2017年08月18日

音楽夜話35 響けユーフォニウム、ユーフォニウム(ユーフォニアム)てどんな楽器? 2017.08.18

ある高校を舞台とした人気アニメ「響けユーフォニウム」の影響で、ブラスバンド不人気楽器のユーフォニウムが今脚光を浴びているそうです。現在は人気ナンバーワンと格上げされ、ブラバン入部の折、希望する生徒が多発しているそうです。アニメとは若者には莫大な影響を与えるものなのですね。これまで高音ソロ楽器をやりたい生徒が大半だったブラバンの世界で、音域がトロンボーンと同じ中低音楽器のユーフォニウムが人気を博す、まさに画期的な事です。いったいどんな音がするのですかね。

ユーフォニウムはバリトンやホルンなどと同様に、高音と低音を繋ぐ中音楽器で、体で例えれば、高音が皮膚、低音を骨格とするならば、言わば肉を担当するのが中音楽器です。肉付きの良い豊満な響きを得るには、中音楽器は不可欠です。ユーフォニウムはその中でも一際柔らかく好い音がするのです。アルトホルンやホルン、またはバリトンと言う楽器と同格ながら、ブラバンに適したソフトな音が出るユーフォニウム、脚光を浴びるのは当然と私は思います。合奏曲には裏旋律と言う主旋律と対峙する美しいメロディーがありますが、それを担当するのもユーフォニウムを始めとした中音楽器です。ユーフォニウムは陰の主役です。
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2017年07月23日

音楽夜話34 リトルコンサート・三上夏子のリハーサル風景 2017.07.23

今日は、熊田恵・三上夏子が主宰する音楽教室のリトルコンサートの日でした。このリトルコンサートは企画や選曲に楽しさがあり、中々見所聴き所のあるコンサートです。調律直後は、三上夏子講師のゲネプロ(リハーサル)が行われました。ブルクミュラーのエチュードやモーツァルトのピアノとヴァイオリンのためのソナタを試し弾きしています。

三上夏子が弾く、雄大なピアノが写っています。これは横浜保土ヶ谷のアートホールのピアノで、ハンブルクスタンウェイのD型です。つまりは最大のピアノで、コンサート用のフルコンサートグランドピアノです。勿論調律は私がしたものです。古いピアノですが何度もオーバーホールを重ねられており、艶のある音色と最適な音量を出す、まだまだ使える有能な楽器です。

三上夏子も気持ち良さそうに弾いていました。OKだそうです。

posted by 三上和伸 at 23:43| 音楽夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月15日

音楽夜話33 Mフェア、いい日旅立ち 2017.7.15

今夕放映されたミュージックフェアで、谷村新司、さだまさし、そして友和・百恵夫妻の子息三浦佑太朗が歌った「いい日旅立ち」に感動しました。何時聴いても素敵な曲(歌)で、勿論最良は百恵さんが歌う「いい日旅立ち」ですが、谷村も好い歌を歌いますね。さだと佑太朗は今一でしたが…。

「いい日旅立ち」は、数多ある日本の歌謡曲の中でも最高の傑作と私は確信しています。父と母に教えて貰った曲、それを道連れ(友)として恋を捜しに旅へ出ます、正に歌は絵となって私の目の前に浮んできます。詩と曲が一体となって我が魂に迫ります。

雪解け間近の 北の空に向かい

過ぎ去りし日々の 夢を叫ぶ時

帰らぬ人達 熱い胸をよぎる

せめて今日から一人きり 旅に出る 

ああ 日本の何処かに

私を待ってる人がいる

いい日旅立ち 夕焼けをさがしに

母の背中で聴いた歌を 道連れに


岬のはずれに 少年は魚釣り

青いすすきの小径を 帰るのか

私は今から 想い出を創るため

砂に枯れ木で書く積り ”さよなら”と

ああ 日本の何処かに

私を待ってる人がいる

いい日旅立ち 未雲をさがしに

父が教えてくれた歌を 道連れに


ああ 日本の何処かに

私を待ってる人がいる

いい日旅立ち 幸せをさがしに

子供の頃に歌った歌を 道連れに




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2017年07月09日

音楽夜話32 真凛が踊るトゥーランドット 2017.07.09

先日フィギュアスケートの真凛ちゃんが踊る新曲を「トゥーランドット」とお伝えしましたが、この「トゥーランドット」とはどんな曲か興味を持たれる方も多い事でしょう。少し私がお教えいたしますね。

ジャコモ・プッチーニはイタリアのトスカーナ地方のルッカで生まれました。家系は宗教音楽家一族であり、プッチーニも音楽の素養を十分備えて生まれてきました。しかし先達のG.ベルディ―の「アイ−ダ」を聴いて感動し、オペラ作曲家を目指しました。

第3作目の「マノンレスコー」が大成功し、一躍プッチーニは注目を浴びました。その節に台本作家のL・イリッカとG.ジャコーザの知己を得、「ラ・ボエーム」、「トスカ」、「蝶々夫人」の三大傑作を生み、ベルディ以降のイタリアオペラの最大作曲家と言われるに至りました。

「トゥーランドット」はプッチーニ最後の作で、L.シモーニ及びG.アダーミの台本を基に書かれました。しかしプッチーニ死去の為フィナーレが残されてしまい、その遺稿から弟子のF.アルファーニが完成させました。しかしながらアルファーニはプッチーニの才能には及ばず、不完全ながらも1926年4月26日にミラノスカラ座でA.トスカニーニ指揮の下、初演を果たしました。

「トゥーランドット」あらすじ
「トゥーランドット」は、「蝶々夫人」の成功で味を占めたプッチーニが同じ東洋のエキゾチシズムを題材とて選び、今度は中国を舞台としたオペラを書きました。

第1幕
北京の王宮前の広場
トゥーランドット姫は、求婚者が現れる度に彼等に謎を掛け、それが解けないときには求婚者を死刑に処する事にしていた。タタール王子のカラフは、自分を密かに恋している純情な女奴隷リューの願いを斥けてトゥーランドット姫への求婚を決意する。

第2幕
謎解きが始まる。
第1の謎「闇を照らせど」に対して、カラフは「望み」と解く。第2の謎「炎のごとく燃ゆるれど」に対して、「血潮」と解く。第3の謎「炎より生まれて」に、カラフは暫しの沈黙の後「トゥーランドット」と答える。しかしトゥーランドットは「カラフと結婚したくない」と言う。今度は、カラフが「夜明けまでに自分の名前を解き明かせば、潔く結婚を諦め身を捧げよう。しかしもし解き明かさなければ私と結婚するように」の条件を出す。

第3幕
姫は夜通しカラフの名前を知ろうと努め手を尽くす。
リューとカラフの父が捕らえられ、リューは拷問されるが、名を明かさず、自害して果てる。また姫は国中にふれを出し、寝ずにカラフの名前を調べ上げるようにと命令する。カラフは姫の冷たさをなじり激しく言い争う。しかし、次第に姫の冷たい心も和らぎ、二人は結ばれる。

フィギュアで使われる曲は、この第3幕のカラフ(王子)のアリア「誰も寝てはならぬ」です。この題名はこのアリアの出だしの歌詞で、その続きの歌詞は以下の通りです。

(王子)
誰も寝てはならぬ!
誰も寝てはならぬ!
お姫様、あなたでさえも、
冷たい寝室で、
愛と希望に打ち震える星々を観るのだ…

しかし私の秘密は唯胸の内に秘めるのみで、
誰も私の秘密を知らない!
いや、そんなことにはならない、
夜明けとともに私はあなたの唇に告げよう!
そして、私の口づけが沈黙の終わりとなり、
私はあなたを得る。

(コーラス・女声)
誰も彼の名前を知らない…
私達に必ず、嗚呼、死が、死が訪れる。

(王子)
おお、夜よ去れ!
星よ沈め!
星よ沈め!
夜明けとともに私は勝つ!
私は勝つ!
私は勝つ!

