声でうたい、
御者(馬車の曳き手)は通りでさわいでいる。

目を覚ませ、目を覚ませ、番人は
かん高い声で呼び始めている、
恋人同士がいっしょにいる時、
ふたりは賢くなければならない。

若者はつい寝坊してしまった、
こんなに長く快く寝ていたから、
しかし娘は賢かったので、
若者に口づけをして目を覚まさせる。

別れ、別れはつらいものだ、
死神と同じように無情で、
死神は多くの元気な娘と
多くのやさしい若者を分け隔てる。

若者は自分の馬にとび乗って、
その場から速歩で急ぎ去って。
娘は長い間その後を見送った、
深い悲しみが娘を包んでいた。

テンポの速い、忙しないソプラノの歌です。走る馬の蹄の音を模した伴奏に、高いソプラノの女の声が追い掛けます。愚かな若者と賢い娘の恋、上手く行かなかったようです。ソプラノ・アガーテの、小気味良い声の特徴を最大限生かした曲調です。

「セレナード」 伝承の詩 OP14-7
おやすみ、おやすみ、いとしいひとよ、
ぐっすりおやすみ、ぼくの恋人!
天国にいる天使たちがみんな
きみを護ってくださるように!
おやすみ、おやすみ、いとしいひとよ、
ぐっすりおやすみ、おだやかな夜に!

ぐっすりおやすみ、そして今夜
ぼくの夢をみてくださいね!
ぼくもその時眠っていたら、
ぼくの心がきみを見守っいることを、
またあの頃ぼくの心が愛に燃えて
きみのことを思っていたことも。

木立では小夜鳥がうたっている、
月の光に照らせれながら。
月の光はきみの窓からさして、
きみの愛らしい部屋を覗きこみ、
まどろんでいるきみの姿を眺める。
だが、ぼくはひとり立ち去らねばならない!

セレナードと言えばシューベルトを思い起こさせます。天才的メロディーを持つ名曲ですが、ブラームスにも「セレナード」の名を持つ曲が数曲あります。このセレナードは極めて明るい作品で、長閑な恋の歌です。残念ながら、ブラームスにはシューベルトの旋律美はありませんが、その人間的ないじらしい歌は微笑ましいものがあります。少々気弱な性格の男、愛しい人の寝室の窓辺までは行きますが、行動(夜這い?)を起こせません。すごすごと引き下がって仕舞います。庶民のお伽噺です。

*小夜鳥=ナイチンゲール

演奏
@ソプラノ:ジュリアン・ボンセ ピアノ:ヘルムート・ドイッチェ
Aバリトン:アンドレアス・シュミット ピアノ:ヘルムート・ドイッチェ

訳詩:志田麓さん
posted by 三上和伸 at 16:47| ブラームスの名曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする