茶店で東庵と駒が団子を食べながら茶を飲んでいる場面、駒の涼しい目が際立っていました。美しい…。光秀を愛した一途な娘、身分の違いで恋の成就はならなくなり、しかも光秀は武士の娘・熙子と祝言。光秀とは会わない決意をした駒に、東庵から「何故、美濃に寄らんの?」と聞かれてしまいましたが、「…、…、…」沈黙でした。
東庵は根っからの善良な医者、織田家から四十貫(4万文)を貰うつもりが四貫しか貰わず、駒が嫌味を言っています。それでもこれから伊呂波大夫に紹介された駿河の御大尽の子息の病を治せば、百貫(10万文)は貰えると意気軒昂です。
その駿河への道中の道すがら、二人は藤吉郎(後の豊臣秀吉)に出合います。猿がイメージの藤吉郎、猿にダブらせての登場シーン、嫌な感じでしたね。私は秀吉は嫌いです。確かに天下統一を九分九厘まで成し遂げた功績は偉大ですが、我欲のため、多くの身内(豊臣秀次など)や家臣(千利休など)の首を切っています。秀吉は弟殺しの信長と同じでしたね。信長より始末に負えなかったかも知れません。
信長のお守役であった平手政秀の死、親戚との争い、四面楚歌だった信長に手を差し伸べたのが、帰蝶の父・齋藤利政(道三)でした。信長・利政の会合を仕組んだ利政、利政は会って信長を品定めして、今後の尾張の覇権争いを占うつもりでした。それを見抜いた帰蝶は、渋る信長を誘導して父・利政に会せようとしました。甘い閨(ねや・寝室)での語らい、相変らず膝枕をさせる帰蝶の寛容な優しさ、信長出立の衣裳の選定までもし、そしてその前に、謎の傭兵請負人・伊呂波大夫との傭兵調達交渉、砂金数袋を床に撒いての取引成立、「挨拶代わりじゃ!」との終い文句で、そこを後に…。婚姻して二年は経っている筈ですが、あの光秀に恋しい涙を流したあの帰蝶が、変われば変わるものですね。
美濃では利政が、守護(その国の最高位)の土岐頼芸(よりのり)を追放、正に下剋上そのものを行いました。嫡男の齋藤高政は土岐頼芸の味方、この後親子で美濃の覇権を争い、高政は父殺しをし、光秀熙子夫婦の美濃逃亡の原因となるのです。再鑑賞の妻・熙子、可愛かったです。大好き!