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posted by 三上和伸 at 20:09| 音楽夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月08日

音楽夜話31 古楽器によるブラームスの室内楽 浜離宮朝日ホール 2017.06.30

今日ではその音楽がその創られた当時の楽器で演奏されるコンサートが増える傾向にあります。近年、古楽器の修復がとみに盛んになり、年代物の楽器が調整されて使われる演奏会が音楽界を賑わせつつあります。一般にはバロックバイオリンやヴィオラ・ダ・ガンバ及びチェンバロを使ったバロック音楽に主体がありますが、19世紀の初頭から造られたフォルテピアノ(19世紀前後に作られた古いピアノ)によるピアノ演奏会(モーツアルト・ベートーヴェン以降の音楽)も頻繁になされつつあります。そんな時勢を踏まえて、今回のオール・ブラームス・プログラムは、古楽器・フォルテピアノを使ってのブラームス生前の当時の音を再現すべく、催されました。

シュトライヒャーのフォルテピアノ
フォルテピアノ、J.B.シュトライヒャー7150(ウィーン製)
総木製で平行弦張り、シングルエスケープメントのウィーン方式のアクションを持つピアノ。鉄骨が無いので、標準ピッチはa≒338Hzを採用しています。1871年製で、ブラームス38歳の時にウィーンで造られたことになります。これとほぼ同時期に造られた同じシュトライヒャーのピアノを引っ越したばかりのウィーンカールスガッセのアパートにブラームスは搬入(1871年)しています。そしてそれはブラームスが死ぬ(1897年4月)まで使われました。

製造されてから146年を経過したフォルテピアノ・シュトライヒャー7150、良く調整されており、調律も確かでした。 

ヴァイオリンとチェロ
今回の演奏会のヴァイオリニストの佐藤俊介の言う事では、一番低いG線以外はピュア・ガット(銀線を巻かない裸のガット弦)を張って演奏に臨んだそうです。

チェロも高弦の2本をピュアガット弦に、そしてエンドピン(床に突き立てて楽器を支える棒)無しで、足で包み込むように支えて弾いていました。

*ガット弦=羊の腸を撚り合わせたもの、柔らかく自然な音色を持ち、弦楽器の最高の弦、しかし大変切れ易い。

曲目は、ヴァイオリンソナタ第2番イ長調作品100、チェロソナタ第1番ホ短調作品38、そしてピアノ三重奏第3番ハ短調作品101でした。

以上の華やかさを抑えた楽器仕様、当然出てくる音はしっとりと静か目、しかし重厚な音塊を持つ、この音響がブラームスの思い描いた音色。

あのヘルミーネ・シュピースの色香が香るヴァイオリンソナタイ長調(1886年)、美しさこの上ない絹の肌心地がする演奏でした。

チェロソナタホ短調(1865年)は、あのフーガが唸りを挙げて邁進するもの、圧倒的な迫力で走り去りました。

ピアノ三重奏曲ハ短調(1886年)はアンサンブルを楽しむ曲、三者のビロードの音が交錯し、最もブラームスの息吹きを感じさせました。目を閉じればブラームス(ピアノ)、ヨアヒム(友人のヴァイオリニスト)、ハウスマン(友人のチェリスト)が目の前で私の為だけに弾いてくれている感じ、130年のタイムスリップ、贅沢な時間でした。

フォルテピアノ:スーアン・チャイ
ヒストリカル・ピアノ(歴史的なピアノ)の演奏に定評のあるピアニスト。フォルテピアノによるベートーヴェンピアノソナタ全集のCDを発表し、高い評価を得ています。

ヴァイオリン:佐藤俊介
モダン、バロックの双方のヴァイオリンをこなすヴァイオリニスト。アムステルダム音楽院の古楽科教授。

チェロ:鈴木秀美
チェロ奏者及び指揮者として活躍しています。主にバロックが専門で、バッハの権威として知られています。


                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                
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2017年07月07日

音楽夜話30 将棋加藤一二三さん愛好のメンデルスゾーンの「スコットランド」 2017.07.07

中学生最強棋士藤井四段に敗れて話題となった長老加藤一二三さんは、大のクラシック音楽ファンだそうてす。あるテレビでそれを話題にした加藤さんは、スコットランドに旅したいと述懐されていました。理由はこのメンデルスゾーンのシンフォニー「スコットランド」を愛聴しているからだそうで、是非この曲の表したスコットランドを観てみたいと仰りました。

メンデルスゾーンは20歳の時、イギリスフィルハーモニック協会の招きでイギリスを訪れ、演奏会(ベートーヴェンの「皇帝」のイギリス初演)のついでにスコットランドまで足を延ばし、観光までしました。その時エディンバラのホリルードの遺跡を観て、十六世紀にあった殺傷事件を思い出し、即その場(宮廷の礼拝堂)でその悲劇性に添うメロディーを発案し、交響曲を書き始めました。されどメンデルスゾーンは巨匠であり名士でもあったので多忙を極め、このシンフォニーは12年後(33歳)に本格的に書き始められ、ベルリンで完成したのでした。

美しいメロディーが次から次に現れるシンフォニーで、極めて上品で、そつの無い堂に入った書き振りを示しています。哀感漂うメランコリーと雄大な写実的音詩が如何にもスコットランドを表現していると思われます。加藤さんはこのセンチメンタルに心を奪われているのでしょうか?
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2017年04月08日

音楽夜話29 コンサートに行って来ました 2017.04.08

私のお客様が”大田区ハイドン室内管弦楽団”の第2ヴァイオリンを担当されているご縁で、今日このオーケストラの第55回定期演奏会並びに創立30周年記念演奏会を聴いてきました。

曲目はハイドンオーケストラの名として当然ながら、前半はハイドンのロンドンシンフォニーでした。そして後半はモーツァルトの”歌劇フィガロの結婚”と”歌劇ドンジョバンニ”の序曲と数曲のアリアなど演奏されました。

「ウィーン古典派第1位のハイドン」と言ってしまえば、現代では突飛と想われるかも知れませんが、当時ではそれが当たり前でして、モーツアルトやベートーヴェンよりも人気が高く、第一人者と呼ばれていたのです。

そのハイドンが作った最後のシンフォニーがロンドンで、パトロンの”エステルハージ候(有力貴族)”が死んだ後、無職となったハイドンがロンドンで出稼ぎした事がこの曲を書く切っ掛けでした。当時としては大ヒット作で、ロンドンでもウィーンでも盛んに演奏され、楽譜も売れたそうです。

ハイドンと言えば”健やか”、モーツアルトのような”不健康さ”がありません。誰が聴いてもスカッと爽やか、春の風のような音楽です。御多分に漏れずこのロンドンも健康そのもので、当時の音楽に期待されるスッキリとして気持ち好い娯楽趣味が横溢した名曲でした。

モーツアルトのオペラと言えば、男女のアッチの話が常套です。好色一代男がいて女性を口説いて我が物にしようとする話ばかり、嘗てヨハンシュトラウス2世の項でもお話しましたが、下世話な色恋話が多いのです。これも大衆が求める需要であって供給者(モーツァルト)の責任?ではありません。こんな詰まらぬ話でもモーツアルトは音楽として飛び切りの傑作としてしまいます。フィガロの結婚、もう序曲からして誰も書けない曲、このインスピレーションは何処から来るのでしょうか? 正に音楽の神(悪魔)から魅入られた楽人、モーツァルトは最初で最後の作曲家です。

今回のフィガロの結婚は本当に素敵でした。フィガロが歌うアリア「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」、バリトンの原田勇雅(ゆうや)さんが軽く歌って好い感じでした。伯爵夫人(メゾソプラノの杉山由紀さん)とスザンナ(ソプラノの高原亜希子さん)が歌う「手紙の二重唱」は女声二重唱と言う事もあって、私の好みでした。ソプラノの高原さん、自然な発声で澱みの無い透明な声、大好きになりました。

最後にアンコールのアヴェマリア。何とこれは指揮者の井上さんが作曲したもの。数多の名曲に使われたアヴェマリアの原典の詩に井上さんがメロディーを乗せました。鳴り止まぬ拍手喝采がこの曲の美しさを証明しました。舞台と客席から立ち去る者はいませんでした。演奏者と客席が一体となりました。好い時間、好いコンサートでした。

*指揮者、歌手、コンサートミストレス(女性のマスター)の吉原葉子さん以外は、アマチュアオーケストラの楽団員です。それでも良く訓練されており、見事なアンサンブルを提供なさいます。今回もアマチュアながらの熱意が感じられました。
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2017年03月20日

音楽夜話28 牛田智大のアンコールピース 2017.03.18

ブリティッシュパブ・ハブ ビール ピッツァ・マルゲリータ
初台のオペラシティに着いたのが開園1時間前でした。お腹が空いたのでこの空き時間に軽食をとる事にしました。沢山食事処があるようでしたが、行き掛けの吹き抜け広場に2~3お店があったので、その一つのブリティッシュパブ・ハブに立ち寄りました。妻はビール、私はアールグレイティーで喉を湿し、ピッツァ・マルゲリータとカレーライスを注文しました。マルゲリータがグーでした。30分余りの時間、一息入れて、コンサートに望みました。私の目当てはブラームスのシェーンベルク編曲によるオーケストラ版ピアノ四重奏第1番ト短調でした。どんな音が開陳するやら、期待が徐々に高まりました。

