2012年04月29日

庭の花124 ヤブレガサ 2012.04.25

ヤブレガサ
ヤブレガサ(破れ傘《笠》)キク科ヤブレガサ属
今年もまた、この草の名の起こりとなった芽出しの“破れ傘”姿を捉える事に、失敗しました。残念ですが、気付いた時にはもう既に半開きの破れた傘状態からは脱しており、葉を広げてしまいました。それでも、その葉の伸びやかな開き具合が素晴らしく、ここにブログの一ページを割かせて頂きました。半開きの芽出しの姿はもっと漫画チックで風情があり、可愛らしいのですが…、それでも素敵でしょ、この草…。お目当てのその姿は、また鬼を喜ばせてしまいますが、来年にネ…。

普通この草はコナラやクヌギの林の下に生え、地味な花を咲かせます。まあ、一般的には花より芽出しの葉を観るためだけに庭に植えるのであり、私もその例に漏れません。特筆すべきは双子葉植物でありながら、例外的に子葉が一枚な事です。地球生物の神秘の一面が、この草に垣間見る事ができます。

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2012年04月10日

庭の花123 一斉の春、愛しき草々 2012.04.09 

桜の時期は、誰しも桜ばかりに目を奪われがちですが、実は桜の下には春の草々が時を同じくして咲き出します。今朝はそれらを訪ね歩いて写真を撮ってきました。今年は春の到来が遅く、しかも来たらば一気で、その分、一斉のお目見えとなりました。あれもこれも、もう私は無我夢中、春の幸せに酔い痴れました。

トキワイカリソウ
トキワイカリソウ(常葉碇草)
純白の碇、繊細な花の造り、自然の造形の妙を感じさせてくれます。

ヒトリシズカ
ヒトリシズカ(一人静)
優しい風情が愛しい、野の草の原点のような花、愛さずにはいられない…。

イワヤツデ(タンチョウソウ)
イワヤツデ(岩八手)別名・丹頂草
花は清らかなれど賑やかさもあり、葉は瑞々しく清潔感に溢れています。春の清新をこれほど感じさせてくれる草はありません。

バイモ
バイモ(貝母)別名・網笠百合
下から写したので、この花の内側の模様が観えています。誠、自然のデザインは尽きせぬ味わいがあるものです。正に誰かさんが鈴懸けの実の話題で申していた黄金比率ですかね。

カキドオシ
カキドオシ(垣通し)
紫の小花を一面に蒔き散らかした賑やかな花、思わず目を惹く鮮やかさがあります。これも春の賑わい、余り人気はありませんが、私は好きですね。

タチツボスミレ(立壺菫)
タチツボスミレ(立壺菫)
今年は、タチツボスミレの当たり年かも知れません。桜の下の芝に群生して、そこは紫の星屑をばら撒いたよう…。何とも美しい光景を呈していました。決して桜に負けていません、本当に素晴らしい、大袈裟に言っても言わなくても、そこは私の宝石箱です。

ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
黄色が美しい、黄花を嫌う人がいますが、私は気?が知れません。紫と並んで美味しそうな色?ですよね?
私は大好きです。
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2012年03月12日

庭の花122 我が庭にも春が… 2012.03.12

ヤブツバキ ユキワリソウ
ヤブツバキ            ユキワリソウ(紫花)
今年の寒さを物語る我が庭の遅い春の訪れ。幾ら“横浜の寒帯”と言われている我が地域でも、藪椿や雪割草の開花が三月中旬にずれ込むのは久方振りの事…。でも北国の春を待ち侘びる切なさが分かる気がして、今年の私は何時もにも増して春が愛しく感じられ、今は嬉しくて嬉しくて…。紅に紫、ほんに良い色です。庭に色が増えて行くのは良いものですね、本当に幸せです。あっ、私は余りにも幸せを連呼し過ぎますかね? 何か幸せの重みがなくなりますかね? でも、不幸な時も人並みにありますので、僅かな幸せを幸せと大袈裟に感じ易くなっているのかしらね? それでも人間は幸せになるために生まれて来たのですよね。そして人を幸せにするためにも…、生まれて来たのですよね。苦労を不幸と思ってはいけないのですね。冬の苦労なくして春の歓喜はないのですからね…。

エーデルワイスの芽
昨春タネ蒔きをして育てたエーデルワイス、冬には葉が枯れて生きているのか死んだのか?、判断がつきかねましたが、ほーら、微かに芽が出て来ましたよ。冬の間も時々チャンと水をやっていましたので、しっかり生きているのです。真ん中の太い芽には、もう花芽の元が出来ているのですよ。五月にはきっと素敵な花が咲くでしょう。その時はまたお知らせしますね!
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2009年10月30日

’09 庭の花115 ダイモンジソウ 2009.10.30

ダイモンジソウ
ダイモンジソウ(大文字草・紅花) 
 紅花が美しいので植えてみました。同じ種の色違いの花を求めるのは人の常ですが本来は野生にないもの、私も欲深い人間である事をこの花は証明していますね?…。でも美しいからいいでしょう。
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2009年10月29日

’09 庭の花114 ツワブキ 2009.10.29

ツワブキ
ツワブキ(漢字は難しく表記不可能) キク科ツワブキ属
 つやのある大きな葉、そのつやが訛ってツワブキの名となった説があります。海岸の崖に生え、秋遅く黄色の鮮やかな花を咲かせます。若い葉柄は食用となり煮付ければ本来のきゃらぶきになります。葉は民間薬としてあぶって腫れ物などに使われます。海辺に住む者にとっては馴染みの深い草であり、私も良く食べました。コツは良く晒して灰汁を抜き取る事です。
このツワブキをもって我が庭の花も終わりを迎えました。まあ、お釣りとして何かが咲くかも知れませんが、一応これで終わります。来期はまた別の角度から様々な花を取り上げたいと思っています。
 
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’09 庭の花113 リュウノウギク 2009.10.29

PA290694.JPG
リュウノウギク(竜脳菊) キク科キク属
 リュウノウギクと変った名ですが、この菊の葉を揉むと竜脳の良い香りがするのでそう名付けられました。因みに竜脳とはスマトラボルネオ原産のリュウノウジュ(竜脳樹)の材にある結晶(樹脂)の事。香料や防虫剤として用いられます。
 美しい白菊であり、深い秋の侘びしい庭を彩ってくれます。そこは一際華やいで観えます。
 
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2009年10月22日

’09 庭の花112 ダイモンジソウ 2009.10.22

ダイモンジソウ
ダイモンジソウ(大文字草) ユキノシタ科ユキノシタ属
 ユキノシタの仲間は地味ではありますが、風情ある美しい花が多いようです。このダイモンジソウはその中でも一際人気のある草で愛好者が多く園芸化されています。時々とんでもない改良変種が現れ私は苦虫を噛みつぶしたような顔になりますがそれも仕方ない事、お金にならなければ園芸家は困りますものね。しかし、私は原種が好きです。ある園芸店で若い女子園芸員にこの花の原種と派手な園芸種を前にして「あなたはどちらが綺麗だと思いますか?」と尋ねたところ、「私は原種が好きです、すっきりとして綺麗ですよね!」と答えました。「そうでしょう、そうでしょう…」と私は合点。…人が種の領域に手を加えればその種の真の魅力は失われるものです。そろそろ私達もそれに気付く時が来ているようです。美しきかな! 大文字草。
 
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2009年10月18日

’09 庭の花111 フジバカマ 2009.10.18

フジバカマ
フジバカマ(藤袴) キク科フジバカマ属
 秋の七草の一つとして余りにも名高い花ですが、今日自然界に自生している姿はほとんど見受けられないのが実情です。近似種のヒヨドリバナや高原に咲くヨツバヒヨドリはその地へ行けばよく見付けられるのですが、私もこの花の自生を見た事がないのです…。植物学の世界では絶滅危惧種としてその行く末が心配されています。ただ生け花や茶道の茶花としては需要が高く、今や園芸栽培がなされています。その伝で言えば種は確かに保護されていると思われ、花が見られなくなる事はないようですが…。でもそれでは真の野の花とは言えないですよね。恐らく生殖に何らかの障害があると思われます。まずはそちらを解決せねばならないようですね…。

 最早秋も深まり、庭の花の種類も残り少なくなってきました。あと二つ三つの種が咲けば終わりとなります。来期からはまた違う趣旨で様々な花を紹介して行きます。お楽しみに…。
 
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2009年10月15日

’09 庭の花110 ノコンギク 2009.10.14

ノコンギク
ノコンギク(野紺菊、野菊) キク科シオン属
 ようやく我が庭もノコンギクが咲き始めました。木曾では沢山見掛けましたが我が庭は少し遅くて待ち遠しかったのでした。あの淑やかなナデシコと同じくらいに私はこの野菊を愛しています。野菊は愛しい女性の象徴、その薫る薄紫には世の男を虜にする永遠の魅力が潜んでいます。女の清らかではかなげな愛が愛おしく、その愛に溺れるのが一番の男の幸福と私は信じています。
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’09 庭の花109 ゲンノショウコの果実 2009.10.14

ミコシグサ
ゲンノショウコの果実(ミコシグサの名の謂れ)
 果実が熟して裂開し反り返った様がお神輿の屋根に似て見えた…、そんな素朴な観察眼によってこの神輿草の名が生まれました。何とも可愛いでしょ! 自然は不思議なもので様々な形態を見せてくれるものですね。そして人間はそれによく反応する生き物ですよね。人間て面白い!

 
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’09 庭の花108 キンモクセイ 2009.10.14

キンモクセイ
キンモクセイ(金木犀) モクセイ科モクセイ属
 今一番良い香りを発しているのがこのキンモクセイ、それは極上の甘い香りです。私は毎年この香りに出会う度に秋の深まりを実感します。紅葉ももう直ぐ高山から里山に下りてくるでしょう。今度は何処へ行こうかな。
 花はこうして拡大すると美しさが際立ちます。まるで異次元の花へと変身するのです。オレンジ色が清々しい…。
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2009年10月01日

’09 庭の花107 ススキ 2009.10.1

ススキ
ススキ(薄)、別名・カヤ(茅・萱)・オバナ(尾花) 写真の薄は葉が糸の様に細いので糸薄と言われています。
 十五夜のお供えの一つに用いられる花穂、魔除けとしての役割を担い飾られます。その根拠は剣のようにしなる葉とその危険性にあり、その縁は鋸状に刃が付いており、触れると腕や足を切ります。血が滲んで痛いもので、これで魔を除けると言う訳です。
 ススキの名の謂われは、スクスク育つキ(木)が縮んでススキとなったと言われています。その旺盛な生育力に因んで名付けられたのです。またカヤは仮屋根が転化したもので粗末な(間に合わせの)屋根を指し、結局カヤの名はその素材の粗末と思われるススキを表す言葉となったのです。尾花は読んで字の如し、尾の様な花だからです。
 日当たりなら荒れ地でも生える草ですが、その有用さは昔の人なら誰でも疑う者はなく、それは茅場町や茅野、茅ヶ埼などの地名で、人との関わりを証明しています。秋の切なさを感じさせてくれる草で、私は美しいと思います。
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2009年09月25日

’09 庭の花106 イワシャジン 2009.9.25

イワシャジン
イワシャジン(岩沙参) キキョウ科ツリガネニンジン属
 シャジンの名は同じ仲間の草・ツリガネニンジンの事。その根は漢方薬に用いられ、沙参(ツリガネニンジン)は漢方からの命名と思われます。そしてこのイワシャジン、渓流や滝の岩上に生えるツリガネニンジンだから、岩の沙参、イワシャジンと名付けられました。
 キキョウ科ツリガネニンジン属の花は皆小粒で愛らしい、そして目が覚めるほどに美しい…ですね。
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2009年09月21日

’09 庭の花105 ヤマジノホトトギス 2009.9.21 9.21

ヤマジノホトトギス
ヤマジノホトトギス(山地(路)の杜鵑、別名・矮鶏杜鵑) ユリ科ホトトギス属
 日本の山野に自生するホトトギス、この時期丹沢の裾野などを歩けば必ず見つけられます。一般のホトトギスと比べ花はよく似ていますが、その茎の大きさ長さが異なります。ホトトギスは背が高く、一本の茎に多数の花を付けます。一方ヤマジノホトトギスは背が低く一株で多くの茎を叢生させますが、一茎の花は少なく数輪を愛らしく付けるのです。その小振りの姿を可愛いチャボ(矮鶏)になぞらえて、チャボホトトギスの別名があります。
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’09 庭の花104 ホウチャクソウの実 2009.9.21

