南アルプスは森林帯が大半ですので、日当たりの花ばかりでなく、日陰の花も咲きます。秋の日当たりには野菊類が多く咲きますが、木陰や水の滴る苔生した岩の上では、ユキノシタ類の日陰の花が咲きます。林道を歩くだけでも数種類の花を観る事が出来ました。
リュウノウギク(キク科)竜脳菊
葉を揉むと香木の竜脳に似た香りがあります。ご覧のように、一株で多くの花を咲かせます。ノコンギクとは違い白花ですね。秋の野花では一際美しく、好く目立ちます。
アキノキリンソウ(キク科)秋の麒麟草
何処の山でも大抵咲いています。先日の北海道でも、神威岬に沢山咲いていました。黄色の花、野の花では黄色は珍しいので、見付けた時の喜びが違いますね。別名は泡立ち草です。まあ、都市部の極め付けの雑草セイタカアワダチソウの近縁でもあります。
ノコンギク(キク科)野紺菊
名の通り紺色の花、とは言っても紺とは少し異なる薄紫の色ですね。色幅があり、濃いものもあれば、白に近い種類もあります。この花も郊外から山地まで、幅広く日本に分布しています。
ジンジソウ(ユキノシタ科)人字草
ユキノシタと同様に5枚の花弁があります。その内の上部の3枚が極めて小さく、下の2枚が長くて大きい、故に人の字に観えるので人字草の名があります。ユキノシタ属の花は良く似ていますが、下の大文字草は大の形に観えますね。双方とも湿り気のある岩上に咲きます。写真は落石防止の金網が張ってある林道の切り岸に咲いていました。金網を突き抜けて成長したのですね。写真としては金網が煩いですが、これも自然の一風情、仕方ありません。
ダイモンジソウ(ユキノシタ科)大文字草
ジンジソウと同様の場所に咲きます。良く観ると、ジンジソウに比べ、上の3枚の花弁が大きく、大文字に観えます。園芸栽培が盛んな野草で、丈夫な草です。