オペラシティ中庭のギター演奏
食後吹き抜け広場に出ると何時の間にやらギターの生演奏が始まっていました。私は気になって寸暇を惜しんでギターを楽しみました。流れるはスペイン情緒溢れるフランシスコ・タレルガのアルハンブラの思い出でした。ドイツ音楽の前にスペイン情緒、何方も大好きな私の嗜好に合った音楽、果たしてこれは私好みの私への今日のコンサートの前菜か?。

牛田智大のアンコール、プーランクの即興曲
メインの「皇帝」ピアノコンツェルトを弾いた後、割れんばかりの何時果てるとも知れぬ拍手の前で、17歳の牛田君はアンコール演奏をしてくれました。牛田君、曲目を告げずに弾いたので、私も妻も???。何やら私の知らないショパンの遺作のような曲が流れました。「好い曲だな~」と思いつつも、休憩後の後半のブラームスが終わり、ブラボーの嵐が止み、ロビーまで辿るとその証がありました。この本日のアンコールの告知ポスターが…。「ほう、プーランクの即興曲第15番」、何?「エディツト・ピアフを讃えて」。あのシャンソンの女王のピアフ、道理で歌に満ちた曲でした。正にシャンソンのようなピアノ曲、プーランクはピアスがお気に入りだったそうです。

*牛田智大
福島県いわき市生まれ、上海で過ごし、ピアノを始める。12歳の年の2012年の浜松国際ピアノアカデミー・コンクールで最年少第1位受賞。同年に12歳の最年少でユニバーサルよりCDデビューを果たす。その後の2015年の「愛の喜び」と2016年発売の「展覧会の絵」はレコード芸術で特選版に選ばれている。早熟の天才と言える。

posted by 三上和伸 at 08:45| 音楽夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月18日

音楽夜話27 東京シティフィル第305回定期演奏会 牛田智大ピアノ 2017.03.18

今朝方の「一日の初めに…」で申した音楽会、行って来ました。東京シティフィルの定期演奏会で、演目は牛田智大(うしだともはる)のピアノによるベートーヴェンのピアノコンツェルト第5番の「皇帝」とブラームスのアルノルト・シェーンベルク編曲のオーケストラ版のピアノ四重奏曲第1番ト短調でした。

ベートーヴェンの皇帝は、何と弱冠17歳と言う牛田のソロで演奏され、その若々しい清潔なピアノは好ましいものでした。帰宅後三上夏子に報告した所、夏子も良く知っていて「どうだった?」と尋ねられました。「まあ、曲が単純明快な解り易いものだからね。ピアノを綺麗に響かせ、澱み無い好い演奏だったよ」と答えました。事実、実に明快な演奏で、リズム感、テンポ感が優れていました。

ブラームスは中々微妙な印象を受けました。ブラームスのファンだったシェーベルクでしたが、ブラームスの音楽の娯楽性の無さと室内楽の不人気に業を煮やしたようで、「一つ俺がブラームスのこの室内楽を誰もが喜ぶ聴き易いものにしてやろう」、そんな気持ちでこの曲のオーケストラ版の編曲を手掛けたのでした。

果たしてそれは成功か?失敗か?、全4楽章の内、第1第3楽章は失敗…、第2楽章はまあまあ…、大成功は第4楽章、これが私の印象でした。第4楽章だけを編曲すれば良かったのにね…。

第1楽章の原曲は、室内楽特有の緊迫感の強い求心的な作品で、これをオーケストラ(シンフォニー)にするのは無理がありました。説得力の無いふやけた楽章になっていました。シェーンベルク、二進も三進も行かなかったようです。

第2楽章はスケルツォですからそれ程の違和感は無かったですね。問題は第3楽章、もう効果を上げ感動を煽ろうと四苦八苦するシェーンベルクが見えてきます。まるでブルックナーの緩徐楽章みたいになっていました。これでもかこれでもかと法螺を吹くのですよ。リアリズムのブラームス、ブルックナー風の法螺はないのです。

大成功の第4楽章(ツィゴイナ―風のロンド)、この楽章はもう既にハンガリー舞曲ですからね。実際のハンガリー舞曲はオーケストラ版が素晴らしいのですからね。ですからここでは大成功を収めているのです。ジプシー音楽独特の粘る哀愁と熱狂のリズム、圧巻のエンディングは狂乱の坩堝、脳髄を麻痺させるパンチ力に満ちていました。ブラボーが鳴り止みませんでした。
posted by 三上和伸 at 23:29| 音楽夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月23日

音楽夜話25 ニューイヤーコンサート、ブラボー! 2017.01.12

前半
先月の12日、新宿の東京オペラシティ・コンサートホールで開かれた古きウィーンのサロンオーケストラ(Salonochestoer Alt Wien)のニューイヤーコンサート2017を聴いて(鑑賞して)きました。ウド・ツヴェルファー(コンマス)率いる小編成のサロンオーケストラに、ソプラノのヘーゲ・グルターヴァ・チョンとバリトンのセバスチャン・スーレの美声の歌手二人に加え、魅力たっぷりのバレエ・ダンサーのニコラ・マローヴァ(バレリーナ・女)、ミヒャエル・シュティーバ(バレリーノ・男)が出演しました。

唯単にオーケストラだけのニューイヤーコンサートでは無く、色物(歌に踊り)を加えた魅力たっぷりの演目が目白押しのコンサートでした。ウィーンの華麗なるエッセンス、新年最初の見事な娯楽を与えてくれました。

このチケットは、新聞紙上にあった抽選の招待券でしたのですが、私らが当たったのは、只券で無く割引券でした。まあ半額の¥3,000でしたのでお得感は大きいものがありました。新宿ですので交通費は掛かりましたが、横浜の2倍くらいは仕方がないですね。そこまで考えたら何処も出掛けられません。良いものを楽しむには、ある程度の出費は当然ですね。

1、ポルカ・シュネル「雷鳴と電光」OP324 ヨハン・シュトラウスU世
ポルカには種類があり、ポルカ・シュネルはドイツ語で、早いポルカを意味します。ポルカはボヘミア(チェコ)の民族舞踊ですが、19世紀になるとヨーロッパ各地で人気が出て踊られるようになりました。ポルカ・シュネルは速いポルカで、快速のテンポで弾き踊られます。ヨハン・シュトラウスにも多くのポルカがあり、ニューイヤーコンサートの定番曲が多くあります。「雷鳴と電光」はジルベスター(大晦日)コンサートのカウントダウン曲で、エンディングの号砲で年が明けます。この日は景気付けにこの曲を冒頭に選んだようです。年の改まり新年を示唆したのでしょう。

2、ワルツ「ディナミーデン(隠された引力)」OP173 ヨーゼフ・シュトラウス
シュトラウス家の次男・ヨーゼフが書いたワルツ。工業技師の職を得ていたのですが、初めはヨハンの病気代役で出ていた音楽の世界に、とうとう居着いてしまった男。才能があったようで、作曲も巧みにこなしたようです。理系の出身で、その音楽の中に科学の理論を導いたようです。その好例がこの隠された引力ですかね? まあ私には普通の綺麗なメロディーのワルツにしか聴こえないのですがね。時は産業革命の真っ只中、科学への関心が高まった時代でもありました。バレエのニコラとミヒャエルが流れるような柔らかい踊りを魅せました。ここではワルツ風の密着の舞踏ではなく、バレエ風な空間のあるダンスでした。

3、オペレッタ「こうもり」より アデーレのクープレ『田舎娘を演じる時は』 ヨハン・シュトラウスU世
こうもりとは、産業革命で成り上がった好色で飲兵衛な男女のドタバタ劇をオペレッタ(喜歌劇、軽歌劇)にしたもの。この曲は「こうもり」の中の有名なアリア。お手伝いのアデーレの歌うアリアで、偽貴族の男に自分の演技力を示し、女優になる支援をお強請りする下りを描くもの。快活ながら色っぽい風情を魅せて誘惑する蠱惑的なアリア。ソプラノのヘーゲ・グルターバ・チョンが魅惑的に歌いました。私は、このコロラトゥーラ風の確かな音程の張り裂けんばかりの高音に、全身が泡立ちました。好いですねソプラノ…