ホウチャクソウの実
ホウチャクソウの実 ユリ科チゴユリ属
晩春に咲いたあの地味な花が、秋の今頃になり実を付けました。黒く鈍い光を放つ実、それはこの草にとって豊かな掌中の珠。己の命を託す明日への大切な分身です。
 ’09 庭の花47 ホウチャクソウをご覧ください。
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2009年09月18日

’09 庭の花103 ヒガンバナ 2009.9.18

ヒガンバナ
ヒガンバナ(彼岸花)、マンジュシャゲ(曼珠沙華)、その他の別名・かみそりばな・しびとばな・とうろうばな・はなみずはみず・したまがり
 秋の彼岸の頃になると必ず咲き出す律儀な花、その節気と妖艶な姿が相俟って神秘的であり、彼岸花とは正に最適な名前を付けたものです。されどこの花には多くの別名があって、その数はあらゆる花々の中でも最右翼と思われます。殆どが不吉な名であり、この花が如何に人と深く関わり、恐れられ、意味嫌われていたかが分かります。その名付けの根拠はこの草の毒性にあり、害獣撃退の為に田畑に植えられたものですが、誤って人や子が触れぬよう戒める方便に使ったと想像されます。この草にとっては良い事をしたのに叱られる、真に損な役回りを担わされてしまったと言う事なのです。
 私が一番好きな名はマンジュシャゲです。これは梵語であり、日本語に訳せば「天上の赤い華」となります。天上を鮮やかな赤で染め尽くす曼珠沙華、何て素晴らしい花なのでしょう。何と美しい名前なのでしょう…。

 参考: 広辞苑

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2009年09月15日

’09 庭の花102 オケラ 2009.9.15

オケラ
オケラ(朮、別名・ウケラ・エヤミグサ) キク科オケラ属
 オケラの名は昆虫にもあり、また馬鹿や間抜けなどの意味にも使われているそうです。でもやはり私がピンと来るはこのオケラの花です。古来よりこの草は人と馴染みが深く、根は漢方の健胃薬として用いられ、若芽は山菜として使われます。また京都八坂神社ではこの草に纏わる朮祭(おけらまつり)と名す神事が行われています。大晦日から元旦に掛けて行われる神事で、この朮を切火で焚きその煙の靡く方角をみて、その年の豊凶を占うのだそうです。中々興味深いもので、何時か見たいですね。
 美しい白花で、その周りの総苞は魚の骨模様をして珍しく、見応えのある花です。

 参考: 広辞苑
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2009年09月10日

’09 庭の花101 コガマ 2009.9.10

コガマ
コガマ(小蒲) ガマ科ガマ属
 因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)の傷を癒したのがこの蒲の花粉と言われています。蒲の花粉には薬効があり、主に傷薬として現代に至るまで使われてきたようです。この神話の時代でさえも既にその薬効が知れ使われていたのであり、太古の人々が如何に自然を活用し知恵を働かせて生きていたかを知るよい標となります。
 如何にも原野の水辺を感じさせる草で、何故かその風情は懐かしさに溢れています。

 写真中央、長卵形の薄茶色の本体が雌花穂、その上の角状の突起が雄花穂で、この周りに花粉が付いていました。今は殆ど失せていますが…。

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’09 庭の花100 ハギ 2009.9.10

ハギ
ハギ(萩、山萩) マメ科ハギ属
 草冠に秋、正に萩は秋の花です。この花が咲けば地獄の夏は終わりを告げ、過ごし易い季節が訪れるのです。古来日本の夏は蒸し暑く、古の人々にとって夏を無事に越すのは並大抵の事ではなかったようです。この古人の秋への思いと萩への愛着は強く、それは万葉の歌の数々が言い表して今に伝えています。
 今年も萩の咲く秋が来ました。そう言えば風呂上りの肌がさらりとして気持ちいいですものね…。生命ある事の喜びが感じられる頃で、爽やかな季節です。
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2009年09月08日

’09 庭の花99 フジアザミ 2009.9.8

フジアザミ
フジアザミ(富士薊) キク科アザミ属
 富士山周辺に特に多く自生する薊で、富士薊の名があります。
 日本のアザミでは最大の花で、見たところ二つの部分に分けられます。茎に近い上部は総苞片で濃く暗い紫色をしています。下部は花であり、筒状花だけでできており、明るい紅紫色をしています。濃淡の紫が複雑に溶け合ってそれは美しい薊色となるのです。
 また総苞片には恐ろしい剣棘があり、その数は尋常ではなく、刺すと鋭い痛みが走り冷汗がでます。私は決してこの花には触れず遠くから見て楽しみます。
 更に巨大な葉も鋭い棘だらけで、正に棘の鎧を着た薊の王者です。
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’09 庭の花98 シュウカイドウ 2009.9.8

シュウカイドウ
シュウカイドウ(秋海棠) シュウカイドウ科
海棠とは春に咲くハナカイドウの事、その見事な紅色にあやかってこの秋の草も海棠の名を頂いたのでした。秋に咲く海棠、そう秋海棠です。茎までも紅に染めて咲く秋海棠、その紅色は本家に劣らぬ絶妙の紅です。
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’09 庭の花97 ホトトギス 2009.9.8

ホトトギス
ホトトギス(杜鵑草・油点草) ユリ科ホトトギス属
 鶏が先か卵が先か?の問いと同様に、その名付けの後先は野鳥の杜鵑(ホトトギス)が先かこの草が先か?、もちろん野鳥の杜鵑が先でした。なぜなら“ホトトギス”の音は、この鳥のさえずりから発したものだからです。野鳥の杜鵑の胸と腹にある斑紋にこの花が持つ斑点が似ていたため、この草がこの名を借りたのです。
 紫の斑そしてこの名、何やら文学を感じさせる真に渋い秋の名花です。茶花には好んで使われます。
 
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’09 庭の花96 カントウヨメナ 2009.9.8

カントウヨメナ
カントウヨメナ(関東嫁菜、別名・ヨメハギ・ノギク) キク科ヨメナ属
 有名な小説「野菊の墓」の野菊とは、舞台が千葉県である事からこのカントウヨメナを指します。「野菊の墓」、それは若い男女の悲劇的純愛の物語です。
 主人公政夫は民子の事を野菊のように美しいと誉め称え、愛を告白したのでした。結局結ばれず民子は死にますが、その墓の周りには残された者を慰めるように野菊が咲いていたのです。優しく美しい民子の化身としてこの嫁菜は扱われています。
 今でも関東以北の田舎に行けば田の畔に咲いています。この写真のヨメナも海老名の田んぼで摘んできたものです。もう二十年余り、この庭で咲いています。
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2009年09月02日

’09 庭の花95 ミズヒキ 2009.9.1 

P8300344.JPG
ミズヒキ(水引) タデ科タデ属
 水引と名乗る対象は幾つかあります。一に繊維を取る植物を水に浸して剥ぐ行為、二に仏壇、神輿、舞台などに張り渡す幕、三に進物用の包装に用いる束ねた糸紙。そして四にはこの糸紙の水引の紅白に染め分けられたものをこのタデ科の草に見立てて名付けたミズヒキの草。その見立ての根拠は花穂を上から見れば紅色に見え、下から仰げばそれは白色に見えるからです。
 これも初秋を代表する花、野趣があり、しかも気品もあります。茶花には好んで使われる花です。

 参考: 広辞苑
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2009年09月01日

’09 庭の花94 ヤブラン 2009.9.1

P9010353.JPG
ヤブラン(藪蘭) ユリ科ヤブラン属
 蘭の様な葉を持ち、比較的日陰の藪に生えるからヤブラン、最も安易にその名を付けられてしまった例で可愛そうな草です。花は美しく実も黒く円らで宝玉のようなのに別名もないようで本当に気の毒です。
 でもこの草の根は大した物なのです。長く深い根塊には沢山の大きな根瘤が出来、何とそれは精力剤となるのですって!。実に美しい花からは想像もできない見掛けに因らない秘密が自然界にはあるものなのですね…。私は何度かこの根瘤を見た事があります。それは禍々しい恐るべき風体でした。
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’09 庭の花93 ワレモコウ 2009.9.1

ワレモコウ
ワレモコウ(吾亦紅) バラ科ワレモコウ属
 この草は意外と都市近郊にも自生し、昔の古い農道の縁などに見掛けます。大抵は下刈されて花を見るのは稀ですが、特徴ある葉で直ぐに見分けがつきます。高原や湿原には多く自生し、沢山の花穂を付けて見る者を喜ばせます。秋の七草に入らなかったのは不思議な事ですよね、今や秋の寄せ植えには欠かせない秋そのものの花なのにね…。
 吾亦紅の亦は“また”の意味、吾もまた紅なり。赤黒い紅にコンプレックスを持ちつつも懸命に紅を主張していると言ったところかしらね…。名付け親は中々の世馴れ人ですね、吾亦紅の気持ち?を良く汲んでいます。
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2009年08月31日

’09 庭の花92 トウテイラン 2009.8.30

トウテイラン
トウテイラン(洞庭藍、ドウテイラン) ゴマノハグサ科クワガタソウ属
 洞庭(トウテイ・ドウテイ)とは中国湖南省にある洞庭湖を指し、藍(ラン)は藍染めの藍(あい)を表します。洞庭湖の藍、洞庭湖の水の青さと藍染めの青さ、そんな青色の美しい譬えをこの花は授かりました。トウテイラン(洞庭藍)、何て素敵な名前なのでしょう…。…しかし良く見れば、決して名前負けしていない青がこの花の骨頂と言えます。
 近畿地方の日本海側や隠岐諸島の海岸に生える多年草で、私はまだその自生を見ていませんが、海の蒼さと競うように咲いているのでしょうか…。
 
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2009年08月30日

’09 庭の花91 エゾミソハギ 2009.8.30

エゾミソハギ
エゾミソハギ(蝦夷溝萩、別名・エゾミゾハギ)
 盂蘭盆会(うらぼんえ)で仏前に供えるミソハギの近似種、夏の湿地に群生し美しい紅紫色で咲き誇ります。現在は貴重なミソハギに変りこのエゾミソハギが盂蘭盆会に捧げられています。
 我が庭のエゾミソハギは、今年は不作でした。再びの絢爛を目指し作り直そうと思っています。 
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’09 庭の花90 ゲンノショウコ 2009.8.30

ゲンノショウコ
ゲンノショウコ(現の証拠、別名・ミコシグサ) フウロソウ科フウロソウ属
 フウロソウの仲間では最も小さい花、従って肉眼で見てはその美しさが判然としません。しかし拡大すればやはりフウロソウ、繊細な造りが鮮やかに現れます。葉や茎は民間薬として胃腸の薬となり昔から使われてきました。“飲めば直ぐ効く”の証拠が速やかに現れる事でこの名・現の証拠となりました。また果実の形が神輿飾りに似るのでミコシグサ(神輿草)の別名があります。この庭のゲンノショウコは白花なので目立たず、花を見過ごす事が多くありました。今年は見つけられ写真に撮れたので嬉しく思っています。
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2009年08月14日

’09 庭の花89 コバギボウシ 2009.8.14 

コバギボウシ
コバギボウシ(小葉擬宝珠) ユリ科ギボウシ属
 真夏の暑い盛りに咲く紫の花。田舎の田や溝の縁に咲き涼しげです。ギボウシの仲間では最も濃色で美しく、出合えば懐かしさが込み上げてきます。田舎に来たのだと感慨も新たです。
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2009年08月11日

’09 庭の花88 タカサゴユリ 2009.8.10

タカサゴユリ
タカサゴユリ(高砂百合、別名・新鉄砲) ユリ科ユリ属
 仏前に手向けられる鉄砲百合によく似た花、白花の美しい百合です。別名のシンテッポウはそんな様子を見染められ鉄砲百合にあやかって名付けられたものと思われます。但し咲く時期は大いに異なり、春咲きの鉄砲百合に対しこの百合は盛夏の八月に咲き出します。花の少ないこの時期の庭を埋めてくれるので真に有り難い花です。元は外来種で園芸屋が新鉄砲と名づけてこの草のタネを売り出したのが始まりです。その繁殖力は強大で、以来日本の野に野生化しています。
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2009年08月05日

’09 庭の花87 カノコユリ 2009.8.5

カノコユリ
カノコユリ(鹿の子百合) ユリ科ユリ属
 ユリ科ユリ属は美花の集まり、しかもそのほとんどが清冽な芳香を持つ香り花です。このカノコユリは特に素晴らしく、その香りは強いが他の百合に比べ甘く柔和です。花に顔を近づけなくても、前を歩けばそこはかとなくふくいくたる香りが漂い惹きつけられます。暫くの間、庭を横切るのが楽しみです。
 夏の花と言えばヒマワリやアサガオが一般的ですが、実は百合も夏の花です。透かし百合、小鬼百合に始まって山百合、鬼百合、鹿の子百合と続き、最後は高砂百合が幕を締めます。梅雨の後半から夏の終わりまで咲き連なり、百合は正に正真正銘の日本の夏の花なのです。
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’09 庭の花86 キンミズヒキ 2009.8.5

キンミズヒキ
キンミズヒキ(金水引) バラ科キンミズヒキ属
 水引と称される事物は幾つかあり、一つは麻などを水に浸して皮を剥ぐこと、二つには仏前、神輿、舞台前などに張り渡す幕のこと、三つには進物用の包装紙などに用いる紙糸で、数条を合わせて中央から紅白、金銀、黒白に染め分けにしたもの等…。
 この内の紙糸の水引に喩えたのがタデ科の多年草のミズヒキで、この花は紅白の糸状の花穂を持っています。そしてそのタデ科のミズヒキになぞらえたのがバラ科のキンミズヒキで、黄色のミズヒキ、キンミズヒキと名付けられました。花の少ない夏に咲く黄花で貴重であり、私は大切にしています。
 またこの花の果実には鉤状の棘があり、それは動物や人の衣服に付き遠くへ運ばれます。他者を利用して広範囲に繁殖を図ろうとする仕組みで、草と言っても賢く侮れません。自然界は奥深く真に興味の尽きる事はありません。
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2009年07月18日

’09 庭の花85 ヤマユリ 2009.7.18

ヤマユリ
ヤマユリ(山百合、別名・エイザンユリ)
 この百合は万葉集ではさゆりと呼ばれる説があります。人里の山に咲く大輪の麗花で、強い芳香を放ち辺り一面を清めます。咲き始めはやや微香ですが次第に強く香るようになり、雨降りでは一段と香りは増して清冽です。梅雨の末期に咲く花でこの花が咲けば梅雨は終わりを告げすごすごと退散します。まるでこの清雅な香りに追い払らわれるかのように…。
 真の夏を呼ぶユリ属の精華です。
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2009年07月02日

’09 庭の花84 オミナエシ 2009.7.2

オミナエシ
オミナエシ(女郎花、別名・おみなめし) オミナエシ科オミナエシ属
 黄色の小さい花、その花が散りこぼれると地面は黄色い粒に染まります。その様が雑穀の粟(アワ)の黄色と重なり、粟は昔、女性の主食であった事からオミナメシ(おみな飯)と呼ばれるに至り、それが転じてオミナエシとなりました。これがオミナエシの名の謂われです。漢字の女郎花については、昔は女性を女郎と言い表しました。故に女性花(女次郎花)、決して春を売る女性を指しているのではありません。女性の花、粟を食す女性に喩えた表記です。オミナエシは女性に縁の花です。
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’09 庭の花83 ヤブカンゾウ 2009.7.2

ヤブカンゾウ
ヤブカンゾウ(藪菅草) ユリ科ワスレグサ属
 ユリ科ワスレグサ属は美しい花の集まり、ニッコウキスゲやノカンゾウが中でも美花として名が通っています。このヤブカンゾウもその仲間、でもヤブカンゾウは八重咲きなので花全体がぼってりとして、やや重い感じが否めません。逆に「その豊かさが好き」と言われる方には答えられないでしょうけど…。これは一日花で茶花には向いていそうですが?…。
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’09 庭の花82 カワラナデシコ 2009.7.1

カワラナデシコ
カワラナデシコ(河原撫子、別名・大和撫子) ナデシコ科ナデシコ属
 なよなよとして倒れて咲く事の多い花。でも高原や草原ではしっかり立って咲いています。その風情は可憐にして優雅、淑やかな日本女性の代名詞となりました。更に取って置きの甘く清々しい微香を放ち、三拍子揃った極め付けの日本美人です。大好き!
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2009年07月01日

’09 庭の花82 カライトソウ 2009.7.1 

カライトソウ
カライトソウ(唐糸草) バラ科ワレモコウ属
 紅色のオシベを唐糸に見立てた命名。その美しさを見事に捉えた名前です。本来は高山に咲く花で、白馬八方尾根などでよく見られます。夏そこを訪れれば必ず出会えます。
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2009年06月29日

’09 庭の花81 キキョウ 2009.6.29

キキョウ
キキョウ(桔梗、別名・おかととき・きつこう) キキョウ科キキョウ属
 私は昔富士見高原で見た野生の桔梗を未だ忘れられません。初めての野生であり、その野生の清楚にして艶のある紫に驚いたのです。そして一茎に一輪か二輪の花、その慎ましさいじらしさに愛しさを覚えたのでした。
 桔梗…、本当に麗しい花です。 
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’09 庭の花80 アキノタムラソウ 2009.6.29

アキノタムラソウ
アキノタムラソウ(秋の田村草) シソ科アキギリ属
 シソ科アキギリ属は学名をサルビアと言うのです。サルビア…、フォークソングにも歌われた赤い花が有名ですが、このアキノタムラソウもサルビアなのです。サルビア・ジァポニカ…、日本のサルビア…、青い小花は如何にも日本らしく涼しげで、野の侘びしさを感じさせてくれます。
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2009年06月28日

’09 庭の花79 コオニユリ 2009.6.27

コオニユリ
コオニユリ(小鬼百合) ユリ科ユリ属
 盛夏に咲く鬼百合と極めて似た百合ですが、大きさ(小さい)や咲く時期(早い)が違います。そして葉の付け根に鬼百合のような“むかご”がありません。その分繁殖力は弱いですがスッキリとした優しい葉姿をしています。高原に似合う花でその輝かしいオレンジ色は燦然と輝きよく目立ちます。それは高原のスターと言って過言ではない太陽の色です。
 この百合の球根は食用に適しており、市販用の百合根として広く栽培されています。暮れに掛けて売られる百合根はほとんどがこの小鬼百合の球根です。私はよくこれを買い求め庭に植えます。その際、球根の鱗片をほとんどはぎ取りこれを調理して食し、残った芯を地に植えるようにします。そうすると成長後の身の丈は小作りとなり、花は数輪で咲くようになります。高原で咲いているような清楚さを獲得でき、一際風情が漂うのです。もちろん何もせずそのまま大球(食用のため極度に肥培されている)を植えても一向に構いません。その時は二十輪近い大咲きとなるでしょう。
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2009年06月13日

’09 庭の花78 オオマツヨイグサ 2009.6.13 

オオマツヨイグサ
オオマツヨイグサ(大待宵草、別名・月見草・宵待ち草) アカバナ科マツヨイグサ属
 夜(宵)を待って咲く草なので大待宵草、宵待ち草の名があります。しかし一番名の通っているのは月見草と言う名前でしょう。その夜月があれば色も同じで月に映えて名の如く月見草となります。では闇夜には何となるのでしょうか?。そうしたら闇夜草、あるいは宵咲き花が適当ですかね?。まあ何れにしても余りロマンティックではありません。月夜にふわっと咲くのが月見草、月見草の名が一番です!。
 翌朝が曇天だと午前中は萎れずに咲いています。写真の花もそうでした。
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2009年06月12日

’09 庭の花77 クガイソウ 2009.6.12

クガイソウ
クガイソウ(九階草) ゴマノハグサ科クガイソウ属
 五葉で輪生する美しい葉が何段にも付き、その段数の多い事を九の数に喩えて九階草の名となりました。そしてその頂きには虎の尾状の青紫の花が付き清らかさを演出します。高原にあればそれは風になびいて尚更の爽やかな風景を魅せてくれます。一服の絵となります。
 
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2009年06月10日

’09 庭の花76 ノハナショウブ 2009.6.10

ノハナショウブ
ノハナショウブ(野花菖蒲) アヤメ科アヤメ属
 アヤメ類の中で最後に咲く花、仲間たちの終わりを見定めた末にノハナショウブは花開くのです。それは丁度梅雨時の事で、雨に濡れた風情は美しく、雨を弾いて燦然と輝き、湿地や水辺に華やぎをもたらせます。色は赤みの強い京紫で、これほど濃厚な紫は他のアヤメにはありません。正に貴婦人の井出達であり、その気位の高さはアヤメの中で第一位でしょう。園芸種の花菖蒲の親であり、子供等が最早失った野生の誇りをこの親花は堅固に守り、贅を落とした潔癖があります。
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’09 庭の花75 ネジバナ 2009.6.10

ネジバナ
ネジバナ(捩花)、別名・モジ(ヂ)ズリ(捩摺)・ヒダリマキ
 ヒダリマキ?…、でもちゃんと右巻きもあるのですよ!。昔も可笑しみを心得た人がいたようで、とんでもない名を付けたものです。左巻きとはお馬鹿さんの意味もあるのですから…。この捩花、本当にユーモラスな花で大人気です。
 しかし美しい花でもあります。古の名は「もぢずり」…、平安の和歌になぞらえたロマンティックな名であり、この花に寄せる人の想像は尽きないものがあるようです。因みにその歌を紹介致します。
 陸奥(みちのく)の しのぶもぢずり誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに 
 私の心は信夫地方(福島県)のもぢずりと言う絹地模様のように乱れ初めた。それは私自身の所為ではなく、事もあろうに私が恋しく思う貴女の所為だ。乱れている恋心、それは虹のように消えていっても清純な恋は美しい。…こんな意味があるそうです。
 古人はこの捩じれた絹地模様のもぢずりを捩じれた花の名にも付けました。…素敵ですね。
 参考: 野ばら社「小倉百人一首」
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’09 庭の花74 ヒメシャラ 2009.6.10

ヒメシャラ
ヒメシャラ(姫娑羅、別名・さるなめり・あからぎ) ツバキ科ナツツバキ属
 椿の仲間で夏咲きのものを夏椿と言いますが、夏椿は別に娑羅とも言います。その娑羅よりなおも小さい花を付けるのがこの姫娑羅で、名の通り実に品のある可憐な白花を咲かせます。大木になる木ですが、あくまで花は小振りなのです。
 また娑羅は娑羅双樹を思い起こしますが、これは全く別の木でリュウノウコウ科の常緑喬木です。釈迦が涅槃に入った娑羅樹林の木の事で、娑羅、姫娑羅、娑羅双樹、全く植物名は良く調べないと混同してしまいます。
 参考・広辞苑
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’09 庭の花73 ヤマオダマキ 2009.6.9

ヤマオダマキ
ヤマオダマキ(山苧環) キンポウゲ科オダマキ属
 日本に自生するオダマキは二種類あります。高山にある深山苧環と普通の山地に生えるこの山苧環です。深山苧環は逞しく地を這い美しい紫ですが、この山苧環は黄花であり、ひょろひょろと伸びて弱々しい…。僅かな風に揺れ、その様は極めてはかなげです。さしずめ、腺病質の細身の美少女と言うところでしょうか…。でもそこがとても愛らしいのです。
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2009年06月04日

’09 庭の花72 アジサイ 2009.6.4

柏葉紫陽花 紫陽花・青 紫陽花・淡紫
柏葉 青 淡紫
アジサイ(紫陽花、別名・四片[よひら]) ユキノシタ科アジサイ属
 日本の梅雨の花の代表であり、最も梅雨に相応しい花です。雨に濡れた風情は格別で、それは本当の意味で瑞々しく照り映えます。手毬のように大振りな花房を持ち長く咲きますが、真の美しさは咲き始めて暫くの間のものでしょう。それは彼のシーボルトが日本のロ−ズと称した美しさで、その一瞬の輝きこそが世界に冠たる日本の名花と言われる所以です。
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’09 庭の花71 ホタルブクロ 2009.6.4

ホタルブクロ
ホタルブクロ(蛍袋、別名・風鈴草、提灯花) キキョウ科ホタルブクロ属
 何故かもの思いに沈んだうつむき加減の花の姿…渋く潤んだ花の彩…、私の野草育成の原点となった最愛の花です。
 子供達が小さかった頃、皆でよく野を歩きました。そんな時咲いていたのがこの蛍袋、私は一目でこの花の虜になりました。それからの私はこの花が頭から離れず、庭に植えたいと切に願望しました。そして思い切り一本掘り起こし庭に植えたのです。ところがその蛍袋は数日の内に枯れ、私は深く傷付き悔恨を残しました。されど私は諦めずに真摯に反省をして、この花のタネを採り蒔いてみました。それはしばらくして発芽をし何と旺盛に生育し始めたのです。やがてみるみると成草となり、翌年の今頃には花が開きました。私の喜びは計り知れなく、その喜びこそが私の野草育成の原点となったのです。
 今年も美しく咲きました。年々その数と美しさは増しているようで、私は心を強くしているところです。通り掛かりの人も遍く愛でていきます。「美しい」と言う形容詞を残して…。
 
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’09 庭の花70 タカネナデシコ 2009.6.4

タカネナデシコ
タカネナデシコ(高嶺撫子) ナデシコ科ナデシコ属
 日本にナデシコは幾つかあり、草原や河原に咲いているカワラナデシコ(大和撫子)、海岸に咲くハマナデシコ、そして高山にはシナノナデシコにタカネナデシコが咲いています。それらはどれも美しく、撫子は正に古来より日本(大和)の名花です。
 このタカネナデシコは大和撫子と呼ばれるカワラナデシコの高山型で遺伝的に近くその美しさも甲乙付け難いものがあります。その違いは背丈の差で、カワラナデシコは背が高く倒れ気味でなよなよとしたところがあります。対してタカネナデシコはあくまでも低く、倒れずによく株を張り、多くの花を付けます。高山の風と乾燥に耐え得る作りをしているのです。但し、花の香りはカワラナデシコが勝るようで、その魅力は長短相半ばする痛み分けとするのが無難なようです。とにかく美しい花です。
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’09 庭の花69 ヤツシロソウ 2009.6.4

ヤツシロソウ
ヤツシロソウ(八代草) キキョウ科ホタルブクロ属
 キキョウ科はその鐘形の花冠の愛らしさも手伝って極めて美しい花の集まりであり、その多くは紫の色を持ちます。この八代草も鮮やかな紫で、陽光に映えるとその紫は透明度を際立たせ、益々美しく輝きます。紫の花色を好む私には堪らない魅力の花と言えます。
 熊本の八代で発見されてこの名になり、阿蘇山によく見られるそうですが、この種の母種がヨーロッパにあり、この写真の八代草もヨーロッパ種の流れを汲む品種かも知れません。実を言えば私は園芸店で仕入れたタネから育て上げました。タネが売られるとは園芸化された事、真の野生ではありませんが、そんな事はどうでもいい事、野趣に富んだ清楚さも合わせ持つ好ましい花と思います。

 
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’09 庭の花68 エーデルワイス 2009.6.4

エーデルワイス
エーデルワイス(西洋薄雪草) キク科ウスユキソウ属
 エーデルワイスはキク科ウスユキソウ属の花。このウスユキソウ属の花は日本にも各地で自生があり、レブンウスユキソウやハヤチネウスユキソウが知られています。見た目もエーデルワイスとほとんど変わらず、ウスユキソウはすなわちエーデルワイスと言って過ちではありません。何れも高原や高山に咲き、「アルプスの白い星」と呼ばれ愛されています。またエーデルワイスの原語はドイツ語で「エーデルヴァイス」と発音し、その意味は「高貴な白」であるそうです。ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の中でこの花はトラップ大佐に歌われ、戦争の不穏な空気の中でオーストリアの誇り高き象徴として扱われました。
 因みにこの属の草は周りの白い星型のものが花ではなく、その上の薄黄色の頭花が花なのです。白い花びら状のものは花を守り包み込んでいた苞葉です。
 
 この写真のエーデルワイスはタネから育てたものです。播種からは二年の歳月が経っており、育苗床で毎日水をやり、今日に至らしめたものです。これを見てその甲斐をひしひしと感じ、心熱くなりました。 
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2009年06月01日

’09 庭の花67 キョウガノコ 2009.6.1

キョウガノコ
キョウガノコ(キョウカノコ・京鹿子) バラ科シモツケソウ属
 私はキョウカノコと読んでいましたが、本来はキョウガノコと読むそうです。(広辞苑)
 そもそも、京鹿子とは京都で染められる鹿子絞(かのこしぼり)の事。その鹿の子とは鹿の子供の体にある白い斑点の事で、これを鹿の子斑(かのこまだら)といいます。この斑模様の絞り染めを鹿子絞と言うのです。更に鹿子百合や鹿の子魚の生物や鹿の子餅の品物、鹿の子摺(ずり)や鹿の子縫(ぬい)の工事、工芸などにも鹿の子の名は使われています。
 この花の京鹿子も蕾が鹿の子模様に見えます。しかし蕾が開けばそれは失せますが、反対に一際華やいで美しく変身します。繊細な雄しべが伸びやかに開き、薔薇色の綿菓子のように甘い色彩を放つのです。何と見るからに美味しそうに…。
 参考: 広辞苑
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’09 庭の花66 シモツケ 2009.6.1

シモツケ
シモツケ(下野、別名・キシモツケ) バラ科シモツケ属
 バラ科シモツケ属は美しい花の集まりです。園芸種のコデマリを始めとし、小花の密集した賑やかな花達です。その大半は白色ですが、このシモツケは紅色です。雄しべの花糸までもが紅に染まり、咲けばふわりと霞掛かって見えます。本来は高原に咲く花で、その強い日差しを浴びて格別の美しさで輝きます。
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2009年05月29日

’09 庭の花65 ヤグルマソウ 2009.5.24

ヤグルマソウ
 ヤグルマソウ(矢車草) ユキノシタ科ヤグルマソウ属
 大きく瑞々しい五枚葉が矢車に似る故にこの名となりました。しかし普通鯉のぼりの竿の先に使われる矢車は八角であり、その命名の根拠はかなりいい加減と言えます。またヤグルマソウの名はエジプト王ツタンカーメンの棺に妻のアンケセナーメンが捧げた花として有名ですが、これはヤグルマギク(矢車菊)の名が正しく、現代でも普通に栽培されているお馴染みの花です。青く美しい矢車菊とは対照的に地味な矢車草ですが、如何にも日本の山の花らしく静かな佇まいを見せています。その静寂を私は愛します。
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2009年05月19日

’09 庭の花64 チシマタンポポ キク科タンポポ属

チシマタンポポ
チシマタンポポ(千島蒲公英) キク科タンポポ属 
 千島の名がその名の冠に付けられた草はかなりあり、千島列島は野草の宝庫である事が分かります。今は他国の領土となり簡単には訪ねられませんが、何時か渡航が自由可能になれば是非行ってみたい土地ですね。きっと素晴らしい花に出会えるに違いありません…。
 チシマタンポポ、その列島の片鱗を見せてくれる愛らしい花です。
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’09 庭に花63 ウツギ 2009.5.19

ウツギ
ウツギ(空木、卯木、別名・卯の花) ユキノシタ科ウツギ属
幹や枝が中空なので空木の名があります。別名は卯の花で旧暦の四月・卯月に咲くのでそう名付けられました。平開せずやや閉じ気味の花ですが“卯の花”とは何と柔らかな響きなのでしょうか。白くふくよかな花房にはぴったりの名だと思います。暖かい陽気の中でその美しさは際立ちます。
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’09 庭の花62 ヒオウギアヤメ 2009.5.19

ヒオウギアヤメ
ヒオウギアヤメ(桧扇菖蒲) アヤメ科アヤメ属
 野生の花は何故美しいのでしょうか?。私は常にその不可思議に突き当たります。花は美しいから美しいのであり、そんな無駄な事は考えなくてもよいのではないか、とも思いますが考えてしまいます。そこで今回、考えた末の結論を申しましょう。
 花は進化の過程で完成した命の継承に奉仕する器官であり、その首尾には雄しべの花粉を雌しべの柱頭に運ぶために虫を必要とします。そこで色で飾り見てくれ良く目立たせ、密と香りを醸して虫を引き寄せます。そして虫を仲立ちとして、めでたく花粉を着床させ子孫を残すのです。丁度私達人間の男女が恋の駆け引きをし、やがて結婚して子を残すのと同様に…。そんな必死の恋の有様が美しいのは当たり前で、他の何が美しいと言えるのでしょうか?。花(女性)こそは性(生)のシンボルであり、女性(花)こそ究極の命の源です。女性(花)が美しさを競い、私(虫)がその女性(花)の美に籠絡され恋い焦がれるのは当然の真理です。 
 そして野生の花とは自然そのものであり、そこに外連(けれん)のない純粋を私は見抜きます。そこには人間の仕込んだ浅はかな嘘がないからです。
 桧扇菖蒲、この花もそんな野生の麗しい花です。 
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’09 庭の花61 フタリシズカ 2009.5.19

フタリシズカ
フタリシズカ(二人静) センリョウ科センリョウ属
 四枚の広い葉の上に二本の繊細な花茎、懐の深い落ち着いた雰囲気を醸し、こちらまで安らいだ気分にさせてくれます。正に静の名そのままの優しい風情で植物の善良さがよく表れていると思います。
 この時期、庭は緑深く、地味な二人静は全体に紛れてしまい、見つけられる人は皆無となります。そこで私は見物人にそっと教えてあげます。皆一様に「うわー、素敵ね、美しい!」と愛でて行きます。少しでも喜んで貰えれば、それは私とこの草の本望です。
 
 
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’09 庭の花60 ユキノシタ 2009.5.19

ユキノシタ
ユキノシタ(雪の下) ユキノシタ科ユキノシタ属
 一般に何処の庭にもある草ですが、これも立派な野草…、自立した野の花なのです。常緑で地にへばり付く葉は淡雪でも薄っすらと雪に隠れ、その様は正に雪の下と呼ぶに相応しい、真に美しい名を授かったものです。花は人の字や大の字を細筆で書いたような形状であり、白く繊細で美しい…。すっきりとした輪郭線が特徴の花です。但しその殖え過ぎる性質が問題で好む人もいれば、嫌う人もいるようです。勿論私は前者です。殖えたら間引きをすれば良いのです。
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’09 庭の花59 ハクチョウゲ 2009.5.13

ハクチョウゲ
ハクチョウゲ(白丁華) アカネ科ハクチョウゲ属
 眩く輝く星の花、沖縄の白い星は我が庭でも元気です。何時かは私も沖縄に行ってこの花の自生を確認したいと思っています。その時を夢見てこの庭の白丁華と共に頑張って行くつもりでいます。
 我が白丁華もこの庭にきてもう5〜6年が経ちます。順調に生育して随分と大きくなり、花も沢山咲くようになりました。比較的花期の長い花で今日も(5月23日)綺麗に咲いていました。私は「綺麗だね、素敵だね、お星さまのようだね!」と褒めてやりました。
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’09 庭の花58 イブキジャコウソウ 20095.13

イブキジャコウソウ
イブキジャコウソウ(伊吹麝香草、別名・岩麝香草) シソ科イブキジャコウソウ属
 関ヶ原の北に位置する伊吹山、その伊吹山に多く産し、麝香のような良い香りがするとこらから伊吹麝香草の名になりました。しかし、これは草と名しますが草ではなく小低木なのです。細い幹と枝は上には伸びず地表を這い、花が咲けば株一面を覆い尽くし、単色の見事な景観を見せてくれます。
 ところで麝香とはどんな匂いなのでしょうか?、私はそれを嗅いだ事はなく分かりませんが、本来は動物の麝香鹿から抽出された香料と聞きます。その麝香の名が一人歩きをし、遍く良い香りの象徴として認知されるに至り、他の多くの芳香を発する生物や品物の冠名に使われるようになりました。この伊吹麝香草もその一例であり、全草に亘って甘味の強い特異の香りがあります。特に葉は強烈な芳香を発し、触れただけで暫くは手から匂いは消えません。それは正に驚きの匂いで、どんなに鼻詰まりでもちゃんと匂いますよ!。
 因みに、麝香撫子とはカーネーションの事ですよ。
 
 参考: 広辞苑
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’09 庭の花57 ノイバラ 2009.5.13

ノイバラ
ノイバラ(野薔薇、野茨) バラ科バラ属
 「童は見たり 野中の薔薇…」、でお馴染みの野薔薇の日本のモデルがこのノイバラです。強健な灌木で旺盛に繁茂し正に鋭い棘を持つ茨(イバラ)となります。花は薔薇の習いで初夏に咲き、清楚な白花を多数付けます。美しい花ですが、この花には更なる取って置きの売りがあるのです。それは甘く爽やかな香りであり、この花の前に立てば芳香がそこはかとなく漂ってきます。私はこの匂いの愛好者であり、花があれば何時でもそこに吸い寄せられてしまいます。そしてしばし悦に入るのです。その清々しさは最高で、この季節の何よりの清涼剤です。
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2009年05月15日

’09 庭の花56 シラン 2009.5.10

シラン
シラン(紫蘭) ラン科シラン属
 庭の彩としてよく植えられています。一輪で主役を張る程の花ではないかも知れませんが、群生すれば様相は一変します。俄然その赤紫が主張をし出し、隅に置けない花となります。誇り高き蘭一族の名に掛けても…。
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’09 庭の花55 キショウブ 2009.5.10 

キショウブ
キショウブ(黄菖蒲) アヤメ科アヤメ属
 これは日本原産ではなく、明治期に渡来した外来の栽培種です。しかし強健な性質の為、日本各地の池沼や休耕田などに自生し半野生化しています。アヤメ属の中でも特に立派な体躯をして毅然と直立し、黄色の美しい花を咲かせます。また外花被片(垂れた花弁)の基部には褐色の筋目があり、やはり正しくこれは黄色のアヤメです。そのふくよかな花弁の黄色は鮮烈であり、初夏の田園を成熟の色で染め抜きます。
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’09 庭の花54 ゲンペイギク 2009.5.9

ゲンペイギク
ゲンペイギク(源平菊) キク科
 本来は外来の園芸種と聞きますが、近年、人家の石垣や川の断崖などで群生し半野生化しています。鎌倉の極楽寺や岩瀬の川縁では石垣にへばり付いて可憐な花を咲かせています。小さく弱々しい花なので人はその風情にあはれを想い愛しますが、その群生は旺盛な生命力に満ちて見え見事なものです。咲き始めは純白ですが、次第に紅を帯びてきて色変わりをします。その様が源平の栄枯盛衰を想わせる故、この名が付いたと言われています。しかし、平家が滅んだあと源氏が起ちますが、直ぐに平氏の北条にとって代られる、人の世はこの花のように単純ではないのですね。
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’09 庭の花53 チョウジソウ 2009.5.9

チョウジソウ
チョウジソウ(丁子草) キョウチクトウ科チョウジソウ属
 庭に来ていたアマチュアカメラマンの男性から「この花は何ですか?」と尋ねられました。「よくぞ聞いてくださいました。これはチョウジソウと言います!」…。このように派手さのない地味な花に気付く人は稀で、この花も尋ねられてさぞや嬉しかったに違いありません。私も嬉しく思い、育てがいを感じました。
 でも良く見るとくすんだ空色に近い薄紫の花、写真に引き伸ばしてみればどうしてどうして、くっきりとした美しい花です。改めてその真価を確認したのでした。 
 

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2009年05月13日

’09 庭の花52 アヤメ 2009.5.8

アヤメ
アヤメ(菖蒲、文目、綾目) アヤメ科アヤメ属
 何故か判りませんが、アヤメを菖蒲と記すのはどうしたものでしょうか?。菖蒲湯で使うサトイモ科のショウブとの混同があると思われますが、私としては解せません。真におかしく情けない事です。アヤメは綾目で良いじゃないですか!。可愛い名前だし…、すっきりしますよ。
 アヤメの花弁は、垂れ下がる外花被片3個と直立する内花被片3個の計6個です。その内の外花被片の基部に黄と紫の虎斑模様があり、その模様を綾目と見立てて、その名としたのです。スマートな立ち姿、初夏らしい紫の光彩、その透明な華やぎは麗しく、五月の美女と喩えるに相応しいですね。
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2009年05月12日

’09 庭の花51 タツナミソウ 2009.5.8

タツナミソウ
タツナミソウ(立浪草) シソ科タツナミソウ属
 北斎の浮世絵・神奈川沖浪裏の泡立つ波のように重なった花の姿。そんな花を立浪草と名したのは当然と言えますが、中々の美名である事に疑う余地はありません。見事にはまった名だと感心するのです。近似種のコバノタツナミよりは遥かに背が高くスマートであり、違いは歴然としています。また花期もコバノタツナミが終わると同時に咲き出すもので、まるでバトンタッチをしているようで、興味深いのです。
 美しい紫の浪、その清々しさは何よりもこの季節に打って付けと思われます。
 
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’09 庭の花50 ミヤコワスレ 2009.5.3

ミヤコワスレ
ミヤコワスレ(都忘れ、別名・ノシュンギク) キク科ミヤマヨメナ属
 承久の変で北条義時に敗れた順徳天皇は佐渡に流されました。傷心の天皇はそこである花に慰められ、「この花を見れば都を忘れられる」と言われたのだそうです。その花がミヤマヨメナで、後に園芸化されこの謂われに因んで名付けられたミヤコワスレと言い伝えられています。薄紫の花、その涙色は何時の時代も悲しい思いに繋がっていくのですね。
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2009年05月01日

’09 庭の花49 フウロソウ 2009.5.1

フウロソウ
フウロソウ(風露草) フウロソウ科フウロソウ属
 これは園芸化された四季咲きのフウロソウです。野生種でないのは残念ですが、それに適う雰囲気は持っています。四季咲きで何時でも花は見られますが、その分季節感はありません。園芸化は功罪相半ばすると言う事です。
 日本の山野にはゲンノショウコを始めとしたフウロソウが幾つもあり、それは名にし負う美しい花達です。特に高山植物のハクサンフウロやアサマフウロは美しく、高山を彩るお花畑の中心を成す花です。信州の八島湿原にはこの両花の見事な群落があり、そこは正に天上のパラダイスと言うに値します。
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’09 庭の花48 ヒメシャガ 2009.5.1

ヒメシャガ
ヒメシャガ(姫射干) アヤメ科アヤメ属
 シャガに似るが小型なのでヒメシャガの名があります。しかしシャガ属と言うのは存在せず、あくまでアヤメ属の花です。良く見ればなるほどこれはアヤメの作りをしており、その紫と黄の色使いは正しくアヤメ科の特徴を示しています。美花の集いアヤメ属、その端くれで小さく華奢に見えますが、どっこいこの末っ子は美しいのです。大女の姉たちには負けぬ、度胸と愛嬌のトランジスタグラマーです。
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’09 庭の花47 ホウチャクソウ 2009.5.1

ホウチャクソウ
ホウチャクソウ(宝鐸草) ユリ科チゴユリ属
 宝鐸とは堂や塔の四方の軒下に吊るして飾りとする大きな風鈴の事。古人はその風鈴に似た花を咲かせるこの草を宝鐸草と名付けました。中々由緒ある素敵な名前ですよね。
 チゴユリと同属の草ですが、チゴユリより都市近郊に生育しており、より強健な草と言えます。写真のホウチャクソウも元々ここに自生していたもので、私が植えたものではないのです。世話をする事なく毎年沢山の花を咲かせて私を楽しませてくれる、何とも有り難い花です。
 *参考: 広辞苑
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’09 庭の花46 ヒメイズイ 2009.5.1

ヒメイズイ
ヒメイズイ(姫萎ずい) ユリ科アマドコロ属
 アマドコロ(イズイ)と同属でそれより小型なので、小型のイズイ、ヒメイズイと名付けられました。これは背が低く、アマドコロの様に傾かずに直立しています。花もその全体の背丈に比して大きく、花が良く目立ちます。花の開口部は6裂しており、ユリ科の戸籍の草と自らで明かしています。
 照葉の葉とふくよかな花は優しい風情ですが、優雅と言うよりは可憐と申した方が良いかも知れないですね。
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’09 庭の花45 アマドコロ 2009.5. 1

アマドコロ
アマドコロ (別名・イズイ) ユリ科アマドコロ属
 植物の名は朝顔や向日葵のように単純に付けられたものもあれば、その名づけの謂れが複雑なものもあります。このアマドコロはかなり複雑なようであり、私は興味をそそられ、ちょいと調べてみました。まずアマドコロとは甘いトコロ(野老)を意味します。そのトコロとは実はヤマノイモ科の蔓草を指し、その根は食用となるが苦味が強い。一方アマドコロの根はトコロの根に似るが甘味があり、同じく食用になったので甘いトコロ、トコロの名を借りてこの草はアマドコロと呼ばれるに至りました。
 この類のユリ科の草は、花は地味ですが葉は美しい、緑したたるとは正にこの草の如しでしょう。そして姿は極めて優美です。そんな草の妙味を見せてくれる野生とは…、自然とは…、何て素晴らしい不可思議を秘めているのでしょうか…。 

 *別名のイズイは漢名(中国名)であり、イズイのイは萎で、ズイは草冠に豕と生を配した字を書きます。ところがズイは環境依存文字でありこの文面には記す事ができません。ズイは本来は花が垂れ下がるの意があるそうで、正にこのアマドコロの地味で小さな花が垂れた姿に当てはまるものと思われます。(もう一度調べ直しました。'09.5.6)

 参考: 広辞苑、山渓「日本の野草」、ネット検索「天武天皇の年齢研究」
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2009年04月30日

’09 庭の花44 スズラン 2009.4.29

スズラン
スズラン(西洋鈴蘭、君影草) ユリ科スズラン属
 スズランは思い出深い花…。少年の頃のテレビニュース(北海道の風物詩として毎年この時期に紹介された)で良く見た花でしたが、その花がその当時の私の初恋と渾然と絡み合い、今も私の心の片隅に根付いています。あの美少女と鈴蘭…、その愛らしい姿と清雅な香り…、私を恋に目覚めさせてくれた愛しい対象、それは美しい鈴蘭の様な少女でした。
 鈴蘭には君影草(きみかげそう)と言う別名があります。大きな葉の影にささやかに咲く花のシルエット、その横顔が愛する君(乙女)に似ているからでしょうか?。文学の香りのする素敵な名だと思います。
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2009年04月27日

’09 庭の花43 オダマキ 2009.4.24

オダマキ
オダマキ(苧環) キンポウゲ科オダマキ属
 美しい花の集まりキンポウゲ科…、その中でもオダマキは特別に個性的と申せましょう。この花は名の元となった糸掛けの苧環に似た珍しい形をしており、他の花にない味わい深い魅力があるのです。オダマキには西洋種もあり、大振りの立派な身の丈を持ち、色鮮やかな花を咲かせます。しかし残念ながら、その花では私の美意識を満足させてはくれません。やはりオダマキは日本苧環でなければならないのです。その粉白の柔和な葉、くすんだ青紫の渋い花色、そして燻し銀の床しい佇まい、そんな美はこの日本種にしか存在しません。これこそが私の美意識に適う苧環です。
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’09 庭の花42 サクラソウ 2009.4.24

サクラソウ
サクラソウ(桜草・紅花) サクラソウ科サクラソウ属
 日本のサクラソウは古くから園芸栽培が盛んで、多くの品種が作出されてきました。これを日本桜草と称し、その作出品種には源氏名もどきの名称が付けられたりして、趣味人達の思い入れたっぷりの遊びでした。されど、私はそうした趣向に与する事は避け、ひたすら野生種の美しさにこだわってきました。無駄な装飾は廃し、ぎりぎりのところまで削った完成度で勝負する、この野生の誇り高い振る舞いこそが、私の最も尊重するところなのです。この紅花には微かに紫が潜んでいます。それが生存にかかわる野生の野生たる証明であり、そこに仄かな蠱惑の色香が匂います。昆虫を含む雑念のないもの達だけがその美に惹かれそれを獲得でき、心ゆくまで酔いしれる事ができるのです。そんな幸福が訪れます。
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’09 庭の花41 ヒメウツギ 2009.4.24

ヒメウツギ
ヒメウツギ(姫空木、姫卯木) ユキノシタ科ウツギ属
 ウツギは空木と書きます。それは、ウツギは枝の髄が中空だからで、パイプやストローのようになっています。その強度は力学的にも証明されており、中空だからと言って決して強風で折れる事はありません。中空は重量を減らす事ができ、風をしなやかに受け流せるからです。
 数ある空木の中でも、このヒメウツギは春に咲く種類で、長い枝をたおやかにしならせて美しい白花を咲かせます。その清楚にして優雅な花は誰の目にも好ましく映るようで、この花の前で佇む人は多いのです。勿論、私も大好きな花で、毎日眺めては溜息をついています。花期は短い花ですが、ここしばらくは楽しめます。≪一般のウツギは旧暦の卯月(今の五月)に咲き、空木の名の代わりに卯の木・卯木(ウツギ)・卯の花とも呼ばれました。初夏に咲く花で、夏の季語です。≫
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2009年04月25日

’09 庭の花40 マイヅルソウ 2009.4.23

マイヅルソウ
マイヅルソウ(舞鶴草) ユリ科マイヅルソウ属
 標高1500メートル以上の深山幽谷に自生しています。針葉樹林内の岩盤に這って生え、柔らかい緑で岩板を覆い尽くします。上高地には大群落があり、花時(6−7月)に訪れれば、緑の絨毯の上に白い花が煌めきます。明神池経由の徳沢まで、その梓川左岸を歩けば、山の端の薄暗い林内に必ず見つけられます。但し、盛夏では遅く見られないかも知れませんが?。
 名の舞鶴は葉の構図が鶴の繁殖の舞いで見せる胸を反らした時の羽の形状に似ているからで、葉の形と葉の平行脈が滑らかに湾曲した様を見事に言い当て見立てたものです。
 やはりこの花もユリ科の地味な花の一つです。決して彩色とは申し難い風情ですが、その清らかな白と潤む緑は精気に満ちており、観る者の心を洗い流し清め、明日への活力を蘇らせてくれます。
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’09 庭の花39 コデマリ 2009.4.23

コデマリ
コデマリ(小手毬) バラ科シモツケ属
 これは日本に自生はなく、中国原産の花木です。人の庭に植えられ鑑賞されるためだけに渡来してきました。バラ科シモツケ属は細かい花を数多付ける多花性の類で、このコデマリもその代表であり、無数の小花を手毬状に付け、株を覆い尽くします。その華やぎは荘麗極まり無く圧倒的に咲き誇り、真の春、正に春たけなわの宴と言ったところです。
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’09 庭の花38 ユキザサ 2009.4.23

ユキザサ
ユキザサ(雪笹) ユリ科ユキザサ属
 花の名の起こりとなった笹に似た平行脈の葉…、そして雪のように白く細かい花房…。何て美しいのでしょう。少し前のチゴユリを思い出します。私の長い花暦で培ってきた観察眼が、私をこの類の花の趣味に走らせました。その渋く地味な佇まい、しかしきらりと光る清潔な精神性、この奥床しい風情こそが私の最も愛する花の姿です。
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’09 庭の花37 ユキモチソウ 2009.4.23

雪餅草
ユキモチソウ(雪餅草) サトイモ科テンナンショウ属
 この草もテンナンショウの仲間の一つで、花は奇怪ですが黒白の対比は美しくもあり、一族の中では最も鑑賞に耐え得るものでしょう。斑入りの豊かな葉の上にスッキリとした花序を頂き…、それらが相俟ってその立ち姿には怪しくも形容しがたい気品が漂っています。その神秘的な際どさこそがこのテンナンショウの骨頂と言えます。
 その花序の付属体の雪の様に白い球、そして球の餅のような膨らみがこの名雪餅草の起こりとなりました。これは見て直ぐ、誰にでもよく分かりますよね?…。
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2009年04月22日

’09 庭の花36 ウラシマソウ 2009.4.22

浦島草
ウラシマソウ(浦島草) サトイモ科テンナンショウ属
 この花もグロテスクなテンナンショウの仲間、恐らくテンナンショウの中でも最も奇怪な雰囲気の花でしょう。でも私は大好きです。よくよく見れば、その破れ葉傘を差した姿はユーモラスであり、気取った見栄張りは粋でもあります。だんだん好きになってくると私はそれを愛してしまう性格なのかも知れません?、困ったものかもね? 時と場合によっては???…。
 その名の謂われは、花の肉穂花序から伸びる長大な糸状の付属体を浦島太郎の釣り糸に喩えたもの。それは真に長く、放物線を描いて地面に到達しています。驚きです!。(写真をクリックしてください)  本当に楽しい草で、思わず浦島太郎の伝説を思い出してしまいます。…お爺ちゃんの太郎さんを…。
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’09 庭の花35 コバノタツナミ 2009.4.22

コバノタツナミ
コバノタツナミ(小葉の立浪、ビロードタツナミ) シソ科タツナミソウ属
 もう二十数年も前、私は我が子と旅をするようになり、野を歩いては野の花を見つけ、愛するようになりました。スミレ、タンポポ、ツメクサにホタルブクロ。若い頃には見向きもしなかった花達でした。我が子と共に摘んで帰ると、花はくたっと萎れてしまい、子は悲しみ、「もう摘むのは止めようね」を合言葉にし、一つ学びを得たのでした。
 そんな折、ある方にこのコバノタツナミを頂きました。その方の家は花の溢れた庭を持ち、私が褒めるとその方は「どれでもお好きなものを差し上げます」と言ってくれました。私はこのコバナタツナミに魅せられて、迷わずこの花を指名しました。体は小さいのに花は体に比べてとても大きい、そしてこの上なく美しい。その方は「これも自然が育てた野生の花、野生は人の手垢の付かない純粋なものです」と説き、私はそこに底知れない気品と優美を見ました。
 この花も我が庭に来て早二十年になろうとしてます。今やあの時の百倍に増えてすっかり我が家(庭)の家族となって、毎春彩りを添えています。この前を通る通行人は遍くこの花に目を留め、しばし足を止めて愛でて行きます。そして一様に「美しい!」と褒め称します、コバノタツナミもさぞや嬉しい事でしょう。一際丈夫な草であり、恐らく私より長生きをする事でしょう…。未来の人からも愛されたらいいね…。 
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’09 庭の花34 ミツバツツジ 2009.4.18

東国三葉躑躅
ミツバツツジ(三葉躑躅、東国三葉躑躅) ツツジ科ツツジ属
 ミツバツツジには幾つかの種類があり、雄しべの数の違いなど、遺伝子的に見て若干の差異があるようです。それは自生地の棲み分けにより区別されており、西国三葉躑躅や東国三葉躑躅、清澄三葉躑躅に大山三葉躑躅等と地域に因んだ呼び名が付いています。この写真の三葉躑躅は雄しべが10個なので、恐らく東国三葉躑躅と思われます。
 葉の出る前に咲き、その紅紫色は極めて美しく、よく庭に植えられています。本来は山に咲く野生の躑躅で、関東甲信越の山地では春のゴールデンウィークの頃に咲き、山の斜面や断崖を色鮮やかに染め抜きます。とにもかくにもその鮮やかさは圧巻であり、桜とは違った鮮烈の色彩が楽しめます。
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2009年04月19日

’09 庭の花33 ヤマブキソウ 2009.4.14

ヤマブキソウ
ヤマブキソウ(山吹草、別名・草山吹) ケシ科クサノオウ属
 照り映える黄色を大判小判に見立てて黄金色と言うようになりました。同様に、山吹の花の色も黄色が照り映えて見え、この黄色を山吹の花の色に因んで、山吹色と称しました。結局、世間は黄金色も山吹色も同色と定め、小判の事を山吹と称したりもしたようです。(参考・広辞苑) そしてこの山吹の黄金色にそっくりな花を持つ草が野にあり、これを山吹に名を借りて、山吹草(草山吹)と名したのです。
 山吹はバラ科で花は五弁、山吹草はケシ科で四弁、似ていても、違いは歴然と花弁の数に表れていました。但し、美しさは甲乙付けがたく痛み分けと言う事にしましょう。姿もたおやかで両者とも風情があり、山吹は立派に、草山吹はひっそりと慎ましく…、どちらも美しい咲き振りです。
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’09 庭の花31 ムサシアブミ 2009.4.14

ムサシアブミ
ムサシアブミ(武蔵鐙) サトイモ科テンナンショウ属
 サトイモ科テンナンショウ属はとてもグロテスク…、しかし不思議な気品があるのです。私はどちらかと言えば変わり者なので、この種の花に興味があり育てています。花序を宮本武蔵の馬の鐙(あぶみ、乗馬の際に足を乗せる器具)に喩えたもので、この草の毅然とした猛々しさが武蔵の名に相応しく、素敵な名前だと思います。
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’09 庭の花30 チゴユリ 2009.4.14

チゴユリ
チゴユリ(稚児百合) ユリ科チゴユリ属
 美しい葉、愛らしい花、小さいが上品な姿。こんな草もあるものですね。これは私の宝物で、何時も気に掛けその無事を確認しています。そして今年は花を見られるかな?と、一生懸命辺りを探し回りました。…ありました「良かった、嬉しい!」… たった一輪でしたが、今年も咲きました。
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’09 庭の花29 スミレ 2009.4.12

スミレ
スミレ(菫、変種白花) スミレ科スミレ属
 以前、園芸屋から買った野草のタネにコモロスミレなる野生のスミレのタネがありました。咲かせてみると、二つの形態のスミレが現れました。一つは濃い紫の八重咲きの品種、もう一つはこの写真の白花のもの。どちらも可愛かったので庭に植えていましたが、紫の八重咲き種は絶えてなくなり、この白花だけが残り、今も美しく咲いています。スミレは極めて偏屈な草で、ある年は大挙して発生し、芝生の庭一面を彩りますが、しばらくすると全くいなくなり、庭はもぬけのからとなるのです。でも、庭にはスミレ達自らが産み残した大量のタネはばら撒かれています。ですから何時かは発芽をし、紫の八重咲き種も元気な姿で帰ってくるかも知れません。気儘で偏屈なスミレ達はきっとしぶとく時を待ち、復活してくるに違いありません。その時私は「お帰り!」と声を掛けてやるつもりでいます。その苦労を労うように…、その愛しい気質を愛しむように…優しく、力強く。「早く帰ってこないかな…」。
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2009年04月18日

’09 庭の花28 サクラソウ 2009.4.12 

サクラソウ
サクラソウ(桜草・白花) サクラソウ科サクラソウ属
 一般に桜草と言われているものは、越年草(一年草)としてタネ蒔きをして育てられているプリムラマラコイデスで外来の園芸草花です。肥料を多く施し大きな株に育てれば、花は何段にも咲き上り、花期は数か月に及びます。反対にこの日本桜草は多年草であり、花は一段咲きで花期は短く、一週間の命です。やや物足りなく思われますが、これが野生の倣い、僅かの間に繁殖を済ませ、潔く散り失せます。正にこの季節を知らし示す春の使者で、春の野を喜びで満たすのです。マラコイデスに比べれば花の質感は高く、存在感に優れて美しいものです。
 後日、紅花を紹介します。お楽しみに…。
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2009年04月15日

’09 庭の花27 ニリンソウ 2009.4.10

ニリンソウ
ニリンソウ(二輪草) キンポウゲ科イチリンソウ属
 美しい花の仲間・キンポウゲ科の一属。その内のイチリンソウの姉妹であり、花茎の一茎に二輪の花を咲かせるので二輪草の名になりました。この写真でお分かりのように、上の花は最初に咲いた花で背が高くて大きく、下の花は遅れて咲いて背も低くやや小さ目です。何となく夫唱婦随を感じさせ、演歌に歌われるのも分からないではありません。群生すると夫婦が大挙して居並びますが、その美しさも尋常でない格別のものになります。我が庭のものは小さな群れですが、野には巨大な群生地があり、その光景は正に春の饗宴です。
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’09 庭の花26 アズマギク 2009.4.10

アズマギク
アズマギク(東菊) キク科ムカシヨモギ属
 東日本の北部から北日本にかけての海岸に生える菊で、ハルジオンなどと同じムカシヨモギ属の仲間です。然るに雑草のハルジオンとは流石にその存在感は異なり、美しくふくよかで気位の高さが感じられます。実は私はこの花の自生を確認した事はないのです。花の写真集で見て強い憧れを抱き、海辺に咲くこの花の群生を想像しては悦に入っていたのです。とこらが、そうこうしている内に私はある園芸屋でこの花を見つけてしまいました。それは山野草の棚にちょこんと座っており、一際眩い薄紫の光を発していました。私はすぐに手に取りレジまで走り、買い求めました。心臓が高鳴っていました。
 今もご覧のように恙無く咲いています。この薄紫は特別で、私の大切な喜びの色です。
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’09 庭の花25 ドウダンツツジ 2009.4.10

ドウダンツツジ
ドウダンツツジ(灯台躑躅) ツツジ科ドウダンツツジ属
 ドウダンとは灯台が転じた呼び名…。そして灯台は海洋を照らす大きな灯台ではなく、古き日本で使われた室内照明用の燭台を指すのです。その枝先に杯状に付く輪生した葉を、灯台に見立てているのです。よく見ると皆様もその様に感じられると思います。如何ですか? 昔の人は実に怠りなくその対象を観察し想像を膨らませているのであり、本当に感心する次第です。
 花は白く小さい壺形で垂れてうつむいており、愛らしさがこぼれます。花の開口部が五裂しくるりと反り返るなど、間近で接しなければ見えぬ魅力があり、虫眼鏡を使えばさらに驚きは増します。ぼんやりと見るのではなく観察眼を持って望めば、新な花の世界が広がって来ると言うものです。
 またこの花は蜜が豊富らしく、引っ切り無しに蜂が飛来してきます。顔を近づけるとブンブンと羽音が聞こえ、うるさくもあります。暫しも休まず蜜集めをする様は感動的ですが、決して私には真似できないと脱帽をしました。そして蜂に生まれなくて良かったと思いました。…でも人間も働き者ですよね…、誰かさんと違って。
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2009年04月14日

’09 庭の花24 ハルユキノシタ 2009.4.7

ハルユキノシタ
ハルユキノシタ(春雪ノ下) ユキノシタ科ユキノシタ属
 本家のユキノシタは普通初夏から夏にかけて咲きますが、このハルユキノシタは読んで字の如く春咲きのユキノシタです。本家のユキノシタに比べれば全体に柔らかい質感を持ち、純白の花穂はふわりと軽やかでいかにも春らしい風情です。観ているこちらも緩々と力が抜けて怠け心が頭をもたげ、春の夢を貪ってしまいそうです。本当に春は心地良く眠い季節ですね!。皆様は如何ですか?。
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’09 庭の花23 シャガ 2009.4.7

シャガ
シャガ(射干・胡蝶花) アヤメ科アヤメ属
 鎌倉にはこの花の大群落を持つ寺(浄智寺など)があり、そこを訪れればこの季節、それは見事な光景に出合う事ができます。その場合、やや遠くからの観望が普通ですが、近付いて一輪を熟視するのも一興です。それはこの花のデザインが素晴らしいからで、その純白の花弁に黄と紫が淡く滲んで溶け込んでいる様は、夢見心地で極めて美しい…。真に春の花と申してよいでしょう。

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’09 庭の花22 ソメイヨシノ 2009.4.7

ソメイヨシノ
ソメイヨシノ(染井吉野) バラ科サクラ属
 他事にかまけて庭の花シリーズの記述が遅れ、この染井吉野は今や葉桜となってしまいました。大変恐縮ですが、私の染井吉野への思いを今、述べさせて頂きます。
 桜は数々あれど、その色、その姿、そしてその散り行く風情、この染井吉野は何処をどう見ても一流であり、文句のつけようがなく、桜の傑作と言えます。特に自然に枝垂れる裾周りの優雅さは傑出しており、遍く人をこの桜に熱狂させる所以でありましょう。そして色。薄紅の底に幽かな紫、それは光の加減で時に姿を現し、絵にも描けない妖艶な色香を漂わせます。その麗しさ愛しさは艶やかな美女と遜色はなく、私はただただ悶え、絶句し、心でそれを味わい尽くすのです。何よりも深い満足を覚えます。
 欠点は二三ありますが、ここでは言わぬが花でしょう…。
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’09 庭の花21 シロバナタンポポ 2009.4.7

シロバナタンポポ
シロバナタンポポ(白花蒲公英) キク科タンポポ属
 白いタンポポ、これは決して人間が手を掛けて作り出したものではなく、自然が自然に生み出したものです。自然は優れた命の揺り籠であり、私達に必要最小限の美しい色彩を提供してくれるのです。野でこの白を見つければ春の清新を感じ取る事ができるでしょう。春の隆盛を誇示する黄色に比べ、白は春の精神を主張する色…、そこからは春の底光りが感じられます。私には四季の第一位にある春の誇りと歓喜が伝わってくるのです。
 
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’09 庭の花20 カントウタンポポ 2009.4.7

カントウタンポポ
カントウタンポポ(関東蒲公英) キク科タンポポ属
 横浜で見られるタンポポは、ほぼ二種類あります。在来の日本種のカントウタンポポと、外来の西洋種の西洋タンポポがそれです。都市化が進んだ横浜では在来のカントウタンポポは減り、西洋タンポポが増殖しています。その理由は生殖機能の優劣の差と開発による土壌のアルカリ化です。アルカリ土壌を好む西洋種は自家受粉と言う優秀な生殖器官まで持ち、繁殖に長け、殖え続けています。日本種は酸性土を好むため、その現状に劣勢で都市部では皆無となり、郊外の一部に僅かに生き残っています。しかししぶとく生き継いでおり、郊外の雑木林の縁などをこまめに探せば必ず見つけられます。この写真のカントウタンポポも、近所の道の土手からタネを採取して育て上げたものです。我が庭では大分増え、西洋種と共生しています。普通の人はこれらを見て「フン」と一瞥するだけですが、私には大切な我が子です。この黄色を見ると、私は嬉しくてたまりません。本当に幸せな気分にしてくれるのです…、「大好き!」
 両種の見分け方は簡単です。花と茎をつなぎ花を包んでいる総苞片の鱗片が完全に閉じて重なっているのがカントウタンポポで、鱗片が開き離れ反り返っているのがセイヨウタンポポです。
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2009年03月29日

’09庭の花19 トキワイカリソウ 2009.3.29

トキワイカリソウ
トキワイカリソウ(常葉碇草) メギ科イカリソウ属
 当年の花の頃まで昨年の葉が紅葉して残る、そんな草ゆえこの常葉の冠が授けられたのです。白い碇、その繊細な光は目映く透き通って私の眼と心を貫きます。驚いて思わず「美しい!」と声を上げたら私は最早この花の虜になっていました。白の魅力に打ちのめされた私でした。
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’09 庭の花18 イカリソウ 2009.3.29

イカリソウ
イカリソウ(碇草) メギ科イカリソウ属
 船の碇に似た花、因って碇草の名が授けられました。自然の造形の不思議さ精妙さをこの花ほど見せ付けるものはありません。真に美しい繊細この上ない碇です。
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’09庭の花17 ヒトリシズカ 2009.3.29

ヒトリシズカ
ヒトリシズカ(一人静、別名・吉野静)
 小さく素朴ですが、キラリとした命の輝きが感じられます。それは見るからに善良で優しく、誰が見ても心癒される事でしょう。私も多くの慰めを貰い大好きな花となりました。「これぞ野草」と言うように野の花の原点を感じさせ、命の大切さを教えてくれているようです。
 別名の吉野静は、吉野山に舞う静御前の姿に見立てたものと言われており、この典雅な花には似つかわしいと心から思います。
 参考・山渓「日本の野草」
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’09 庭の花16 ミヤマキケマン 2009.3.28

ミヤマキケマン
ミヤマキケマン(深山黄華鬘) ケシ科キケマン属
 華鬘(ケマン)とは仏前を荘厳にするための仏具、仏堂の欄間などに飾られています。もともとはインドの風俗として男女の身体を装飾する生花などを用いたものと言われています。この華鬘の形に似た草がケマンソウと名付けられ、そのケマンソウの仲間であるこの草も華鬘を名乗る事になったのです。深い山に生える黄色のケマンソウ、因って深山黄華鬘の名になりました。やや奇異な雰囲気を持つ見慣れない花ですが、私は美しいと思います。
参考・広辞苑 
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2009年03月28日

’09庭の花15 イワヤツデ 2009.3.28

イワヤツデ
イワヤツデ(岩八手・園芸名タンチョウソウ) ユキノシタ科ユキノシタ属
 春、芽を出して直ぐ咲く花は、つやつやとし新鮮な美しさに溢れています。これを昔からの言葉で表すならば“瑞々しい”でありましょう。ところが昨今、巷で使われている“みずみずしい”は水々しいであり、果物や野菜サラダを食した時によく使われます。しかしこんな言葉は昔は無かったのであり、時代が言葉を変えると言えばそれはそれで仕方のない事なのでしょうが、何か勘違いをした言葉使いに思われます。真に残念な事です。
 イワヤツデ、本当に瑞々しい、豊かな草です。誰かが言っていましたっけ…。「本当に美味しそうね!」と…。
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’09庭の花14 オキナグサ 2009.3.28

オキナグサ
オキナグサ(翁草) キンポウゲ科オキナグサ属
 静かに頭を垂れる紫褐色の渋い花、綿毛のある柔らかい姿、こんな草がこの世に存在するなんて、何て素敵な事でしょう。この愛しい姿?…、誰が何と言おうとも、私はこの奥床しい風情を愛して止みません。
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’09庭の花13 バイモ 2009.3.27

バイモ
バイモ(貝母・編傘百合) ユリ科バイモ属
 {美しい花のユリ科…}、そう思われていますが、実は地味な花も多いのです。このバイモもそんなユリ科の草で、決して華やかとは言えません。でも何処か魅力があり、気になる存在ではあります。編傘に似た愛らしい花としなやかな草の姿、花の内側にある不思議な模様…、やはりこれは地味ですけど美しい花(草)なのです。
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2009年03月24日

’09庭の花12 タチツボスミレ 2009.3.24

タチツボスミレ
タチツボスミレ スミレ科スミレ属
 春はスミレの咲く季節、我が庭にもようやく春は訪れ、タチツボスミレが咲きました。この涙色は乙女の色、でも乙女は決して悲しいのではありません。春が来た喜びに震えているのです。そしてその麗しい色香は風になびき、優しい人を恋慕い甘い感傷に浸っています。薄紫は乙女の感傷の色…、仄かに甘い恋の色…。
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2009年03月22日

’09庭の花11 アカヤシオ(紅八染) 2009.3.22

アカヤシオアカヤシオ
 アカヤシオ ツツジ科ツツジ属
 このところ、風の強い日が続き、花の写真撮影は困難を極めています。しかし、花の命は短く花は時を待ってはくれません。特にこの蝋細工のような繊細な花は、風に揺れて枝に当たり痛んでしまうのです。然るに止むを得ず、私は風の止み間にシャッターを切りました。まずまず、ピントの歪みは少なく撮れたと思います。
 ツツジは常緑の種と落葉の種があり、このアカヤシオは落葉の種の中に入ります。落葉種は春に先駆け葉の出る前に花が咲きます。枯れ木に咲くその様は美しく、この花に瞠目する通り掛かりの人は多々おります。その度に私は花の名を尋ねられ、親切丁寧に答えています。皆ツツジの一種であると知ると一様に驚き、更にうなずいて感心されます。けれども誰もを唸らせるその美しさは野にあってこそ格別で、山の断崖を薄紅に染める風情は圧倒的魅力に満ちています。山では初夏に咲き、五月一杯花が見られます。近頃はこの花を求めて登山ツアーも組まれているようです。健脚の方は出掛けられては如何ですか?。
 
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2009年03月18日

’09庭の花10 ゲンカイツツジ(玄海躑躅) 2009.3.18 

玄海躑躅
 ゲンカイツツジ(野生種) ツツジ科ツツジ属 2009.3.18
 ツツジは桜同様、野生でも数々の品種があります。そしてその咲く時期も同じく春であり、各品種が次々と咲き継いで行くのも桜とよく似ています。そんなツツジの仲間でも特に早咲きはこのゲンカイツツジで、日当たりに植えられているのも手伝って、この庭では一番に咲くツツジです。本来はもう少し淡い色をしていますが、この株はかなり濃色で色鮮やかです。その紅紫色は艶やかで成熟した色香を漂わせ、しかも決して下品に堕ちていません。春の麗婦人と言ったところでしょうか。
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2009年03月17日

’09庭の花9 ヒマラヤユキノシタ

ヒマラヤユキノシタ
 ヒマラヤユキノシタ ユキノシタ科ベルゲニア属
 青々と照り映える大きく立派な葉、色鮮やかで豊かな花房、中々に美しい花です。暑さ寒さにもよく耐え、枯れる事は皆無です。世話もせず、日陰に放っておいても早春になると必ず花を咲かせます。正に手の掛からない孝行娘…。その孝行振りに免じて美しく撮ってやりましょう。
 
 
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’09庭の花8 雪割草 2009.3.17

P3170122.JPG
ユキワリソウ(薄紅) キンポウゲ科ミスミソウ属
 薄紅はうら若き乙女の色、何よりも瑞々しい肌の色…。男が…、そして年老いた男でさえもが愛しむ色。それは大きな父性で守り抜くもの、永遠の憧憬を捧げる美しき存在…。
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2009年03月08日

’09庭の花7 ローズマリー

ローズマリー
 ローズマリー シソ科マンネンロウ属 
 昔、私が好きだったサイモン&ガーファンクルの曲に「スカボローフェア」がありました。これは元を辿ればイギリス民謡であり、中世より歌い継がれてきた名のある曲だそうです。この歌の詞にはパセリ、セイジ、ローズマリー、タイムの四つのハーブが登場し、ローズマリーはその一つとしてその名を留めました。私はこの詞に不思議な感覚を覚え感銘を受けましたが、同時にローズマリーと言う美しい名がハーブであった事を初めて知ったのでした。ローズマリーは石灰質の土壌に自生する常緑低木だったのです。
 ローズマリーは主に羊肉の消臭殺菌などに用いる肉料理のスパイスとして使われますが、消炎、血行促進の作用もあるので、薬剤としても極めて有用であるようです。それはポリフェノールと言う成分を多量に含む故の強い抗酸化作用によるもので、今後その利用価値は高まる一方だそうです。
 形態は豊かに枝垂れる灌木であり、その長い枝には無数の紫の小花を付けます。それは四方に枝を広げ長期間見事な姿で壮麗に咲き誇ります。小花はシソ科特有の唇弁で精妙な造りをして美しく、目を見張るものがあります。虫眼鏡で見ると更にその花の驚きの姿が判ります。ご覧あれ! 
posted by 三上和伸 at 10:21| ☔| 庭の花 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月07日

’09庭の花6 雪割草

 雪割草(ゆきわりそう) キンポウゲ科ミスミソウ属
 本来雪割草は三種あり、それぞれミスミソウ、スハマソウ、オオミスミソウの名を持ち、山野に自生しています。この内ミスミソウとスハマソウは全体に小振りで白花が多いのに比べ、オオミスミソウは大きく花色も白の他に紅や紫が混ざり美しく、雪割草と称されるのは主にこの種です。この美しい名の如く雪国に多く見られ、フキノトウなどと同様に雪残る浅い春に咲き出します。我が庭の雪割草もオオミスミソウです。

雪割草・白
 1、白花の雪割草 2009.3.7
 白い花弁に紫の葯(ヤク・オシベの先の花粉の出るところ)、清楚な中にもこの葯の紫がアクセントとなり、微かな色香が感じられます。冴返る春の光彩が底光りしています。

雪割草・紫
 2、紫の雪割草 2009.3.7
 紫は大人の色、気高くも優しい大人の女性の色…、何故男はこの色に憧れるのでしょうか。それは男は何時も子供であり、心豊かな女性に甘えたいから…。その寛容は男の宝物です。

雪割草・薄紅
 3、薄紅の雪割草 2009.3.17
 薄紅はうら若き乙女の色、何よりも瑞々しい肌の色…、男が…そして年老いた男でさえもが愛しむ色。それは大きな父性で守り抜くもの、永遠の憧憬を捧げる美しき対象…。
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2009年03月05日

’09庭の花5 沈丁花 

沈丁花
 沈丁花(ジンチョウゲ) ジンチョゲ科ジンチョウゲ属
 春遅い我が住まいにもようやく沈丁花が咲き出しました。この清冽な香は早春の証、いよいよ季節は上げ潮の潮目を越えたようです。時の移ろいは真に味なもの、既に私は幾つものプレゼントを頂いたのでした。梅に椿に河津桜、菜の花に菫に沈丁花。この世に愛でるもののある人間は、何と幸せな事でしょうか…。その泉からは希望が溢れ出すのです。
 沈丁花は日本に自生はなく室町時代に渡来したものと言われています。その名の由来は沈香(ジンコウ・熱帯地方の樹木・材に芳香)と丁子(チョウジ・熱帯地方の樹木・花に芳香)の香にたとえたものだそうです。
 山渓「日本の樹木」より
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2009年02月18日

’09庭の花4 猫柳の花芽

猫柳
 ネコヤナギ ヤナギ科ヤナギ属
 猫柳、それを眺めていると思わず撫でたくなる衝動に駆られます。これも立派な花の蕾で、この後咲いて、中から雄しべを多数出します。柳は雌雄異株なので、雌花の株と雄花の株に別れています。この木は雄の木なので全ての花が雄花と言う事になります。咲いた姿は蛇腹提灯のようでとてもユーモラスなので、その時再び写真を掲載します。お楽しみに!

猫柳の花
 猫柳の花 2009.3.17
花芽の頃はあんなにふっくらと丸かったのに、今は提灯のように間延びしてぶらっと垂れてしまいました。でも何だかユーモラスで可愛らしくも感じます。真に驚きの変身ぶりですよね…、びっくりです。良く見れば紅色の葯(オシベの先)が分かります。流石にこれも花なので虫が飛来し食事をして行きました。
 
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2009年02月14日

’09庭の花3 福寿草

福寿草 
 フクジュソウ(福寿草) キンポウゲ科フクジュソウ属
 雪深い山地に生える野草です。春、花はいち早く咲き、黄色が荒れ野によく目立ちます。豊かな大輪は福寿(幸福で長寿な事)の名に相応しく、名花の誉れ高い草です。
 昔から園芸化され促成栽培されて、正月頃に咲かせる事が行われてきました。因って元日草の別名もあるのです。我が庭では鉢で普通に育てており、早春の今頃に咲き出します。今は一番花で、この後、茎が伸びて次々と花を咲かせ、大きく立派な株になります。でも私はこの一番花の頃が特に美しいと思っています。
posted by 三上和伸 at 16:10| ☀| 庭の花 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月09日

’09庭の花2 藪椿

ヤブツバキ
 ヤブツバキ(藪椿) ツバキ科ツバキ属
 暖地の海と山の狭間に住んだ者には、藪椿は最も馴染みの深い花…。早春のこの時期、山に入れば必ずこの花に出会えました。風の寒さと太陽の温み、そして椿の色の暖かさ…、少年の日の体感温度が今の私に残っています。
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2009年01月02日

’09庭の花1 スノードロップ

 私が育てている庭の花々は野草が主体です。それは四季の移ろいと共に次々と咲き継ぐ花で、私達に季節を教えてくれます。今年はこの美しい季節の道標を一花一花ここで紹介していきます。2009年の庭の花暦を楽しんでください。
スノードロップ
 スノードロップ(ヒガンバナ科)和名、雪の雫(しずく)
 寒くなると芽を出して何時の間にか咲いている、スノードロップとはそんな奥床しい花です。今年は早々と咲き始めました。その名の謂れは蕾が雪の様に白い雫に見えるためで、愛らしくスノードロップ、雪の雫となりました。雪の雫、それは春を待ち侘びる私達へのささやかな贈り物です。
 何時もながらその一年の一番花はやはりスノードロップでした。
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2008年09月15日

庭の花6 萩

ハギ
 夏が去り行く時、酷暑から逃れほっと一息つく最中、咲いている花はと言えば萩と申せましょう。萩は夏の終わり、否、秋の初めに咲く花で古の万葉人も殊の他この花を愛したようです。万葉集の歌の題材となった花の中で、この萩は最も多くそこに登場しています。草冠に秋、正に萩は生まれながらの生粋の秋の花なのです。
 私は五月下旬にぎっくり腰を患い、それが完治して直ぐ、七月下旬に柱の角に右足の中指を強打し歩行困難となり、右足を引きずる羽目となりました。ここ数カ月、日課の庭仕事に支障をきたし、つい二三日前から漸く足も直り、伸び放題となった雑草の刈り込に精を出す事となりました。この所、陽光は弱く肌には柔らかなのですが、かなり蒸すので汗びっしょりとなり、半日も庭にいると頭はぼーとかすみふらふらとなり、それは厳しいものでした。そんな中この萩は、優しい紅を放ち爽やかに風に揺れて、辛い私を癒してくれました。きっと万葉人も遥かなる遠い古の世で、私と同様に、癒されていたに違いないと確信しました。
 お返事を頂けたら幸いに存じます。 以下へどうぞ!
 メール・アドレス otonotanoshimi_mikami@yahoo.co.jp
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2008年07月05日

庭の花5 小鬼百合

庭の花5 コオニユリ
コオニユリ 
 夏に高原に行くと、数はさほど多くはありませんが、このコオニユリは必ず咲いている姿を見掛けます。一茎に一輪か二輪の花、実にシンプルな美しい立ち姿をして私達の視線を誘います。さらに遮るもののない青天井の下、強烈な陽光を浴びた花のオレンジ色は地の太陽のような輝きを放ち、有無を言わさぬ存在感を見せ付けているのです。そのユリの持つ気品あるふくよかな趣は、高原の他の花には求め得ぬ豊潤な味わいがあり、名花と称するに値するでしょう。
 私はこのコオニユリの球根をスーパーマーケットの野菜売り場で買い求めました。このユリは野生のユリですが実は栽培されており、食用ユリの代表的な品種なのです。暮になると毎年おせち料理用に百合根が販売されています。それを私は買い求め庭に植えているのです。但し、食用に栽培された球根は極端な肥培を受けており、巨大球であり、そのまま植えると数十輪のお化百合になってしまいます。ですから、球根の燐片の多くを引き剥がしこれを調理して食用とし、残りの芯と芯に残した僅かな燐片を地に植えるのです。すると翌年の丁度今頃には、二三輪の野趣に溢れた美しい花が咲くのです。
 現代はユリの品種改良が盛んに行われています。私はそれを苦々しく思ってはいますが、それに反対する気はありません。より多彩な様々な色合いのユリを求める人も多いでしょうし、また生花や切花の需要も高いでしょうから。しかし私はシンプルで清楚な野生のユリを好みます。このコオニユリのオレンジの色、そしてチャーミングなソバカスと言われる斑点のある事。それがコオニユリの魅力であり確かな証なのです。この素敵なデザインと色合いこそが日本のユリの美しさであり、私はそれを愛して止みません。
(近年作出された園芸種のユリは、日本古来の野生ユリの美点であるこの斑点を除く傾向にあります。それはヨーロッパ人の好みであり、明治以来、日本のユリが彼等に弄繰り回され品種改良された結果です。人それぞれに好みあるので仕方ない事と思われますが、私は残念でたまらないのです。)
posted by 三上和伸 at 21:36| 庭の花 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする