2008年04月04日

今宵の名曲この一枚3

 今宵の名曲 J・S・バッハ 管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068 指揮:トン・コープマン アムステルダム・バロック管弦楽団
 第2曲「エア」通称G線上のアリア(後に編曲された時の名称)

 バッハは1685年ドイツのアイゼナッハに生まれ、1750年ライプツィッヒに没しました。この時代はバロックと呼ばれ、私達ピアノ調律師にとっては大変興味深い年代です。ピアノの発明や新たな音律論の発表、また今日定番となった平均律(率)調律が芽生えたのもこの時期だからです。バッハには平均律クラヴィーアと言う傑作があり、時代に先駆けて逸早くこの調律法を活用した事実に、バッハの高い見識が窺い知れます。

 バッハの音楽は複数の旋律が呼応し競い合い、そして織り成す対位法の音楽であり、それは隙のない極めて厳格なものです。そしてそこに音の喜び、音の進行の変幻の楽しさ、さらに信仰に根ざした人間性が感じられます。その人気の高さも別格で、恐らくモーツァルトやベートーヴェンと並ぶでしょう。しかし私は本当の所、大好きにはなれそうもありません。それは心弱く感情的な私にはバッハは理に優り、強く、健康過ぎるのです。私にはもっと私の心に沿う、大切な音楽があります。それはモーツァルトにブラームス、より情の深い心のやり取りをする音楽なのです。
 それでも、そんな頑なな私の心の中にも、このG線上のアリアは住み着いています。バッハならではの敬虔な調べの中に仄かなロマンが息づいているからです。それは私にとって最も快い息遣いのできる、音の空間なのです。
posted by 三上和伸 at 22:01 | TrackBack(0) | 今宵の名曲・音楽の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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