「恋する女の手紙」 詩:ヨハン・ウォルフガンク・フォン・ゲーテ
あなたの眼からわたしの眼に注がれる眼差、
あなたの口からわたしの口に与えられる口づけ、
わたしのように、そのことを少し知っている者には、
何かほかのことが楽しいと思われるでしょうか。
あなたから離れ、わたしの家族からも遠ざかって、
わたしは常にあれこれと思いを馳せていると、
いつもあの時、ただ一度の時に思い当り、
わたしは泣きだしてしまったのです。
すると不意にまた涙がかわいて、
あなたは愛をこめて、この静けさに思いを秘め、
あなたの思いが遠いこの地にきっと届くと思うのです。
この愛の息吹のささやきをお聴きください。
この世で唯一つのわたしの幸せはあなたのお心です。
あなたのやさしいお気持ちの証をお示しになって!
女歌ですね。少し晩稲(おくて)のまだ生娘の恋歌です。何とも心震える女心を歌っています。こんな初心な女、それでもやはり女は女、哀れな自分の境遇を伝えつつも、シッカリ恋の証をお強請りしています。恋の駆け引き、女に勝たせてやるのが男の務めです?
自在に変化するピアノ伴奏、乙女の心理に沿って一体感を強めて行きます。その心理描写、並の作曲家が書ける代物ではありません。
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