2020年07月18日

ブラームスの名曲46-M 歌曲集「ティークのマゲローネのロマンス」Op.33 第13曲「恋人よ、何処に(ズリマ)」 2020.07.18

あらすじL
スルタンの下で2年の歳月を生きて来たペーター、この国で身分を認められ、尊敬を集めて来たが、スルタンの娘の美女ズリマが、ペーターに心を寄せていた。ズリマは頻りとペーターにモーションを掛け、この恋は周囲にはばかる恋と自覚して、ペーターに駆け落ちを迫った。2年の歳月で、マゲローネを失ったと錯覚したペーターは、ズリマの求愛に応え、駆け落ちを承諾する。しかし前夜、夢でマゲローネに会い、改めてマゲローネへの愛と自らの信仰(ペーターはキリスト教、ズリマはイスラムで、異教徒)を守る決意をする。当夜、小舟でズリマと待ち合わせをするに当り、それに背き、ペーターは一人で船出をする。「わたしはここよ!」とズリマは合図のための歌(第13曲「恋人よ、何処に」)を歌い、ペーターを待っている。ズリマよ気の毒に、おまえはペーターに裏切られたのだよ。

第13曲「恋人よ、何処に」
あなた、どこでためらっているの、
そのよろめく足どりで。
小夜鳥が憧れと口づけの
話しをしてくれているのに。

樹々は黄金の輝きの中で
ささやいているし、
夢は窓から
わたしに忍びよる。

ああ、貴方はときめく胸の
焦がれをごぞんじなの。
苦しみと楽しみに充ちた
この想いと望みとを。

おおいそぎで
わたしを救いだしてね。
夜の間に
ここから逃れましょう。

帆は風をはらみ、
恐れなどとるにたらず、
波の彼方には
祖国がある。

故郷を離れたものは、
故郷へと向かって行け!
愛は力強く
その心をひきつける。

聞け!楽しげに
海の波はざわめき、
波頭は勇ましく
とびはねてくる、

波に何の嘆きがあろうか。
波はあなたを呼んでいる!
波はそれと知って、
愛をここから連れ去ろうとしている。

ペーターは女たらしではありませんがモテ男で、絶世の美女から愛される運命を持った男でした。白肌の美人に、黒光りの艶肌の美女、二人にモテてしまった幸せな男でした。一人は裏切ってしまいましたが、最初のマゲローネには男の操を立てました。可哀想なのが黒光りのズリマ、身分は上々でしたが、異教徒でした。日本からは想像しがたいですが、これらの民族は宗教が第一、それを犯しては全てを失います。人間として破棄されてしまうのですね。ズリマは破滅を逃れました。

愛らしいズリマ、異国情緒漂うオリエンタルな曲で、黒いズリマの躍動感が溢れます。魅力的な音楽です。

全15曲の歌は、第1曲が三人称で、ペーターの歌は11曲に上っています。マゲローネは第11曲の「光も輝きも消え失せて」の1曲で、あと1曲がこのズリマの第13曲「恋人よ何処に」です。
posted by 三上和伸 at 19:48| ブラームスの名曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする