2020年07月10日

ブラームスの名曲46-E 歌曲集「ティークのマゲローネのロマンス」Op.33  第5曲「あなたは哀れな者を」 2020.07.10

あらすじD
ペーターは再び教会で乳母と会い、王女の様子を聞いて安堵する。そして第2の指輪を乳母に渡す。乳母は速やかにマゲローネの元に戻り、その指輪を渡す。それを観たマゲローネはたいそう驚いた。夢で騎士が自分の指にはめてくれた指輪と同じだったからだ。同時に渡された羊皮紙には、やはりペーターの愛の歌が書かれていた。(第5曲「あなたは哀れな者を」)。

第5曲「あなたは哀れな者を」
あなたはこの哀れなものを
慈悲深く憐れんでくださるのか。
ではこれは夢ではないのか。
何と小川がせせらぎ、
何と波の音がざわめき、
何と木の梢がさやぐことか。

私は不安な牢獄の
奥深く捕らわれていたのに、
今やわたしに光が射してきた。
何と光がたわむれていることか!
その光はわたしのものおじした顔を
まぶしく照らしだしている。

ではわたしはそれを信じてよいのだろうか。
わたしからこのうれしい夢を
奪うものはいないのだろうか。
けれど夢は消えやすいもの、
ただ愛することだけが生きること、
これこそわが意にかなった道なのだ。

何とのびのびと晴れやかなことか!
今ははや道を急ぐことをやめよ、
その旅杖を捨てよ!
おまえは困難に打ち勝ったのだ、
いと聖なる場所を
見いだしたのだから。

恋に晩稲のペーター、自分を卑下してうじうじしていましたが、マゲローネの前向きな愛に励まされて、次第に精神が高揚してきました。困難に打ち勝った、聖なる場所を見出した、何時の世も、男は女に助けられています。女なくして男は奮い立ちません。この哲学、古今東西、一緒ですね。ブラームスもそのことは百も承知、ペーターに肩入れして、力強い音楽を書きました。

1862年、ブラームス29歳の作。
posted by 三上和伸 at 22:27| ブラームスの名曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする