2017年09月24日

ピアノ曲を聴きましょう11 三上夏子音楽紙芝居演奏会の開催のお知らせ 2017.09.24

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久し振りに三上夏子のライフワーク・音楽紙芝居のお知らせができます。まだ詳しい内容は私にも内緒なのですが、ピアノ教則本のブルクミュラーの練習曲を題材にした三上夏子本人の脚色が、紙芝居の中心になるようです。練習曲の何曲かを弾いて興味深いお話を付けるようです。

作画は夏子の中学生時代の美術の先生である池田和美先生です。どんな絵?、どんなお話?、またどの曲がセレクトされているのか? 興味津々ですね。
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2013年09月21日

ピアノ曲を聴きましょう10 Nちゃんに贈った二枚目のCD・Famous Piano Music 2013.07.13

 音楽を骨の髄まで愛する三上家では《私は》、たとい孫のNちゃんが外孫《因みに我が家に内孫が生まれる可能性は多分ゼロ》であろうとも、音楽好きになる事を望んでいます。勿論、無理やりに音楽家の道を押し付ける積もりは毛頭ありませんが、是非、歌《最初は次女ママKさんが歌ってやって、その内、少年少女合唱隊に入れたい、歌は素晴らしい》と一つの楽器《初めはKさんが手解きして、ゆくゆくは夏さんに本格的にピアノを…、ピアノは音の並びを覚える絶好の楽器》を嗜《たしなむ》んで欲しいものです。何故かと言えば、本当の意味で音楽を知れ《理解する》ば、その人の人生に大きな力《助け、私がその例》となるからです。音楽を始めとする芸術は、人の心を育てます。Nちゃんの心に、善と正義、勇気と忍耐、希望と信頼、そして博愛が芽生えれば、Nちゃんが愛情深い幸せな一生を送る糸口が見付かると私は信じています。私はそれをNちゃんに授ける一助がしたい…、そのために、その機会が巡ればその度に、私はクラシック音楽のCDを送ろうと心に決めています。

 過去にNちゃんに贈ったCDは、生まれる前の胎教の目的でKさんに贈った数枚と、今年3月にNちゃんに直接?贈った“パニス・アンジェリクス”の一枚がありました。あの時のNちゃんの反応が素晴らしく、Kさんの印象も良かったので、今回は是非ともピアノ小作品の有名どころを聴かせたいと想いました。7月のある日、私は横浜西口のCD屋に立ち寄り、吟味の末、“Famous Piano Music”のタイトルを持つピアノ小品集を選びました。これには全13人の有名ピアノ曲作曲家による全20曲のピアノ小品が並んでおり、現代の優秀なピアニスト達の演奏で収められています。

◎曲の紹介
@夜想曲 グリーグ
これは北欧のショパンと呼ばれたグリーグが、生涯に亘って書き溜めた抒情小曲集六十六曲の中の一曲です。ノクターンの名を持つ夜のムード溢れる曲ですが、パリに住んだショパンのような都会趣味と陶酔はありません。その代わり、僻地ノルウェーのグリーグだからこその素朴と清潔があります。あくまでも透明で清澄なピアノ音、そこには北国の冷気さえ漂っているようです。暑気の日本には打ってつけの音楽かも知れません。気持ちだけでも涼しくなります。

Aトロイメライ シューマン
トロイメライと言えばシューマン、シューマンと言えばトロイメライ、シューマンの代名詞となったピアノ小品の傑作です。白日夢と訳されるトロイメライ、夢幻の世界を彷徨ったシューマンならではの音楽詩、正にピアノの詩人でなければ書けない異次元の世界です。この別世界の雰囲気を幼いNちゃんはどう受け止めるのでしょうか?、興味津々ですね。因みに子供の頃《小学生》の私はこの曲と衝撃の出会いをしました。旅先で眠れぬ夜を過ごしていた私にある人が、このトロイメライのオルゴールを掛けてくれました。その何とも言えぬ摩訶不思議な夜のムード、しかも得も言われぬ心を融けさせるメロディー、その突然の衝撃にますます眠れなくなり、魔界に放り出されたかの如く、私は鳥肌を立てながら呪文のようにそのメロディーを口ずさんでいました。「♪ららーん♪、♪ららららららーん♪、♪らららららららららららららーん…♪」。それでもそれからは、そのメロディーだけが私の耳に焼き付いて離れず、肝心の「トロイメライ」の名を知るのは、私が中学生になってからでした。

Bワルツ7番 嬰ハ短調 OP.64-2 ショパン
ショパンのワルツは、ヨハン・シュトラウスのウィンナワルツのように直接踊りと係わるものでなく、ピアノ曲の一つの様式として存在しています。ですから繊細で夢見るようにあどけなくセンチメンタルで、そこに個人の私的感情を色濃く表現しています。少し練習すれば?弾けるように?なりますよ。熟年の皆様も是非どうぞ!…、眠っているピアノが役立ちます。

C子犬のワルツ 変ニ長調 OP.64-1 ショパン
このCDでは前の嬰ハ短調と順番が逆さまに並べてありますが、この曲の方が先で作品64-1です。ショパンの恋人《愛人》ジョルジュ・サンド《女流作家、恋多き男装の麗人》が飼っていたサンドの愛犬がモデルで、サンドの強い勧めでショパンに書かせたと言うのが真相のようです。それでも流石は当代随一のピアノの詩人・ショパン、子犬の仕草や動作を巧みに表現して、人気絶大なワルツに仕立て上げました。

D愛の夢 リスト
初め歌曲として発表されたものを人気にあやかってピアノ独奏用に編曲した作品。歌曲として人気が高かったため、リストは同じ元手を使い、柳の下の二匹目のドジョウを狙ったと想われます。まあリストに限らず、プロの作曲家は売らんがためにあれこれ方策を試みるものです。結果、願ったり叶ったりで、楽譜も演奏会チケットも売れに売れました。リストは王様のように大邸宅《御殿》に住んでいました。

Eエリーゼのために ベートーヴェン
ベートーヴェンは、己の事を力強く男っぽい《男らしい》作曲家だと自負していました。「英雄」、「熱情」、「運命」、「皇帝」など、勇ましい副題を持つ曲がありますが、それらがそのベートーヴェンの性格を如実に証明してみせています。ところが、女心を取り入れた愛らしい曲も書いたのですね…、心ならずも…。 惚れた弱みでしょうか、センチメンタル・オトメチック大嫌いなベートーヴェンも遂にタブーを犯してしまいました。エリーゼが誰なのか?本当はテレーゼではないのか?、諸説あり、未だに研究者は詮索に余念がありません。しかし私はそんな事はどうでも良く、哲人・ベートーヴェンも普通の男の一面を持っていた…、女性に恋い焦がれてメロメロだった…、その事が判るだけでもこの曲の価値は高いですね。愛情の籠った良い曲です。

F即興曲 OP.90-2 シューベルト
全4曲の内の第2曲で、変ホ長調・アレグロの曲。快速のテンポで進むその推進力は中々気持ちの良いもの…。即興曲《アンプロンプチュ》の名に相応しく、今生まれたかのような澱みない生命感で溢れています。ところがこの即興曲の名は、シューベルトが考え付けた名ではなく、出版するに当たって楽譜出版商のハスリンガーが当時流行り出したこの曲名を選び、名付けたのでした。それでもシューベルトはその名が気に入ったそうで、問題は無く、そのお陰で即興曲の名は今日までも生き残りました。その後の作曲家では、ショパンやフォ-レ、ラフマニノフ等が即興曲の名を借りて名曲を残しています。

G前奏曲「雨だれ」 ショパン
バッハの平均律クラヴィーア《長短各十二の調性に基づき、二十四のプレリュードとフーガからなり、それが二巻ある大作》に感化されて書いたと言われるショパンの二十四の前奏曲《プレリュード》集OP.28は、勿論、一巻でありフーガはなくプレリュードだけですが、バッハと同様に長短各十二の調性に基づいて二十四曲《但し、調性の並びはバッハと異なる》が書かれました。ロマン派の時代に、発想力・構成力で、音楽の巨人・バッハに挑戦したその志の高さは、大いに評価されるべきでしょう。この二十四の前奏曲の中の第十五番変ニ長調ソステヌートが「雨だれ」で、全編を通して雨だれを模した持続音が鳴り、それをなぞるように曲は展開されて行きます。冒頭は雨だれも静かで、そこに甘い懐古の歌が歌われます。優しい歌で恋の希望と愛の安らぎに満ちています。しかしその安息も長くは続かず、雨だれも力を増して悔恨の嵐が吹き荒びます。仲違いをしたのでしょうか、恋人は去って行きました。それでもやがて、雨も小降りとなり雨だれも優しく時を刻み出します。するとあの人は帰って来ました。優しいあの歌を歌いながら…。美しくも力強い曲、雨の日の詩情が溢れます。正に雨だれが誘う抒情詩、傑作です。

H四季〜トロイカ チャイコフスキー
1875年、あるロシアの雑誌が四季に纏わる詩と音楽を月一回、ひと月毎に連載する企画を立てました。詩は何人かの詩人に割り振って著して貰い、その詩を基に作曲を担当したのがチャイコフスキーでした。その年の12月から翌年の11月に掛けて1曲ずつ全12曲のピアノ独奏曲が発表されました。そして10年後の1885年に全12曲を纏め、組曲「四季」OP37aと題して出版されたのでした。トロイカはその内の11月のページで紹介されましたが、この頃のロシアは旧歴を使っていたらしく、旧暦11月と言えば新暦の12月頃、ロシアの大地には充分の積雪がある頃。ですから、トロイカが11月に紹介されたのは肯けます。と言うのも、トロイカとは三頭立ての馬橇(そり)の事を言うからです。勿論雪のない夏には馬車仕立てとしますが、本来は雪道を走る馬橇の事なのですよ。旧暦11月(新暦12月、真冬)にトロイカはピッタリ正解なのです。因みに、その他の月も紹介して置きますね。一月「いろりばた」、二月「謝肉祭」、三月「ひばりの歌」、四月「松雪草」、五月「五月の夜」、六月「バルカローレ《舟歌》」、七月「刈り入れ人の歌」、八月「収穫」、九月「狩りの歌」、十月「秋の歌」、十一月「トロイカ」、十二月「クリスマス」。トロイカは長閑(のどか)で爽快な気持ちのよい作品です。ロシアの雪原をひた走る三頭立ての馬橇・トロイカ。その颯爽とした姿を彷彿とさせます。蹄の音も静かながら小刻みに聴こえてきます。

I五月の夜 パルムグレン《1878〜1951》
「フィンランドのショパン」と言われたセリム・パルムグレン、近代フィンランドを代表するピアニストにして作曲家です。日本のピアニスト・舘野泉などの紹介により、近年一般に知られるようになりました。グリーグの項で述べたショパンの影響は、このパルムグレンに於いては尚も強く、ショパンの書いた「二十四の前奏曲」を踏襲する同じ名の作品を残しました。生涯の作品の大半は3分にも満たないピアノ小品群(300曲)ですが、北欧の風土を色濃く映したピアニズムは地味ながらも魅力的です。白夜であろうフィンランドの五月の夜、そこにショパンの熱病はありませんが、仄かにやる瀬無いパルムグレンの慕情があります。「五月の夜」、そこからは常に心地よい風が吹いていました。

J亜麻色の髪の乙女 ドビュッシー
フランスのピアノ曲の良さが際立つ名作。繊細で都会的、極めて上品な表現の中に仄かな人間味が漂います。一点の汚れない無垢な官能性と奥床しい精神性が絶妙のバランスで表現されているのです。これがフランスですね、これがドビュッシーですね。

Kスペイン舞曲「アンダルーサ(アンダルシア風)」 グラナドス
イサーク・アルベニスの後輩に当たるエンリケ・グラナドスは、アルベニス同様にスペインの民族音楽を芸術の域に押し上げた作曲家です。スペインにはアンダルシアのジプシーフラメンコやアラゴンのホタなど、地方地方に特有の舞曲のリズムがあり、グラナドスはそれらを活用して、ピアノのための十二のスペイン舞曲を書いたのでした。その内の一曲で第五番ホ短調の「アンダルーサ」は、アンダルシア風の意味合いがあり、スペイン南部のジプシーフラメンコのリズムを活用したものです。従ってギター的書法が顕著で、本来はピアノ曲ながら、ギター版も人気が高く頻繁に演奏されます。小気味良いリズムと情感溢れるメロディーには、南欧の異国情緒が横溢しており、聴けば臨場感たっぷりで、まるでスペイン旅行をした気分?になります。酔わせてくれます。

Lトルコ行進曲 モーツァルト
当時のヨーロッパの人々にとって最も異国と想われていた国はオスマントルコでしょうか。イスラムの超大国で、長年西側ヨーロッパ諸国はオスマンの侵略(ウィーン包囲等)に苦慮してきました。しかしこの頃は、もう既に脅威の侵略国家では無くなっていたので、異国趣味も手伝って一種のトルコブームがあったと言われています。評判を気にする創作家やエンタティナーは、そんな趣味や流行にも敏感に反応します。モーツァルトもその例外ではなく、当時の異国趣味を反映させた曲、トルコ行進曲を作曲したのでした。トルコ行進曲は単独で演奏される機会が多い曲ですが、本来はピアノソナタ第11番イ長調K.331の第3楽章に納まっている行進曲です。このK.331はモーツァルトのピアノソナタの中では最も有名な曲ですが、それは取りも直さずこのトルコ趣味のお陰なのです。それでも、確かにこの曲は素敵ですが、もっと素晴らしい曲が前に二つ並んであるのです。そうです、第一楽章のバリエーション(変奏曲)と第二楽章のメヌエットです。まあ、好みの問題をとやかく言うのは何ですが、私は調子の良い曲(トルコマーチ)も好きですが、もっと優しい人間の心模様を表した曲(バリエーションやとメヌエット)の方が好きなのです。聴いていて音楽の温かさで心が満たされます。因みに面白い事を教えます。実はこの曲はピアノソナタと名が付いていますが、ソナタ形式を使った楽章はないのです。第一楽章が緩やかなバリエーションの緩叙楽章、第二楽章は舞曲のメヌエット、第三楽章がトルコマーチのロンド(形式)。不思議なソナタですね。

M春の歌 メンデルスゾーン
メンデルスゾーンの「春の歌」はピアノ小品集の「無言歌集」の中に収められている一曲です。この無言歌、調べてみましたら“無言歌”とはメンデルスゾーンの造語だそうで、メンデルスゾーンは中々言葉遊びの上手い粋な男だったようです。ピアノ独奏で言葉は無いけれど歌うような音楽だから無言歌、ドンピシャリの鋭い閃きですね。曲は6曲ずつ8集あり、更に1曲付け足して全49曲が遺されており、それはメンデルスゾーンの全生涯に亘っています。演奏は比較的容易く、子供や女性でも楽しめるように工夫されています。「春の歌」は実にメンデルスゾーンらしいピアノ曲、屈託がなく伸び伸びとして優雅、まあ、幸せな上流階級の音楽です。

N幻想即興曲 ショパン
ショパンの作品の中でも特に有名な曲。音階を多用し、劇的で華やかな印象を与える一部と三部、甘い追憶を歌った名旋律の中間部。正に完璧な作品、これ以上望む事はありませんね。

Oアダージョカンタービレ・悲愴より ベート−ヴェン
ピアノソナタ第8番ハ短調「悲愴」の第二楽章であるアダージョカンタービレ、緩やかに歌うようにの演奏指示記号をそのままこのピース(楽曲の一部分)の題名としています。アダージョカンタービレの名の通りに美しい旋律が歌われていきます。何時聴いても心に染みる歌、この歌を聴いて反応しない人は滅多にいないでしょう。音楽の原点と言ってよい希代の名旋律です。「悲愴」と言う名はベートーヴェン自身が付けました。第一楽章に悲愴の名に相応しい序奏を付けるなど、ベートーヴェンとしては自信を持って発表した曲であり、事実、ベートーヴェン作曲のピアノソナタの最初の傑作でありました。

P夜想曲(ノクターン)第2番変ホ長調 ショパン
少々ショパンが多過ぎますね。まあ、娯楽性の高いピアノ曲の最右翼ですから致し方ないと思いますが、貴族的サロン趣味はもう止めて欲しいですね。だからここでバッハやブラームスを入れても良かったのではないですかね。バッハならフランス組曲辺りから、ブラームスはラプソディなんかが良いですね。このCDに重力が加わります。音楽に人間の重さ加わります。

Q泉のほとりの妖精 カスキ
高音域の右手を使った伴奏で中音域のメロディーを左手で歌わす、透明で神秘的な雰囲気を醸し出しています。伴奏が水を表すのか、妖精の飛翔を表すのか良く判りませんが、中音域の柔らかなメロディーは、自然と人の調和を促し、清澄な祈りへと誘うようです。美しい曲です。ヘイノ・カスキはフィンランドの作曲家、パルムグレン同様に巨匠シベリウス後のフィンランドを代表する作曲家です。三者に共通する特徴はやはりフィンランドの自然への愛なのでしょうか。冷涼な音に熱い愛、それはフィンランドそのものです。

R月の光 ドビュッシー
誰もが知っている世紀のピアノ名曲、美し過ぎると言っても全く過言とは無縁の言動でしょう。一点の汚れもない音の美しさ、音楽の天才にしか書けないピアノ曲です。しかもそこに人間の仄かな情もあります。美しいものに涙してしまう感覚(センス)があるのです。もうこれは音楽の一つの理想像…

S練習曲〜別れの曲 ショパン
またショパン、でもこれは素晴らしい。別れ、それは生きる人間の避けて通れないシーンの一つ。好む好まざるを超越して、去らなければならない者、見送らなければならないも者。だから泣いても笑っても叫んでも無言でも、良い顔をして別れたいですね。相手が元気になるような…
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2013年09月03日

ピアノ曲を聴きましょう9 今月の三上夏子エリスマン邸生演奏 2013.09.03

 もう何回目になるのでしょうか? 昨年の春頃からですから10回は数えられるでしょうか? ホントにピアノが好きなのですね。よく続いています、感心します。因みに今回は、今日演奏したプログラムを記してみます。ご参考までにどうぞご覧ください。

1、プレリュード1番ハ長調 J・S・バッハ
2、乙女の祈り T・バダルジェフスカ
3、メロディ R・シューマン
4、楽しき農夫 R・シューマン
5、ワルツイ短調 F・ショパン
6、エリーゼのために L・v・ベートーヴェン
7、ポロネーズト短調 F・ショパン
8、ベネツィア(ベニス)の舟歌 F・メンデルスゾーン
9、アダージョ・カンタービレ(ピアノソナタ「悲愴」第2楽章) L・v・ベートーヴェン
10、レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ F・ショパン
11、ワルツホ長調 F・ショパン
12、愛の挨拶 Sir・E・エルガー
13、楽興の時 F・シューベルト

以上の曲を澱みなく滑らかに弾いてくれました。静寂のエリスマン邸、午前の優雅な一時を過ごせました。 
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2013年09月02日

ピアノ曲を聴きましょう8 明日は娘・夏子のエリスマン邸生演奏(九月三日) 2013.09.03

 明日は娘・三上夏子のエリスマン邸生演奏の日。何か今月は何時もの二週目ではなく、第一週にやるそうです。ピアノ修理の仕事を抱えてる私ですが、先月は聴き逃したので、今月こそ時間を作り聴きに行く積もりです。さてどんな曲を聴かせてくれるのでしょうか、レパートリーは増えたのかしら、楽しみです。
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2013年07月28日

ピアノ曲を聴きましょう7 三上夏子音楽紙芝居「ピーターとおおかみ」 2013.07.27

今回の音楽紙芝居の催しは、山手西洋館・絵本フェスティバルの一環として行われました。紙芝居イコール素敵な絵、素敵な絵イコール芸術、芸術には絵の他に音楽も重要です。そんな絵と音楽を結び付けた三上夏子の音楽紙芝居は、この絵本フェスティバルの主旨に敵ったものだったのでしょう。絵本と紙芝居とピアノ音楽、ジャンルは異なりますが、芸術繋がりとして、今回、有難くご要請を承ったのでした。

玄関の音楽紙芝居の案内
玄関に据えられた音楽紙芝居「ピーターとおおかみ」の案内板、一寸素敵で、誇らしげですね。さあ、ここが楽しい音楽紙芝居の入り口です。「皆様、ようこそ…」 

開演前の紙芝居絵
開演前に既に掲げられていた題目を表わす冒頭の紙芝居絵、ワクワクしますね。紙芝居絵を描いてくださった画家・飯田裕子さんのアイディアが光ります。本編への期待が俄然膨らみます。

後ろ姿のピーター 
ピーターのテーマの快い調べが響き渡ります。ここは聴かせどころです。ピアニストは美音を駆使し、颯爽とピーターを走らせます。聴き手の皆は、ピーターが明るく元気な男の子と直ぐ判断できますね。

狼登場 
ピーターと知恵比べをする悪の王・おおかみです。もう腹ペコで、獲物を見付けようと虎視眈々とギラギラ眼(まなこ)で彷徨い歩いています。

狼がアヒルを襲う
遂にアヒルさんが襲われてしまいました。ギャーギャー言って逃げ惑うアヒルさん。それでもとうとう、もの凄い大口のおおかみにまるまる飲み込まれてしまいました。

狼は捕まり大団円
ピーターの機転でおおかみは捕えられました。さあ、狼を動物園に連れて行きましょう。でもあれっ、おおかみのお腹でアヒルさんが鳴いていますよ。するとおおかみは急に「ハックショ〜ン!」、何とおおかみの口からアヒルさんが飛び出してきました。やれやれ、アヒルさん生きていて良かったネ。さて皆で動物園まで行進だ!

山手西洋館では絵本に纏わる様々な催しが開かれました。絵本の読み語りや朗読ライブ、絵本の展示や絵本の紹介、夏子の音楽紙芝居「ピ−ターとおおかみ」を始めとしたコンサート、そして絵本フェスティバル期間中(2013.07.25〜07.27)の各西洋館では、様々な飾り着けが行われました。エリスマン邸ではフロ−レンスサチコ所属の加美山智絵さん制作のテーブルコーディネート作品・「盛夏のガーデンパーティー」が飾られていました。

盛夏のガーデンパーティーの宴席 盛夏のガーデンパーティーの説明
美しい洋食器の数々、そんなものに縁遠い庶民の私でも魅了されますね。

森のティーパーティーのジオラマ 森のティーパーティーのジオラマの説明
これはお子様が喜ぶ模型ですね。夢が一杯詰まっています。暫しジイジの私でも楽しめました。Nちゃんにはまだ早いかな? 

ガラスのテーブル
盛夏の今に嬉しい涼しいテーブルコーディネートですね。一時の涼のご馳走、「有難い、頂きます」。
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2013年07月18日

ピアノ曲を聴きましょう6 三上夏子エリスマン邸生演奏と音楽紙芝居のお知らせ 2013.07.18

山手旧エリスマン邸 白花アガパンサスとアンスリウムの生け花
大正から昭和にかけて横浜に住んだフリッツ・エリスマン。エリスマンは、イギリスの生糸貿易会社の横浜支配人で、日本人の妻と共にここ山手に暮らしました。この家は大正14~15年に建てられたそうで、それ以来、エリスマン一家の愛の巣でした。家は現代の私達には羨望のゆとりと広さを備えていますが、その基本設計は現代日本の住まいのお手本になった感があります。応接室、ダイニング、サンルーム、キッチン、二階にある三つの寝室など、現代の日本の家屋もここから始まったとの想いを私は強くしています。

時は移り現代では、瀟洒な洋風建造物として横浜の歴史的建造物にも指定され、多くの観光客で賑わっています。我が娘・夏子もこの西洋館と関わりを持ち、月一回の割合でここのピアノを弾く事になりました。約一時間の間、フルタイムで、本気で聴いている聴衆は、私達夫婦と次女の妹、それにお友達や生徒さんの親御さん方だけですが、訪れた観光客の方々も足を止め、暫し傾聴されて行きます。時に音楽好きのお客様がいらして、拍手喝采が起きる事もあるのですよ。そんな様子を見るにつけ、微笑ましく感じ、一頻り悦に入る親馬鹿の私達です。

エリスマン邸には何時も花が飾られています。この日は、白アガパンサスに黄色のアンスリウムが挿してありました。暑さの中の僅かな涼、素敵でした。

エリスマン邸ピアノ生演奏 音楽紙芝居エリスマン邸公演のチラシ
この日は、今後に上演の予定がある音楽紙芝居の「ピーターと狼」と「動物の謝肉祭」からのメドレーをひとしきり演奏しました。勿論、紙芝居絵は無く、演奏だけでしたが、面白く聴けました。「白鳥」、「水族館」、素晴らしかった。

ここで、夏子の音楽紙芝居エリスマン邸公演のお知らせを致します。夏子が申すには、お子様の来場が多くなるとの事ですが、是非大人の方々もお出でくださる事を望んでいるようです。お暇がございましたなら、お出かけください、お待ちしております。