*クープレ=ロンド形式の主題以外のエピソード(挿話、逸話)の事。A-B-A-C-Aのロンド形式のBとCを言う、Aが本筋。本筋の合間に挿入する小話。

4、ポルカ・シュネル「ハンガリー万歳」OP332 ヨハン・シュトラウスU世
ハンガリーの独立運動を抑制するため、オーストリア=ハンガリー二重帝国建国2周年を祝う記念行事が行われ、その舞踏会で初演されたポルカ・シュネル「ハンガリー万歳」。シュトラウスはこの曲にハンガリーの行進曲を引用してハンガリーを称え、ハプスブルク家の意向思惑に応えました。

5、オペレッタ「ジプシー男爵」よりホモナイの歌『徴兵の歌』
この曲は私が検索した限り、ユーチューブにはなかったのですね。今になって初体験の曲は、印象が薄く、思い出せません、セバスチャン・スーレが上手く歌っていた事は重々承知でしたが…

6、ポルカ・シュネル「浮気心」OP319 ヨハン・シュトラウスU世
浮気心の題で心時めいては行けません。この題はホンの浮気心・軽い気分で付けた題名、ギャロップのリズムが特徴。ニコラとミヒャエルの踊りも軽快そのもの。

7、皇帝円舞曲OP437 ヨハン・シュトラウスU世
自らを皇帝と位置付けた飛んでもない自負心の産物と言われています。まあオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフT世の即位40周年を念頭に入れての作曲だったようですが…。しかしそれにしても名曲、美しく青きドナウ、ウィーンの森の物語などと並んでシュトラウスの傑作ワルツの一つ。

休憩

後半
8、オペレッタ「こうもり」より『序曲』 ヨハン・シュトラウスU世
この序曲は稀代の名曲、このオペレッタのさわりの数々を見事に繋ぎ合わせて開陳する、見事な腕前ですね。メロディーを繋ぎ合わせて一つの音楽にする、それが自然に聴き手に入り込む、賛美者ブラームスが言う様に一種の天才ですね。世紀末のウィーンを舞台にした酒と女と踊りの世界、こうもりとはフロックコートを着て夜な夜な女の許へ通う男を称した退廃的名称。

9、オペレッタ「天国と地獄」より「カンカン」 ジャック・オッフェンバック
ユダヤ系ドイツ人のオッフェンバック、そのオッフェンバックが書いた代表曲が、1858年10月21日にパリで初演されました。正式なタイトルは「地獄のオルフェ」で、有名なギリシャ神話の「オルフェウス」のパロディーとなっています。オルフェオと妻のエウリディーチェが倦怠期の夫婦に扱われており、初演時賛否両論を巻き起こしました。

「カンカン」、これは余りにも有名な曲で、日本の初期のテレビでは、文明堂のカステラのCM音楽に使われました。地獄でのダンスに登場するダンサーが高く足を上げて踊る蠱惑的な音楽です。この日はバレエのプリマ・ニコラ・マローヴァが圧巻の「カンカン」を魅せてくれました。その高く上がるしなやかな脚、赤いペチコートとパンティーがもろに晒されエロチックの極み、男共の瞠目の視線が一点に釘付けに…。この日一番の大ブラボーが鳴り止みませんでした。

10、オペレッタ「オペラ舞踏会」よりアンリとオルタンスの二重唱「別室へ行きましよう」(シャンブル・セパレ!) リヒャルト。ホイベルガー
副題でも判るように、極めてふしだらな物語。3カップルがそれぞれのパートナーの目を盗んでは別室へ消えて行く。ヘーゲ・グルターバ・チョンとセバスチャン・スーレが色っぽく歌いました。

11、行進曲「さあ、やるぞ!」 フランツ・レハール
やる気満々の軍楽隊長だったレハールが、若さを爆発させたマーチ、後のレハールの大成を覗わせる曲。

12、オペレッタ「ウィーン気質」よりガブリエレとバルディンの二重唱「ウィーン気質」 ヨハン・シュトラウスU世
ヨハン・シュトラウスU世の遺作、最後のオペレッタ。1814〜15のウィーン会議に想を得た作品。架空の国のウィーン大使・バルディンとウィーン女性ガブリエレの物語。ガブリエレが夫に「ウィーンの血、気質は特別なもの」と歌いかけるウィーン気質は二重唱の名曲。

13.「美しく蒼きドナウ」OP314  ヨハン・シュトラウスU世
普墺戦争に敗れたオーストリア国民を勇気づけるために、ヘルベック(ウィーン男声合唱協会)に頼まれて作曲した曲。最初に管弦楽で作曲されそれに男声合唱を乗せた曲。ヨハン・シュトラウスU世の代表曲でもあり、あらゆるワルツの最高傑作と誉めそやしても良いでしょう。ブラームスがこよなく愛した曲と言われています。ヨハンのウィーンでの評判は下ネタの下世話な作曲家と罵られていました。ところがブラームスが事あるごとにヨハンを褒めたので、やがてウィーン音楽批評界(ハンス・リックなど)もブラームスに倣ってヨハンを認めるようになりました。ヨハンはブラームスに恩義を感じていたようです。

まあ兎に角、肩の凝らない楽しい音楽会だったので、大満足でした。






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2017年02月13日

音楽夜話24 内田光子、歌曲共演で、グラミー賞 2017.02.13

お目出度い事であり、日本人として誇りに思う出来事がありました。ピアニストの内田光子が、ドイツ出身のソプラノ歌手ドロテア・レシュマンと共演したアルバム「シューマン・リーダークライス、女の愛と生涯、ベルクの初期の7つの歌」がグラミー賞・最優秀・クラシック・ボーカル・アルバム賞を受賞したそうです。内田は2011年以来の2回目の受賞であり、その多才な実力が評価されたようです。

ソロ活動では、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトのオーソリティーとして認められている内田ですが、今回は歌曲の伴奏に依っての受賞となりました。但し、伴奏と言えどもシューマンの歌曲は歌よりも伴奏部が重要であり、その表現内容の多くをピアノが担っています。シューベルトやブラームスの歌主体の歌曲とは一線を画す表現手段を持った歌曲なのです。従って今回のアルバムもそこのところを評価されたようで、内田のピアノの高い芸術性がものを言ったと言って良いのでしょう。

グラミー賞は音楽に与えられるアメリカ最高の賞。映画はアカデミー賞、舞台はトニー賞、テレビはエミー賞。グラミー賞は、これらの各賞と同格に扱われるそうです。

*シューマンのリーダークライス=歌曲集と訳せます。但し内容に一貫性のある物語歌曲とは異なるもので、同一の詩人の詩を使い作曲されたものです。リーダークライスは作品24と作品39の2集あり、作品24がハイネの詩、作品39がアイヒェンドルフの詩が使われています。
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2016年12月26日

音楽夜話23 アップルクリスマスCM2016が素敵でした… 2016.12.26

もう終わってしまったでありましょうが、頻繁にスポットCMで流れていたアップルのクリスマスCM2016、素敵でした。名はフランキーのクリスマスと言うもの…。出演は、フランケンシュタイン役のブラッド・ギャレットで、このフランケン、何か手回しオルゴールからダウンロードした曲を街の皆の前で流し歌い始めるもの…。そのあやふやな歌を傍にいた少女が愛らしく歌い継ぎ、最後に街の皆で合唱するもの…。その合唱が美しくハモって、音楽が生き生きと輝き始めます。思わず『ア〜イイな〜』とそのたび何時も感嘆の声を上げる私が居るのでした。この歌は、ホーム・フォー・ザ・ホリディズと言うクリスマスソングだそうで、多くのミュージシャンがリメイクしています。

*ブラッド・ギャレットは1960年生まれのアメリカ合衆国の俳優・声優・コメディアンだそうです。カリフォルニア大学ロサンゼルス校出身のインテリ、身長が203.8cmの大男だそうです。フランケンシュタインにピッタリですね。
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2016年12月25日

音楽夜話22 ASUKAの新曲「FUKUOKA」、昔取った杵柄、これはこれで良い 2016.12.25

フジテレビを観ていたら突然のようにASUKAの「HUKUOKA」なる曲が流れて来ました。詞の詳細は解らず仕舞いでしたが、曲調は昔のASUKAそのもので、ねっとりとした情念を歌っていました。歌唱力に独特の味があるので、再びのASUKAの懐かしい歌声が聴けました。私としては彼を決して肯定する訳ではありませんが、これはこれで昔取った杵柄であり、聴く価値のある音楽でした。

未だASUKA自身の進退は判りませんが、本当に改心し、人生をやり直し、復帰できるのであれば、また再び彼の音楽を聴いてみたい気がします。人間性は別にして、一つの音楽の天才、これだけは間違いのないところです。潔白を証明して、是非復帰を。
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2016年12月14日

音楽夜話21 モーツァルト没後225年(生誕260年)記念のCD米でバカ売れ 2016.12.13

ネットニュースで紹介されていましたのですが、米国で2016年度に売り上げたCDのナンバーワンが何とモーツァルトだったそうです。それは、モーツァルト没後225年記念の200枚組のボックスセットのバカ売れが原動力となったようで、125万枚のセールスとなったそうです。

その理由はと言えば、他のジャンルに比べれば、クラシック音楽ファンはCDから音楽を享受する事が多いようで、ストリーミング(インターネット上の音楽配信を利用する)には消極的だと言う事が判ったそうです。確かに私もそうでして、どうもストリーミングには馴染めません。落ち着いて確かな演奏の愛蔵版で楽しむ、これがクラシック音楽を楽しむ王道と考えています。今回の事で証明されたように、まだまだクラッシックCDは売れるのです。廉価で質の良い名演奏をドシドシ出して欲しい、これがクラシック音楽ファンの総意です。


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2016年12月02日

音楽夜話20 SCHWESTERコンサートvol.15 リーダーアーベント(夜の歌曲のコンサート) 2016.11.31

三上夏子が伴奏ピアニストとして参加した歌のコンサート、数人の独唱者と夏子を含め3人の伴奏者が揃いました。

シューベルト、シューマン、ブラームスのドイツ歌曲とドビュッシー、フォーレのフランス歌曲が選ばれました。

曲目

1部ドイツ歌曲
*シューベルト 美しき水車小屋の娘より、1旅、12中休み、17嫌いな色、20小川の子守歌

*ブラームス 雨の歌  伴奏:三上夏子

2部ドイツ歌曲
*ブラームス 12の歌曲とロマンスから、1愛の歌、2花婿、4質問  伴奏:三上夏子

*シューマン 女の愛と生涯から 1恋愛 3恋愛 4婚約 5友との別れ

*シューマン 詩人の恋 14夜ごとの夢 15昔話のなかから 16いまわしい思い出のなかから

3部フランス歌曲
*ドビュッシー 美しい夕暮れ

*フォーレ 月の光 伴奏:三上夏子

他に日本歌曲とシューベルトの歌曲の大曲「岩上の羊飼い」も演奏されました。岩上の羊飼いは、ソプラノ、クラリネット、ピアノの三重奏、ピアノの野本哲雄さんが良かったです。

三上夏子の伴奏は総じて柔らかい音で、歌と優しく溶け合っていました。但し、ブラームスの「雨の歌」は難曲でしたね。歌も伴奏も今一つでした。最も夏子らしい良さが現れたのがフォーレの「月の光」、暫し陶然と寛ぎました。
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2016年11月28日

音楽夜話19 日本とイタリアで推進する文化交流事業のオペラ「ジャパン・オルフェオ」IN鶴岡八幡宮、一部を観ました。感動でした 2016.11.28 

去る2016.10.07に、鎌倉鶴岡八幡宮で行われた、日伊修好150周年記念オペラ「ジャパン・オルフェオ」が昨夜(今朝未明)BSプレミアムで放送されました。残念ながら私はその存在に気付かず、隙を突いて、妻が夜更かしをして、鑑賞していました。風呂から上がった私は、その妙なる楽の音に胸騒ぎがし、着衣も儘ならず、テレビの前に座りました。何とそれはオペラであり、ステージは鎌倉鶴岡八幡宮境内で、野外公演のビデオでした。聴き進むに連れ、その演目が知れました。それは彼のイタリアのオペラの創始者とも言えるモンテヴェルディの世界最古のオペラ・「オルフェオ」でした。

ジャパン・オルフェオと称す訳ですから日伊の合作で、日本の古典芸能とイタリアオペラが交錯した最初で最後の演目でした。モンテヴェルディのオペラを骨格として、能楽と日本舞踊が絡み合う内容で、ヨーロッパ古楽器のオーケストラの上に、雅楽の楽器が溶け合う極上の音楽でした。私は本当に酔い痴れたのでした。

もう一度聴きたい! 私はこの放送を知らず、ビデオさへも撮れず、本当に馬鹿で情けない音楽好きとは思えない体たらくでした。もう一度再放送を遣らないか、NHKに明日聞いてみます。

                          モンテヴェルディ作曲・沼尻竜典作曲補筆「ジャパン・オルフェオ」。

「オルフィオ」あらすじ
ギリシャ神話に基づく物語
妻・エウリディーチェを毒蛇の為に亡くしたオルフェオは、地獄に下って妻を連れ戻そうとしました。しかし地獄の神とした約束を仕方なく破ったオルフェオは、救出の失敗を余儀なくされてしまいました。アウリディーチェ死に、絶望したオルフェオは、父・アポロの計らいによって神となり、アウリディーチェの待つ天国へ召されました。

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2016年11月05日

音楽夜話18 頭から離れないリピートメロディー 2016.11.05 

孫のYちゃんが、時折口ずさんでしまうアナ雪のメロディー、それは自然と記憶に刻まれ、思わず何遍もリピートしてしまうメロディーですね。まるで自分の脳の中に住み着いてしまっているような感覚です。私の場合今は、ヘンデルのアリア”私を泣かせてください”ですが、これが時を選ばず浮かんできます。もう私は小声で歌い出しています。勿論横文字の言葉は解りませんので、メロディーだけですがね…。これも人間の習性による現象だそうで、それを解説した論文が、米心理学会誌に掲載されたそうで、ネットニュースに載っていました。

そのリピート音楽を口ずさんでしまう主な理由は、テンポ、旋律の形態、独特の音程の三つの要素があるそうです。

そして条件の一つは単純すぎず複雑すぎない楽曲である事、リズムに合わせて、体を動かしてしまうような、テンポの速さと軽快さが求められると言う事です。

二つ目としては、頭から離れない音楽は、旋律の構造が単純でもリズミカルなパターンを持っていて、音程の上下が繰り返されるそうです。童謡の多くは、子供たちに覚えて貰いやすいように、このパターンで作曲されているそうです。

三つ目の条件は、単純で均一なパターンを保ちながらも、不意に独特な音程が入る事だそう…、つまり単純ながら変わっている楽曲だと言う事だそうです…

英国で3000人のアンケート調査を行い、耳にこびりつき易い有名な音楽を挙げてもらったところ、レディ・ガガの「バッド・ロマンス」がナンバーワンだったそうです。他にもガガの楽曲が多かったそうです。英国だからなのでしょうがね…
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2016年10月05日

音楽夜話17 マリア・カラスの絶唱、歌劇「トスカ」の歌に生き、恋に生き 2016.10.05

例の🎶ありがとうサヨナラ🎶で、気分が鬱陶しくなったので、それを漱ぐ意味を籠めて、愛聴歌の「トスカ」🎶歌に生き、恋に生き🎶を聴きました。

一点の曇りないカラスの歌、カラスの声、曲は悲劇的ですが、その歌は晴れ渡った青い空のように爽快です。私の胸のわだかまりを一気に晴れしてくれる絶唱でした。

トスカは悲しい女の恋を巡るプッチーニのオペラです。

あらすじは、トスカの愛人で画家のカヴァラドッシが旧友の囚人を庇ったことから始まります。そのためにカヴァラドッシが牢獄に入れられ、警視総監のスカルピアに拷問を受けます。それを助け出そうとして、トスカはスカルピアに近付きます。前々からトスカに邪な思いを持ち、手に入れようと企んでいたスカルピアは、トスカに言い寄り、自分のものになれば、カヴァラドッシの銃殺に空砲を籠めてやると約束します。しかし言い寄るスカルピアの隙をついて、トスカはナイフでスカルピアを殺してしまうのです。兵に追われたトスカが、カヴァラドッシの許へ行き、銃弾は空砲であると告げます。しかし、銃が放たれた後、カヴァラドッシは立ち上がろうとせず、死んでいました。絶望したトスカは高い城壁に上り、真っ逆さまに身を投じました。

深い信仰の下に、歌に生き、恋に生きたトスカ、辛い運命を呪い、神の前で歌う歌が、この「歌に生き、恋に生き」です。

訳詩
わたしは歌に生き、恋に生き
人様に悪い事など決してしませんでした
貧しい人たちを知れば
そっと手を差し伸べ、みなをお助けしました
いつでも心からの信仰こもる
私のお祈りは
ご聖像の壇にのぼり
いつでも心からの信仰をこめて
祭壇に花を捧げました
それを この苦しみのときに
なぜ なぜ 主よ
どうしてわたしにこのような報いをお与えなるのですか

わたしは聖母マリア様のマントに宝石を捧げました
また星々に歌を捧げました
それで星々は天でいっそう美しく輝きました。
それを この苦しみのときに
なぜ なぜ 主よ
どうしてわたしにこのような報いをお与えになるのですか

イタリアの陽光が産んだ悲歌劇トスカ、それは晴れやかに美しく悲しい…

参考訳詩:岡本知高さん

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2016年09月17日

音楽夜話16 金スマの葉加瀬太郎物語とブラームス 2016.09.17

昨日の金スマの葉加瀬太郎物語?は、面白かったですね。太郎さんの出自、団地住まいでスーパーヴァイオリニスト誕生秘話、クラシック音楽断念とポピュラー音楽への転身、セリーヌ・ディオンとのコンサート・ツァー、田万由子との恋愛と結婚、御長女・御長男の存在、現在のコンサート状況など。そしてヴァイオリン名器・ストラディバリウスと同じく名器のガルネリウス(合計金額20億円)に普通のヴァイオリンとの弾き比べクイズ、恥ずかしながら私は、ストラディバリウスは外れました。

葉加瀬がブラームスファンなのは夙(つと)に有名でしたが、葉加瀬回想劇に流れた音楽が、ハンガリアンダンス、ヴァイオリンソナタ第2番などブラームスばかり…、少し呆れ顔ですね…。そして下敷きのアイドル写真が髭モジャの老年のブラームス、もっと呆れました。まあ多分に演出過剰な面もありましたが、同じブラームスファンの私としては我が意を得たりで、嬉しいものがありました。中学時代からのファンである事も私と同じ、葉加瀬も私もブラームスから選ばれた人間、ブラームスの心を知る正に同士と言える存在?ですね。今後のご活躍を期待します。
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2016年09月11日

音楽夜話15 さだまさしコンサート、盛り沢山のトークと舞姫絶唱 2016.09.11

期せずして今日は9.11追悼の日でしたね。今年の日本は地震あり、台風禍ありで、追悼ばかりの一年で終わるようですね。そんな年の、そんなさだのトークの中に、己の学生時代の先生や、母親の追悼話があり、滅多に見られない涙声のさだを見ました。そしてその母親が特に好んだ歌を歌い、母への追悼を捧げていました。それは感動的な歌で、その歌・舞姫は、CDなどで聴かれる普段の歌とは格段の違いがあり、生身の人間の哀惜の情が伝わってきました。

舞姫
一度だけ恋をした そのひとは旅人
何時の日か 必ず帰ると 約束した
たまゆらの 浅い夢と 仲間たちは笑った
帰らない必ず そのひとはもう帰らないと
その日から舞姫は 踊り続けて待ち続けてる
それ以来誰の声にも 心揺らさず

余りにも長すぎる 時を待ち続けたが
何一つ彼女は 変わらずに過ごした
ある人は未練と言い ある人は健気と言い
いつかしら彼女は一途と呼ばれるようになる
どんな日も舞姫は 踊り続けて待ち続ける
あれ以来誰の声にも 心移さず

頼まれた訳じゃない 私が好きで待っている
待つ事を不孝だと 思うあなたの方が不孝
意地でなく楽しみで待っているのだとしたら
私はなんて幸せな人生だろう
私が待っている間は
この恋決して嘘じゃない
待つことを止めたそのとき
恋は死んでしまう
舞姫は笑って言う
愛した人を嘘つきと
呼ばせはしない この生命懸けて
恋を死なせはしない

「一途」と言う名の舞姫の
踊りを見たことがあるかい
悲しくてすてきで切なくて
人生そのもの

「一途」と言う名の舞姫の
踊りを見たことがあるかい
悲しくてすてきで切なくて
人生そのもの
ららら ららら ららら

切ない歌ですね、私がその旅人だったら、何をさておいても、舞姫の下に帰るでしょう。

男は女が必要だし、女は愛される事が必用。愛を全うして、生命を全うしましょう。


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2016年08月19日

音楽夜話14 行って来ましたディズニー・オン・アイス、「アナと雪の女王」、松たか子が歌うロバート・ロペス作詞作曲の主題歌「レット・イット・ゴー」が絶唱でした 2016.08.19

我等夫婦のバースデイの祝いに、NちゃんYちゃんのパパママからご招待を頂いたディズニー・オン・アイスの「アナと雪の女王」を、NちゃんYちゃんも交えて鑑賞して来ました。この物語はアンデルセンの「雪の女王」が下敷きにあり、アナとエルサ(雪の女王)の家族愛をテーマとしたもので、スケートの優美性も相まって感動的でありました。しかし大人の愛好家として優劣を語るならば、スケートの優美性でもなく、ドラマティックな物語でもなく、メルヘンチックな演出性でもなく、その何よりも秀でたものは音楽でした。

アカデミー賞・歌曲賞を受賞した「レット・イット・ゴー」は名曲であり、前半のドラマテックなシーンと、後半エンディングで歌われた松たか子が歌うこの歌が何よりも圧巻でした。アリーナに響く渾身の絶唱、その大音声に私は鳥肌が立ち、目頭が熱くなりました。驚愕でした、本当にこの歌は松なのか? 私の猜疑は終演まで、消えませんでした。

追伸:失礼しました。終演後、NちゃんYちゃんのママに聞いたところ、「アナと雪の女王」の主題歌「レット・イット・ゴー」の日本語版の歌手は、松たか子であると確信を得ました。
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2016年08月15日

音楽夜話13 ぶっちゃけ寺、お坊さんが選ぶ歌謡曲名曲 2016.08.15


”ぶっちゃけ寺”と言うテレビバラエティーがありますが、本日はお坊さんが選ぶ歌謡曲の名曲を紹介していました。日本で生まれた歌謡曲は、そもそもはお経がルーツであり、その歌の抑揚(メロディー)や言葉にはお経の影響が色濃く残っているのだそうです。現代の歌謡曲もお坊さんが鑑賞し咀嚼すれば、そこに仏の教えが見えてくるそうです。

ひばりの「愛燦々」、三橋美智也の「古城」、さだの「精霊流し」に「防人の歌」、谷村の「昴」、百恵の「しなやかに歌って」、加山の「君といつまでも」、テレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」など、様々な名曲がある中で、私はやはり終戦記念日の今日に縁のある森山良子の「さとうきび畑」に惹かれました。歌の詞の中で、沖縄の少女が述懐する戦死した顔も知らない父への思い、それが切なく、反戦と相俟って、深い感動を得ました。私も仏の教えを説いたお坊さんと一緒に泣きました。

沖縄の無残、今も沖縄の人々は、あの戦争を引き摺って生きています。この歌の少女の思いが、今の沖縄と重なります。私達に出来る事は、少女の思いを実感し、沖縄の未来に想いを馳せ、政治を見張る事。反戦を貫く事。

森山の歌は相変わらず見事でした。ボイストレーニングの成果が出ていて、音程、音域が安定しており、スムーズな歌い振りを示していました。特に感情を籠め過ぎず、大仰さを抑えた節度ある歌唱は、気持ちの好いものでした。

 さとうきび畑

 ざわわ ざわわ ざわわ

 広いさとうきば畑は

 ざわわ ざわわ ざわわ

 風が通りぬけるだけ

 今日もみわたすかぎりに

 緑の波がうねる

 夏の陽ざしの中で


 ざわわ ざわわ ざわわ

 広いさとうきび畑は

 ざわわ ざわわ ざわわ

 風が通りぬけるだけ

 むかし海の向こうから

 いくさがやってきた

 夏の陽ざしの中で


 ざわわ ざわわ ざわわ

 広いさとうきび畑は

 ざわわ ざわわ ざわわ

 風が通りぬけるだけ

 あの日鉄の雨にうたれ

 父は死んでいった

 夏の陽ざしの中で


 ざわわ ざわわ ざわわ

 広いさとうきび畑は

 ざわわ ざわわ ざわわ

 風が通りぬけるだけ

 そして私の生まれた日に

 いくさの終わりがきた

 夏の陽ざしの中で


 ざわわ ざわわ ざわわ

 広いさとうきび畑は

 ざわわ ざわわ ざわわ

 風が通りぬけるだけ

 風の音にとぎれて消える

 風の子守唄

 夏の陽ざしの中で


 ざわわ ざわわ ざわわ

 広いさとうきび畑は

 ざわわ ざわわ ざわわ

 風が通りぬけるだけ

 知らないはずの父の手に

 だかれた夢をみた 

 夏の陽ざしの中で


 ざわわ ざわわ ざわわ

 広いさとうきび畑は

 ざわわ ざわわ ざわわ

 風が通りぬけるだけ

 父の声をさがしながら

 たどる畑の道

 夏の陽ざしの中で


 ざわわ ざわわ ざわわ

 広いさとうきび畑は

 ざわわ ざわわ ざわわ

 風が通りぬけるだけ

 お父さんと呼んでみたい

 お父さんどこにいるの

 このまま緑の波に

 おぼれてしまいそう

 夏の陽ざしの中で


 ざわわ ざわわ ざわわ

 広いさとうきび畑は

 ざわわ ざわわ ざわわ

 風が通りぬけるだけ

 今日もみわたすかぎり

 緑の波がうねる

 夏の陽ざしの中で


 ざわわ ざわわ ざわわ

 忘れられない悲しみが

 ざわわ ざわわ ざわわ

 波のように押し寄せる

 風よ悲しみの歌を

 海に返してほしい

 夏の陽ざしの中で


 ざわわ ざわわ ざわわ

 風に涙はかわいても

 ざわわ ざわわ ざわわ

 この悲しみは消えない

 詞:寺島尚彦
 曲:寺島尚彦
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2016年07月18日

音楽夜話12 音楽の幸せ、ここにありき… 2016.07.18

今日は今朝申した通り、午前中にはちひろ先生のピアノ発表会のピアノ調律をしました。そして、終わってから、先生の試弾となりました。「ババーン」と冒頭の音型が鳴った途端、驚きを隠せませんでした。曲は何とブラームスの作品118−1でした。近代フランスものを得意としているちひろ先生が何とブラームス、私は呆気にとられて「これはブラームスの作品118−1ですよね、凄いですね、ビックリしました」。先生は仰いました。「如何ですか?、ブラームス…、ご感想は?」。ところが私は脳が真っ白になり、「判りません…」。ただ、何方が弾いてくださっても宜しいのですが、ブラームスを弾いてくださる、それは私には歓びであり、幸せな事でした。残念ながら午後は予定があり、本番は聴けませんでしたので、心残りは少しありました。

私が「判りません」と答えた理由はと言うと、一つはビックリしていた事、そしてもう一つがこの作品118−1はやや難解な曲、比喩して表現するには難しい曲でした。作品118−2であったら、何か申し上げられたかも知れませんでしたのにね。不親切で申し訳ありませんでした。


そして午後は予定通り、ある指揮者の方にお呼ばれした青少年オーケストラの定期公演の下へ。前半はモーツァルトのバレエ「レ・プティ・リアン」の数曲と映画「アマデウス」で使われて有名になった交響曲第25番ト短調k.183、優しく人恋しいモーツァルト、バッハやベートーヴェンとは異なる唯一無二の音楽、知よりも情が勝る音楽、その情はブラームスに相通じるものがありますね。

ベートーヴェンの第8は、小交響曲と言われています。それは寧ろベートーヴェンの策略のような気がします。「このような古典の正統的な交響曲は最後だよ」とのメッセージが隠されているように私は感じられるのです。従って、ベートーヴェンの中期の傑作群の最後を飾る曲と申して良いでしょう。この交響曲を書いたのを最後にベートーヴェンは大変身をします。そう後期のあの複雑怪奇な作風に変貌していくのです。第九、ミサ・ソレムニス、ハンマークラビーア以降のピアノソナタ、後期弦楽四重奏群など、独断的で気難しい作風に変容してしまうのです。それを堕落と言った19世紀の大批評家もいましたが、私はベートーヴェンの音楽の深化と断言しています。摩訶不思議な音楽も多々ありますが、深い人間性に根差しています。その代表作は第九です。

そんな後期以前のベートーヴェンの快活と幸福の最後を飾った数曲の中の一つがこの第八交響曲です。曲は緩徐楽章が無い(第2楽章はスケルツォ)簡潔無比の曲、古典のメヌエット(第3楽章)も採用して、極めて典雅な曲です。

ベートーヴェンに私淑するある指揮者殿、青少年オーケストラを自由自在に扱って、彼の想うベートーヴェンを表現していました。偉大な天才のベートーヴェンに思う存分肉迫していました。気持ち良い演奏でした。


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2016年03月20日

音楽夜話11 2015ショパンコンクール入賞者ガラコンサートを鑑賞して 2016.03.20

今し方まで、NHKクラシック音楽館のショパンコンクール入賞者のガラコンサートを視聴していました。それは興味深い中々楽しいものでした。若き演奏者達は正に意気軒高として見事な演奏を試みていました。6者(1位から6位までの出演者)それぞれが美しいピアノ音を響かせ、圧倒的でした。まあショパンですから、こちらの魂を引き摺り回す事は無く、美音と甘い幻想に恍惚と酔い痴れるだけでしたが…。

ただ面白かったのは、1位と4位の方がスタンウェイのピアノを選んだのに比べ、2位、3位、5位、6位の方々はヤマハを使用していた事でした。私はその音の違いに直ぐに気付きました。5位から4位に移った時、また2位から1位に移った時、明らかにピアノの音響が異なりました。ヤマハもバランスの取れた良いピアノでしたけれども、奏者が代わり、スタンウェイの高音が鳴り出すや否や、そのスタンウェイの高音の共鳴の鮮やかさが際立ち、無慈悲にもヤマハを凌駕してしまいました。恐るべきスタンウェイの遠鳴りの音声、美しく軽い粒の揃った高音域。有無を言わさず高度に、スタンウェイはショパンを演出していました。

*ガラコンサート:通常とは違う、特別に企画されたコンサート。特別コンサート、記念コンサートなどの意味がある。
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2016年01月11日

音楽夜話10 歌姫降臨、テレサ・テン没後20年メモリアルを聴いて…

9日の土曜日、テレビ欄を見たところ、BS・TBSでテレサ・テンの特集番組を見付けました。暇だし、久し振りでテレサの歌にどっぷり浸かってやろうとチャンネルを合わせ、聴き始めました。そうした所、時を移さず、もう本当にどっぷりと嵌ってしまい、涙を流しながら聴き続けました。確かに荒木とよひさ・三木たかしの日本の歌謡曲、空港・つぐない・愛人・時の流れに身をまかせも素晴らしい歌でしたが、私が真に感動したのは夜来香(イェライシャン、キョウチクトウ科の芳香植物由来)を始めとした中国語の歌…でした、快い韻を踏んだ中国語の歌い回し…、優しい揺らめき…、哀愁…、私はその絶唱に酔い痴れました。そして吉田拓郎作の日本の歌”襟裳岬”の冒頭「北の町ではもう…」を聴いた途端、私の肌は泡立ち(間違いですが、鳥肌が立つと道義とされる)、そのソプラノの蠱惑の音声に溺れたのでした。優しい女神(恋人)に抱かれる幸福を噛み締めました。


posted by 三上和伸 at 22:01| 音楽夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月06日

音楽夜話9 東京海上日動火災保険のオリンピック・パラリンピック広報CM音楽はモーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプス(めでたし、まことのみからだ) 2015.08.06

モーツァルト死の年の1791年に書かれたモテット(ルネッサンス以降に書かれた多声音楽)。管弦楽付きの合唱用のモテットです。カトリック教会の祈祷文からのラテン語の歌詞を持つ音楽で、人間の死の苦難の救済を聖体(イエス・キリストの体もしくはその代りの現存するパンと葡萄酒を言う)により祈るものです。イエス・キリストと一体となって死の恐怖の救済を願う音楽です。

オリンピックやパラリンピックとはかけ離れた音楽ですが、その人間の優しさと善意は、スポーツの祭典の中にも溢れるものです。従ってこのモーツアルトの優しさとスポーツの善意は不思議にコラボレーションしていると思われます。モーツアルトを介して人類のオリンピック・パラリンピックへの願いが籠められているように、私は感じました。

どうかこのスポーツの祭典を私物化しないで頂きたい、汚れた政略策略を捨て去って頂きたい、関係者諸君よ、お願いします。
posted by 三上和伸 at 21:20| 音楽夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月07日

音楽夜話8 十津川警部シリーズの長山洋子、素晴らしい津軽あいや節 2015.06.06

昼間観たサスペンス十津川警部シリーズで、素晴らしい津軽あいや節に巡り合いました。姉を殺された妹の復讐を描くサスペンスドラマでしたが、妹役の長山洋子が津軽三味線を駆使し、素晴らしいあいや節を披露していました。

私は迂闊にもこのヒロインが長山洋子だとは気付かず、何かやたら見事な津軽三味線のあいや節を歌う人だなと感心しつつも、極限まで合わせた吹き替えだと疑いました。しかし直ぐにこれは吹き替えで無く、実演しているのだなと確信し、その脅威の津軽あいや節に驚嘆したのでした。胸に熱いものが込み上げた私は心揺さぶられ、目に涙を浮かべ、真に感動していたのでした。

エンディングの出演者の字幕を見て、初めてこの女優が歌手の長山洋子である事が判りました。驚きでした。私は早速ネット検索し、長山洋子を調べました。私を席巻し圧倒した神憑りの津軽あいや節、それもその筈、長山は津軽三味線・澤田流の家元でした。

亡き姉に捧げた津軽あいや節、絶品絶唱でした。
posted by 三上和伸 at 01:45| 音楽夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月08日

音楽夜話7 オザワ指揮の日本盲導犬協会のCM音楽は、ベルリオーズの「幻想」 2015.05.08

先程テレビを観ていて聴き慣れた曲が流れて来ました。良く観れば、それにはオザワがオーケストラを指揮しているご機嫌な映像が付いていました。そしてそれが日本盲導犬教会のCMであると初めて判りました。

曲はフランスシンフォニーの最高傑作で、巨大な管弦楽を駆使したロマン派シンフォニーの魁となったベルリオーズの幻想交響曲でした。

恋多き男・ベルリオーズは、当時幾つかの恋をして失恋を繰り返していました。しかしそんな逆境は大芸術家にとっては創作の原動力になるもの、愛する舞台女優スミスソンをモデルに幻想交響曲を書き上げました。

標題(始めはある芸術家の生涯における挿話、結局完成時には幻想と名付けた)付きの曲には簡単なストーリーがありました。青年の恋ー失恋ー絶望ー阿片の服毒自殺ー昏睡ー昏睡状態での奇怪な幻想…。女性を表す一つの旋律(動機)があらゆる場所で変容して姿を現します。それが執拗に現れてやがて狂喜へと向かいます。最後は恋人を殺し、結果青年は、断頭台の露と消えるのです。そして地獄、悪魔の祝宴の始まり始まり…。まあこんな感じです。

されどこのCMで使われている第2楽章「舞踏会」は流れるような美しい音楽です。優雅で快活な舞踏会の情景が繰り広げられ、そこにあの愛しい恋人の姿(動機)がチラリと…、何とも艶めかしく悩ましい、狂おしいまでの春の音楽です。

因みに各楽章の名称を記しましょう。
第一楽章=夢、情熱
第二楽章=舞踏会
第三楽章=野の風景
第四楽章=断頭台への行進
第五楽章=魔女の夜宴の夢
posted by 三上和伸 at 21:33| 音楽夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月03日

音楽夜話6 血沸き肉躍るリズムの饗宴、横浜開港記念仮装パレード熱狂 2015.05.03

邦楽洋楽を問わず、リズムと音響の爆発する仮装パレード、私ら家族は全員熱狂しました。ブラスバンドが主流ですが、そこにピチピチギャルのバトントワラーズが絡み、横浜ならではの中華や朝鮮の学校も参加し、マーチや歌謡曲に民族音楽と舞踏三昧。中華では獅子舞や竜舞などが出て、興奮の坩堝と化しました。兎に角、太鼓、ドラムス、和太鼓が腹に響いて肉を躍らせ、ブラスの音響が血をたぎらせました。正に血沸き肉躍る横浜パレード、一つ過ぎるとまた一つ、ツギツギツギツギと何十ものグループが遣って来ては過ぎ去ります。二歳児のNちゃんも「未だ来る、未だ来る」と言って期待を膨らませノリノリに、飽きる事がありませんでした。
posted by 三上和伸 at 19:30| 音楽夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月15日

音楽夜話5 フジテレビの音楽番組、酷かったですね 2015.04.15

 先程まで妻にご相伴でフジテレビの歌番組を観て(聴いて)いました。生番組だからしょうがないと言えばしょうがないのですが、どいつもこいつも酷い歌でした。一番安心して聴けたのがクリス・ハートの山口百恵ナンバー、和田アキ子とのデュエットでした。その次が谷村新司の「いい日旅立ち」、更に宝塚のトップ・スターと槇原敬之が続きます。期待のさだの「秋桜」も酷かった。さだは裏メロディーを歌っていましたが良く聴こえない、音程も不確か…。表のメロディーを歌った女性歌手達はもっと酷かった。百恵さんが可哀想…、聴くに堪えませんでした。因みに宇崎竜童も最低…。全て準備が足らなかったようですね。次からはライブは止めて、お願いだから…、まあ、私は聴きませんが!
posted by 三上和伸 at 21:42| 音楽夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月31日

音楽夜話5 美し過ぎる歌曲ブラームスの「わが妃よ、そなたはなんと・・・」 ダウマー詩

わが妃よ、やさしい慈愛によって
そなたはなんと歓びに満ちていることよ!
さあ、ほほえみたまえ、すると春風が
わが心を吹きぬける、歓びに満ちて!

さわやかに咲きでたばらの花の輝きを
そなたの顔の輝きとくらべてみようか。
ああ、咲き誇るすべての花々にもまして、
そのたの花のかんばせは歓びに満ちて!

荒涼たる枯野を通って逍遥したまえ!
すると緑の木陰が一面に拡がる、
たとえそこがたえがたい重苦しさに
いつも包まれていても、歓びに満ちて!

そなたの腕で息絶えることを許したまえ!
たとえはげしい断末魔の苦痛が胸の中を
掻きむしったとしても、死ぬことさえ
そなたのかいなの中では、歓びに満ちて!
            訳詩:志田麓氏
注:かんばせ⇒顔 逍遥⇒彷徨い歩く

お気に入りの詩人・ダウマーのペルシャ風の詩に曲を付けたもの。どうやらブラームスはエキゾチシズム(異国趣味)を多分に持っていた作曲家だったようです。その線で言えばダウマー愛好は当然の帰結、ブラームスは好んで東洋趣味のダウマーの詩に曲を付けました。

「わが妃よ、そなたはなんと・・・」は、ブラームスの歌曲としては官能的且つ耽美的で、何ともエロティシズムに溢れた美しい曲です。どちらかと言わずともブラームスの音楽には禁欲的傾向が強いのですが、これは特別の例外…、ピアノも歌も余りに蠱惑的で美しい…。これには偏に一人の若く美しい女性の影響があると言えます。その名はエリザベート・フォン・シュトックハウゼン、ブラームスのピアノの弟子でした。ところがブラームスはこの16歳の娘の美しさに恐れをなし、この弟子を友人のピアニストに譲ってしまったのです。でもこの曲を聴けばその気持ちが判りますよね。大志を抱いていたブラームスはこの娘の所為でふぬけにはなりたくなかったのです。

エリザベートは第一シンフォニーの良き最初の理解者になったとか…、クララ・シューマンなんかよりもずっと早く…。音楽芸術の優れた理解力の持ち主だったそうです。
posted by 三上和伸 at 22:45| 音楽夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月04日

音楽夜話4 キャノン70DのCMミュージック・シャドウ篇はブラームスの”まんねんこう” 2015.01.04

P3050005.JPG
マンネンコウ(万年蠟・マンネンロウとも言う)・ロスマリン(独)・ローズマリー(英)

 音楽夜話はライブドア・ブログに掲載していましたが、こちらに引っ越します。

 今、テレビで時々放映されているカメラメーカー・キャノンの70DのCM、その音楽が素晴らしいので紹介します。

  シャドウ篇とウィンド篇の2種がありますが、そのシャドウ篇の方。モロッコの砂漠に建つ崩れた古城をバックに妻夫木聡がアラビアの美女を70Dで写すもの。その映像に被さる(かぶさる)音楽こそが、ブラームスの無伴奏(アカペラ)混声合唱曲7つの歌oP62-1「まんねんこう」です。まんねんこうとはドイツ語でロスマリン、ロスマリンを英語にすればローズマリー、そう今や何処にでもあるハーブのローズマリーのことです。

  それにしてもこの映像にこの音楽は見事に嵌っていますね。荒涼たる雰囲気の響きですが、そこに温かい人間の体温が感じられます。ブラームスはこんな美しい合唱曲を数多残しました。まだまだ一般に知られていませんが、魅力ある作品が山ほどあります。何時になったらブラームスの本当の価値が認められるのでしょうか? まあ、その意味でもこのようにテレビCMで使われるのは意義のあることです。少しでも皆様に興味を持って頂けるのなら… CMの制作ディレクターに敬意を表します。
posted by 三上和伸 at 18:04| 音楽夜話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする