2020年07月09日

ブラームスの名曲46-D 歌曲集「ティークのマゲローネのロマンス」Op.33 第4曲「愛は遠い国から訪れた」 2020.07.09

あらすじC
部屋に籠ったマゲローネは謎の騎士(ペーター)への恋心に思い煩い、乳母に相談する。乳母はその申し出に驚いたが、姫の思いにほだされて、謎の騎士(ペーター)に会いに行く事にする。翌日、乳母が教会を訪れると、騎士は祭壇の前に伏し、祈りを捧げていた。乳母からマゲローネ姫の思いが伝えられると、ペーターは名を名乗らず、身分だけを伝え、母から預かった三つの指輪の中の一つを乳母に差し出した。そしてそれをマゲローネ姫に渡すように頼んだ。

マゲローネの元に戻った乳母は、ペーターの言葉を伝え、ペーターから受け取った指輪と羊皮紙(羊の皮で出来た紙)を渡す。その羊皮紙には、ペーターがマゲローネへの思いを籠めた詩が綴られていた。(その詩の歌が第4曲「愛は遠い国から訪れた」)。その詩に心打たれたマゲローネが、その指輪を紐に通し、首に掛けて眠りに着くと、彼の騎士(ペーター)がマゲローネの指に、指輪をはめる夢を観る。

第4曲「愛は遠い国から訪れた」
愛が遠い国から訪れて、
それに続くものとてなかった。
さて女神がわたしに目くばせして、
快い絆をわたしに絡ませた。

するとわたしの心は悩みを知り、
涙が目をくもらせた。
ああ!愛の幸とは何というものだろう、
このたわむれは何ゆえだろうか。

その姿は愛らしくのべた、
「このあたりに見かけたのはあなただけ、
常に人の心をとらえていた、
愛の魔力を知りたまえ」と。

わたしの願いはすべて風そよぐ青空にただよい、
ほめ言葉も暁の夢か、
潮騒の音さながらに思われる。

ああ、誰が今わたしの鎖をといてくれるのか。
この腕はかたくしばられ、
憂いがわが身に群がるものを。
わたしを助けようとするものは誰もいないのか。

希望がわが前に建ててくれる
鏡を見てもよかろうか。
ああ、この世の何とまやかしなことか!
わたしはこの世に頼ることはできない。

おお、さりとておまえに力を与えてくれる
確信のゆるがぬようにせよ。
唯一の女性がおまえを愛していないなら、
悩める者に残されたのはにがい死のみだから。

少し屈折した詩なので、判り難いかも知れません。クドクドと憂いや悩みを綴るのが西洋文化のようです。青二才の恋かも知れませんね。丁度あの「逃げ恥」の平匡のように…。それでも最後の一節に思いは現れています。ブラームスの歌と伴奏は明快で、撫でるように優しく、ペーターのマゲローネへの愛で満ちています。

1861年、ブラームス28歳の作。


posted by 三上和伸 at 20:58| ブラームスの名曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする