今回の展示の主役を務めたのが、日本画家・守屋多々志が描いた大きな屏風絵「ウィーンに六段の調」でした。これはウィーン日本総領事・戸田伯爵の夫人・戸田極子が日本の箏曲・「六段の調」をブラームスに聴かせている絵で、ブラームスが五線紙を持ち、ペンを走らせる構図を表しています。ブラームスはこの「六段の調」の自らの写譜を、ウィーン楽友協会に譲った遺品の中に、持ち合わせていたのでした。
その華麗なる屏風絵の左隣に、この世界に25台しか存在していない、ベーゼンドルファーのグランドピアノが飾られてありました。このピアノは何と大屋根裏にウィーンで馴染みの画家・グスタフ・クリムトの「アデーレ・ブロッホ=バウアー」の肖像画が描かれていたのでした。写真は照明の加減で、映りが悪いのですが、間違いなく、アデーレの顔が浮かんでいます。このピアノ、触れてはならぬそうですが、写真撮影はOKでした。