追伸:チラシの中の、アンサンブル・サマンサとは、「夏子の合奏(その仲間)」と言う意味らしい…。勿論「サマンサ」は夏子の愛称で、夏=サマーで、奥さまは魔女の「サマンサ」から頂戴したパクリの名です。夏子が幼い頃、恩師のピアニストが開いた八ヶ岳夏合宿で、最初に恩師始め参加者全員で皆の愛称を決め合った事に始まります。私も見学に行きましたが、誰彼の別なく愛称で呼び合っていました。因みに、恩師の先生は「マリラ」でした。
posted by 三上和伸 at 23:23| ピアノ曲を聴きましょう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月20日

ピアノ曲を聴きましょう5 “灰色の真珠” インテルメッツォ(間奏曲)ロ短調 OP119-1 ブラームス

 ブラームスの作曲したピアノ曲は、最初期にはピアノソナタ、そしてその少し後にピアノ変奏曲が続きます。しかしそれ以降は、ソナタはもとより変奏曲すら作らなくなります。ロマン派の時代、ピアノで表現するにはソナタ形式は、余りにも窮屈な形式になりました。ショパン3曲、シューマン3曲、リスト1曲、そしてブラームスには3曲のピアノソナタがありますが、このソナタ形式の達人・ブラームスでさえも、若年の内に早々とピアノソナタから足を洗ってしまったのです。

 それでは、ロマン派のピアノの詩人達は、一体何に活路を見出したのでしょうか? そうです、もっと自由にロマンの幻想の翼を広げられる、ピアノの小品を選んだのです。数分(1分もあり)から10分足らずのピアノ小品、彼らはそこに、ロマンの精神の全てを注ぎ込んだのです。ショパンはエチュード、ノクターン、バラード、ポロネーズ、マズルカ、ワルツ、アムプロンプチュなど、シューマンは「クライスレリアーナ(8曲の幻想曲)」、「子供の情景(13曲の小品)」、「交響練習曲(主題と11の変奏曲風エチュード)」、「ダヴィッド同盟舞曲集」など、リストは「巡礼の年(年報)(全4巻26曲)」など、そしてブラームスは、晩年のピアノ小品(全20曲の小品)で…。

 20曲あるピアノ小品は、ブラームス晩年の心境を綴ったメランコリー漂う作品群です。そのピアノ音からは、故郷、自然、愛、追憶、哀悼、寂寥、信頼、情熱、希望、諦観等の言葉が閃きます。じっくりと何度でも繰り返し聴く音楽。何度も聴いている内に、喜び、悲しみ、楽しみ、怒り、悼みが観えてきます。そして人を見詰め、未来を見詰めるブラームスが観えて来るのです。ブラームスの音楽は優しい、確かにエンタテイメント(娯楽性)では、先の先輩諸氏に敵わないかも知れません、が、その人を見詰める優しさでは、誰一人敵う者はいないでしょう。ブラームスは、何ものにも流されない意志の確かな、人生の価値を語る音楽です。

 このロ短調OP119-1は、彼の盟友・クララ・シューマンが「灰色の真珠」と称えた曲です。どんなに硬質(硬派)の音楽を書いたとは言え、ブラームスはやはりロマン派(主義)…、ピアノの一音一音に甘い感触があります。クララはそれを目敏く見出し、曲評を問われた時に、「灰色の真珠」とブラームスに告げたのでした。灰色、ブラームスらしい色…。その灰色の粒の中に、私は人の愛が観えます。

 演奏者は、やはりドイツの名ピアニスト・ウィルヘルム・ケンプ(1895-1991)の右に出る者はいないでしょう。兎に角、この曲に対する愛着が素晴らしい…。愛して愛して尚も愛する、徹底的な研鑽の上に成り立った楽曲解釈を達成しています。「ブラームスだってこう弾いたであろう…」と私は確信しています。
 
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2013年06月11日

ピアノ曲を聴きましょう4 三上夏子、エリスマン邸、ピアノ生演奏 2013.06.11

貝殻坂の碑 山手本通りの石碑
貝殻坂と山手本通りの石碑
大好きなプロムナードを辿ると、やがて外国人墓地とそれを取り巻く元町公園の森が見えてきます。この横浜の美しい道・山手本通りは、日本の道100選にも選ばれています。その先には、貝殻坂とこの山手本通りの道の石碑が階段を仕切って並んでいます。この坂を下れば元町へ、真っ直ぐ進めば直ぐエリスマン邸です。

三上夏子の演奏姿 ダイニングの生花
三上夏子の演奏姿とエリスマン邸・ダイニングの生花
名ピアニスト・X・ホロヴィッツの言に「ピアニストにとって一番大切なのは、ピアノを打楽器から歌う楽器にすることである」があります。一寸した名言ですが、最近の夏さんの演奏にはその片鱗が見え隠れしています。ピアノ音を綺麗に響かす、そしてそこに何がしかの心理を籠め歌う、夏さん、ピアノ音楽の豊さを掴み始めているようです。

私にとって、思い上がりと言われようが、エリスマン邸は我が家のリビングの感があります。幸せな事に、月に一回、ここで娘と家庭音楽会が開けるのです。何の無理難題を演奏者に押し付けずとも…。この幸福が何時までも続くようにと、ただ祈るだけです。

明日は、新装開店?のエリスマン邸・喫茶室“カフェ・エリスマン”と究極の下町イタリアン“ラッツオ”のピザ&パスタ&ジェラートを紹介します。

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ピアノ曲を聴きましょう3 娘のエリスマン邸ピアノ生演奏聴いて来ます 2013.06.11

 今日は娘のエリスマン邸生演奏の日、これから妻と一緒に山手・エリスマン邸に行って来ます。今回は、娘のブログによると、ディズニーナンバーも取り上げるとか。だったらこれをNちゃんにも聴かせたいな…。どんな反応を示すのかしらネ、興味津々ですね。何れ私のお伴で、連れて行ってやりたいと考えています。では行って来ます。
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2013年03月16日

ピアノ曲を聴きましょう2 ノクターン第1番 変ロ短調 OP9-1 フレデリック・ショパン 2013.03.16

 ノクターン、夜想曲と題されたショパンのピアノ曲集は、全二十数曲ありますが、作曲年代は全生涯に亘っており、最もショパンを知る上で大事なジャンルと言えるでしょう。遅いテンポで静かに夢見るようなセンチメンタルな旋律、ゆったりと幅広い音域を行き来する伴奏、ペダルの効果を最大限活用するその協和音の響きは正に夢幻的と言えます。時にゆっくりと静かに囁き、時にきらびやかに上下する音階、ピアノの美音をこれ程までに意識し作られたピアノ曲は空前絶後でしょう。

 1830年から翌年にかけて作曲されたノクターン第1番変ロ短調は三部形式の曲。一部の冒頭は甘く切ない右手の旋律だけで始まり、直ぐにアルペジオの左手の伴奏が追いかけます。協和音の澄みきった響き、下降音階を挿入した美しいとしか言いようがない旋律、これこそがピアノエンタテイメントショパンの極致と言ってよいでしょう、そのピアノの美音に身も心も痺れます。

 中間部は雰囲気を変え、夜のしじま(無言)に一人囁くような風情で進み、次第に思いは乱れ高揚しピークを迎えますが、やがて今度は尚も静かに消え入るように終わります。

 三部では再び冒頭の旋律が表れ、今度は一部よりやや力強く華麗に響かせ、最後に胸にわだかまる切なる想いを刻印して名残惜しげに終ります。その時結尾では一瞬不協和音が鳴るのです。意味深で興味深い不協和音ですね。何を意味している事やら…
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2013年03月04日

ピアノ曲を聴きましょう1 「子供の情景」Op15 ローベルト・シューマン(1810〜1856)

@楽器の中のピアノ
 演奏するしないは兎も角として、何方でも人それぞれに、楽器の好き嫌いはお有りでしょう。ヴァイオリンの好きな方、チェロが好きな方、木管が好きな方、金管の好きな方、打楽器が好きな方等々、それでもどうもこの楽器は好きでないなとか、あの楽器の音は嫌いだななどと仰る方もおいででしょう。楽器の好みにも個性は付きものですね。私は仕事柄、当然ピアノが大好きで、一番と言って良いでしょう。鍵盤楽器では他にチェンバロ、クラビコード、チェレスタ、オルガン(パイプ及びリード)、アコーディオン等がありますが、やはりピアノが最高です。何しろピアノは響きがロマンチックですものね、ピアノほどロマンチックを表現するのに適した楽器は他にないと言えるでしょう。たとい一音でも鳴れば、その場にロマンの妙なる香りが立ち籠めます。そして更にハーモニーを使えば、その多様な七色の和声で如何なる心の変化も映し出せます。ピアノはロマンチックの権化(権現)と言える、人間世界を映す鏡なのです。

 重く伸びやかな低音部、静けささえ湛える芳醇な中音部、温かく心を満たす歌を司る次高音部、そして煌びやかで鐘の音のような高音部。また言い変えるならば、低音部は底知れぬ深い海、中音部は満々と水を湛える湖、次高音部は流麗な川の流れ、高音部はクリスタルな滝の飛沫。88音もありながら、最低音から最高音まで、全音域に亘って官能性が高く表現力が豊かで個性的です。しかも、一人でシンフォニーまで演奏できる、スケールの大きさと万能性まで備えています。正にピアノは一人オーケストラと言えるのです。

 そんな優れたピアノの飛びっきりの名曲をこれから長い期間を掛けて、新しいカテゴリで紹介して行きます。第1回目は、“完全無欠のピアノの詩人・ショパン”をも凌ぐ?と思われる“天性のピアノの詩人・ローベルト・シューマン”、…その詩人のエッセンスが最高度に凝縮された…、…正に天から降りて来た宝石…の「子供の情景」OP15を選びました。

Aシューマンのピアノ曲、妻クララとの関係 
 シューマンは尊敬し憧れたベートーヴェンに倣い、ピアノ曲以外にも様々なジャンルの曲を作曲しました。けれども作曲家を志すのが遅すぎたのか、あるいは大曲を作曲するには才能が足りなかったのか、オペラやシンフォニー、そして室内楽に大傑作と言えるような作品を残す事は叶いませんでした。従ってシューマンの大作曲家としての威信は今一つで、それは生前に於いても同様でした。その事が挫折に繋がり、生来の精神的特質も手伝い、やがて精神を病み自殺を企て、その果てに、精神病院で46歳の若さで亡くなったのでした。最愛の妻・クララと七人の幼い子供を残して…。何と言う不幸、何と言う悲劇、絶望の淵に追い遣られたクララでしたが、クララには一つの希望がありました。それは子供達ではなく、新たに現れた友人ブラームスでもなく、最愛の夫ローベルトが残した数々のピアノ作品でした。クララは決意していました。「私はローベルトの作品と一緒に生きて行こう。この宝石を世に広めよう。それが私の使命だから…、ロ−ベルトもきっと喜んでくれるだろう…、それが私の一番の幸せなのだから…」と…。

 交響曲やオペラで一番になれなかったシューマンですが、妻クララが夫のいない半生の拠り所とした珠玉のピアノ作品は、古今東西のあらゆる作曲家のピアノ作品の中でも一番か二番でしょう。もうライバルはショパンしかいないでしょう。ピアノの特性を最大限発揮させたショパンのエンタテイメント(娯楽性)には敵いませんが、ショパンと同等の、否それ以上の優しさと優雅さを持ったピアニズムを有しています。それは正に人間愛に溢れたロマンの香り立つ良質のファンタジーです。

B“子供の情景”誕生の経緯(ローベルト28歳、クララ19歳) 
 未だ二人が結婚する前に、クララはローベルトに言った事がありました。「貴方の心には子供が住んでいるのね。貴方はとても子供っぽく見えるわ…」、九歳も年下の愛する乙女に言われてローベルトはそれを心に残しました。まあ、男とは何歳になっても少年の心を宿しているもの、そして小生意気な乙女は大人になりたがり、意地悪を言いたがるもの、微笑ましい恋人の痴話喧嘩ですが、そこから未来に残るとんでもない名曲が生まれ出るなんて、クララはこの時知る由もなかったのでした。その後、それが切っ掛けとなり、ローベルトは自分の子供時代の出来事や思い出をあれこれ思い返し、それに極め付けの幻想性を盛り込んで、30曲(出版時に13曲に絞り現在に至る)ほどのピアノ小品を作り上げました。勿論、真っ先にクララに見せました。クララは「素敵な曲ばかりね、私が言った意地悪で、こんなに美しい曲を書いてしまうなんて、貴方は天才ね、嬉しいわ、愛してるわ…」、二人はヒシと抱き合い、甘い接吻を交わしたのでした。…何てね…、まあ、これは私の勝手な想像ですが、あながち偽りとは申せません。二人の愛は固く、二人の結婚に反対していたクララの父親の度重なる妨害にも断固として裁判で戦い、勝利して、結婚に漕ぎ付けたのでした。それは一際音楽史に残る素晴らしい結婚でした。

*クララ・シューマン(旧姓・ヴィーク、1819〜1896) 名ピアノ教師である父親の薫陶を受け、当代随一の女流ピアニストに成長する。シューマンと結婚、のちに若くして未亡人となるが、生涯に亘って夫・シューマンの作品の普及に努める。 

 *子供の情景*
第1曲 見知らぬ国々と人々について
優しい歌い出し、さあ懐かしい思い出の国に行きましょう、あの人はいるかしら?

第2曲 不思議なお話
一寸リズミック、でも直ぐに優しさが、語り掛けるように…

第3曲 鬼ごっこ
皆で鬼ごっこ、わっ、僕捕まっちゃったー

第4曲 おねだりする子供
何となく媚びを売っているかな、でもさ…、だってさ…、なんて言っているね

第5曲 大満足
何だか嬉しいな…、ワクワクしちゃう!

第6曲 重大事件
重大事件、それって何さ、何か楽しそうだぜ!

第7曲 トロイメライ
白日夢と訳されるそう…、でも不思議にも夜の雰囲気で一杯、全曲中の白眉、美し過ぎる傑作

第8曲 ろばたにて
温かい炉端に集まって皆でお話、今度は貴女、次は君、そうかいそうかい、そうだよね

第9曲 木馬の騎士
あそこには木馬があったよね、ハイドウドウ…、楽しいね!

第10曲 むきになって
このむきになっては静かな“むき”、一寸涙ぐんでいるよ…

第11曲 びっくり
待ち伏せかい! びっくりびっくり!

第12曲 子供は眠る
夢の中、安らかに子供は眠る、でも一寸悲しいかな? ママがいない?

第13曲 詩人のお話
詩人はシューマン? 入り組んだ繊細な感情と神秘的情緒を持った曲、これぞドイツロマン派、ショパンではこうは行くまい!

 *追伸
ここに述べた各曲の論評は、あくまでも私の私見です。これに拘らずに、まっさら(真新)のお心でお聴きください。演奏(CD)は、ウラディミール・ホロヴィッツがお勧めです。冴えたタッチと透明な響き、更に繊細な歌い廻しが絶妙です。
posted by 三上和伸 at 23:16| ピアノ曲を聴きましょう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする