2020年04月14日

間奏曲 麒麟がくる第13話を観ました 2020.04.14

茶店で東庵と駒が団子を食べながら茶を飲んでいる場面、駒の涼しい目が際立っていました。美しい…。光秀を愛した一途な娘、身分の違いで恋の成就はならなくなり、しかも光秀は武士の娘・熙子と祝言。光秀とは会わない決意をした駒に、東庵から「何故、美濃に寄らんの?」と聞かれてしまいましたが、「…、…、…」沈黙でした。

東庵は根っからの善良な医者、織田家から四十貫(4万文)を貰うつもりが四貫しか貰わず、駒が嫌味を言っています。それでもこれから伊呂波大夫に紹介された駿河の御大尽の子息の病を治せば、百貫(10万文)は貰えると意気軒昂です。

その駿河への道中の道すがら、二人は藤吉郎(後の豊臣秀吉)に出合います。猿がイメージの藤吉郎、猿にダブらせての登場シーン、嫌な感じでしたね。私は秀吉は嫌いです。確かに天下統一を九分九厘まで成し遂げた功績は偉大ですが、我欲のため、多くの身内(豊臣秀次など)や家臣(千利休など)の首を切っています。秀吉は弟殺しの信長と同じでしたね。信長より始末に負えなかったかも知れません。

信長のお守役であった平手政秀の死、親戚との争い、四面楚歌だった信長に手を差し伸べたのが、帰蝶の父・齋藤利政(道三)でした。信長・利政の会合を仕組んだ利政、利政は会って信長を品定めして、今後の尾張の覇権争いを占うつもりでした。それを見抜いた帰蝶は、渋る信長を誘導して父・利政に会せようとしました。甘い閨(ねや・寝室)での語らい、相変らず膝枕をさせる帰蝶の寛容な優しさ、信長出立の衣裳の選定までもし、そしてその前に、謎の傭兵請負人・伊呂波大夫との傭兵調達交渉、砂金数袋を床に撒いての取引成立、「挨拶代わりじゃ!」との終い文句で、そこを後に…。婚姻して二年は経っている筈ですが、あの光秀に恋しい涙を流したあの帰蝶が、変われば変わるものですね。

美濃では利政が、守護(その国の最高位)の土岐頼芸(よりのり)を追放、正に下剋上そのものを行いました。嫡男の齋藤高政は土岐頼芸の味方、この後親子で美濃の覇権を争い、高政は父殺しをし、光秀熙子夫婦の美濃逃亡の原因となるのです。再鑑賞の妻・熙子、可愛かったです。大好き!


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2012年04月25日

とっておきの花21 コモロスミレ 横浜 2012.04.25

コモロスミレ
もう十年以上前、このコモロスミレ(小諸菫)のタネを園芸屋で買って、蒔いてみました。すると相当数の双葉が顔を出し、沢山の苗ができました。それを庭に植え、一年後の春には多くの花を咲かせ、そこは一面の紫のしとね(褥・敷物の意)となりました。美しい、本当に美しい…、それは紫の宝石箱でした。しかし、命あるものの宿命、庭のコモロスミレはやがて減り始め、数年後には全滅となり、陰も形も観えなくなりました。ところが、そこからがスミレと言う生き物の不可思議なる本領…。何と、そのまた数年後には、隣の芝地で復活を果たしたのです。神出鬼没の出没を繰り返す草は正に神秘性まで漂わせます。今年もこうしてご覧の如く誇らし気に紫花をつけています。それでも今年の出現は遅く、また絶えたかなと思っていましたが、無事咲き出しました。私の喜びが如何許(いかばかり)であったか、皆様は、分かってくださるでしょうか…。

長野県小諸市で発見されたため、小諸菫の名があります。濃い紫の八重咲き種、菫には珍しい八重咲きであり、ボッテリと重いボリューム感のある花、でも、豊かで美しいです。

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2011年11月04日

とっておきの花20 遅れて来た花、撫子と百合 2011.11.04

カワラナデシコ タカサゴユリ
この二つの花は夏から初秋にかけて咲くもの、晩秋の今となっては、多少遅れたと言い訳できぬ程の遅れ振り、しかしその意外性が私に大きな喜びをくれました。しかも涼しいのでその花時は長く何時までも咲いていて、私はここのところ毎朝夕、この二つの花の前にそっとしゃがみ、愛で、褒めそやしていたのでした。

大和撫子と称される淑やかな河原撫子、歩く姿は百合の花との喩え言がある優雅な高砂百合、何れも一際美しい女性をイメージされています。女性と花、それは男にとって永遠の憧れ…、永遠の宝物…。生涯を費やし守るべき愛の対象…。


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2011年11月02日

とっておきの花19 勢揃いした野菊たち 2011.11.02

カントウヨメナリュウノウギク
ツワブキ
ノコンギクノコンギク選抜種
上段:カントウヨメナ リュウノウギク
中断:ツワブキ
下段:ノコンギク 選抜種ノコンギク

美しいものでしょう、野生の菊は…。野菊ほど庶民の田舎娘を連想する花はありません。野菊の墓の民さんは嫁菜ですが、他の花は誰某に喩えたら良いかしら? 竜脳菊は色白でふくよかなあの娘さん、艶蕗は男勝りで一途なあの姉さん、野紺菊は恥ずかしがり屋で純情なあの娘・でも元気者、選抜種は温泉宿の粋な若女将。何か変かしら?
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2011年10月27日

とっておきの花18 フジバカマ 2011.10.26

フジバカマ
フジバカマ(藤袴)キク科フジバカマ属
フジバカマは西日本に多く自生すると言われていますが減りつつあり、現在準絶滅危惧種に指定され、その存在が危ぶまれています。したがって東日本に住む私は尚更に、野にあるこの草をまだ見た事がありません。この庭にあるのも園芸店で買ったものであり、真の野生種ではないと想われます。しかし葉を乾燥させるとクマリンの芳香を発するので本物のフジバカマかも知れず、その種の確定は定かではありません。秋の七草の一つで渋い淡紫色が好ましく愛する人は多いようです。勿論、私もその一人です。
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2011年10月25日

とっておきの花17 ホトトギス 2011.10.25

ホトトギス
ホトトギス(杜鵑草・油点草)ユリ科ホトトギス属
昨年の秋と今年の夏に二回続けて刈り込まれてしまった私の野草の庭。私と団地の管理組合との意志の疎通の行き違いがあったのですが、この為に多くの草たちを失ってしまいました。噴怒は尽きませんが、悲観していても始まりません。今秋の刈り込みは体を張って阻止をしましたので、一安心、今また初心に戻り、一から育て直そうと決意をしたのです。

そんな中、幾つかの花が生き残り咲き始めました。その一つはホトトギス、白地に紫の斑点が見事、花弁のように見えるのが花被片で、外花被片三枚、内花被片三枚、合わせて六枚があります。このホトトギスは外花被片の方が色濃く大きめです。メシベは筒型に突き出て上部で三裂し、さらにそれぞれが二裂しています。この特異なメシベにも紫の斑点があり美しいです。盛秋の代表的な花で野菊や野原薊(あざみ)などと共に秋の野を彩っています。誠に秋を感じさせてくれる得難い花です。

名の由来は野鳥のホトトギスの腹にある斑点にこの花の斑点をなぞらえ、その名ホトトギスを貰い受けた事に依ります。誰が名付けたのか読み人知らずですが、長い年月の重さ故にか、よく馴染んだ良い名だと思われます。
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2011年07月07日

とっておきの花16 我が庭の至宝 2011.07.06

カワラナデシコ キキョウ
河原撫子に桔梗は秋の七草として余りにも有名ですが、立秋以後に咲くのは標高の高い山里の事、関東以西の下界では夏至を過ぎた頃の開花となります。でも、その風情は如何にも秋の草のもの、美しさはこの上ないですが、一抹の侘しさがあります。まぁ、日本古来の野の草はその得も言われぬいたいけな侘しさが身上なのかも知れませんがね…。

 私は美しい花を人物に喩える癖があるのですが、今、丁度終了したドラマ〜仁〜の登場人物から見立ててみたいと思いました。しかし、既に仁をご覧になられた方なら、この私の企みは疾うにお見通しに違いありませんがね…。「そんなの見え透いているよ!」と軽蔑されそうですが、私は何としても言いたいので敢えて述べさせて頂きます。河原撫子は橘咲で、桔梗は花魁の野風です。撫子は柔らかくしなやかで陽性な咲そのものでありますし、桔梗は鮮やかで鋭利な切れ味があれども、何処か悲しみを湛えた陰性の野風に似るように思います。どちらも私の愛する屈指の花で、これらを愛でたいがために庭を作ったと言っても言い過ぎではありません。また沢山作って撫子と桔梗の花園にいたします。
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2011年05月10日

とっておきの花15 カザグルマ 2011.05.10

カザグルマ
カザグルマ(風車)キンポウゲ科センニンソウ属
今日のとっておきの嬉しい事、何と我が庭に突然のお客様・カザグルマが来訪しました。私は今日まで全くその存在に気付かず、夕方に驚きの対面をしたのでした。植えた憶えもタネを蒔いた記憶もないのです。ただ五六年ほど前、お客様のMさんにこの花の苗を頂き植えましたが、それは疾うに枯れ、その場所には跡形も無いのです。恐らくは、その苗が花を付け実を結び、五メートル先のここまで飛んで発芽をし今日の花となったのだろうと想われます。誠、想像の域を出ませんがそうとしか考えられません。とにかく、驚きの出会いでした。

学名をクレマチス・パテンスと言います。あの美花の誉れ高い園芸種のクレマチスの母種に当たります。と言う事はこれは野生の種と言う事です。カザグルマ、何て颯爽とした良い名前なのでしょう。薫風の渡るが如き佇まい、風薫る五月に相応しい誇り高き名花です。
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2011年05月05日

とっておきの花14 ナニワイバラ 2011.05.05

ナニワイバラ
ナニワイバラ(難波薔薇)バラ科バラ属
祖母のお墓に隣接した民家の庭に咲いていました。勿論、ここに住まわれている方が栽培されているのです。このお隣さんは植物のお好きな方のようで、野菜やハーブに多品種の薔薇も沢山植えられています。見事な庭造りの技をお持ちと見受けられました。

ナニワイバラは中国、台湾原産の野生の薔薇ですが、日本でも多く栽培されています。また和歌山や四国、九州では野生化した自生も見られると言う事です。五弁の一重の純白の花、おまけに芳香まで備える完全無欠の花、余りにも美しかったので一枚撮らせて貰いました。
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2011年04月24日

取っておきの花13 葉山、棚田と野花の里 2011.04.21

私の生まれは横須賀、海と山に挟まれた自然の地で育ちました。当然、私の遊び場はある時は海であり、またある時は山でした。山の端には水を溜める堰があり、その下には十枚ばかりの棚田がありました。また海は砂浜と岩礁が交互に現れる美しい浜辺でした。しかし、今は埋め立てられ、その面影は影をひそめ、住宅ばかりの街となって仕舞いましたが…。

今でも私が思い描く風景は子供の私が観ていたあの50年前の故郷の佇まい…。あれから50年間夢にまで出てきて憧れつづけたあの風景…。あれこそが今の私の自然愛好と懐古趣味の原点になっています。

ところで、そんな風景が今でも近くにあると分かったなら、「〜貴方ならどうする〜」。当然、私は取るものも取り敢えず?そこに駆け付けました。そこは美しい棚田のみならず、溢れるばかりの野花咲く、涙なくしては拝めない桃源郷でした。以来、四季折々に訪ねて、この稀有の楽園を楽しんでいます。この日のように仕事の空き時間でさえも利用して…。

@棚田
葉山の棚田
丁度水が入れられた棚田。畔も綺麗に刈られ、後は田植えを待つばかりのようです。連休を過ぎれば田植えが始まります。その時、また訪ねるつもりです。

A二輪草
ニリンソウ
この地は湧水が豊富なようで林の下には二輪草が群生しています。道の端の土手は秋に下刈を受けているため、更に顕著な群落が観られます。道の端は二輪草の帯となって続きます。誠にこの地は二輪草の里と名しても、一向に差し支えないと断言できます。

B立壺菫
タチツボスミレ
二輪草に負けていないのが、この立壺菫、二輪草にはない仄かな淡紫の色香を匂わせます。正に歓喜を表した色です。こうして石垣の隙間にも入り込んで根を生やし、強い生命力を発揮しています。この芸当は二輪草には真似できないところです。両者、混生していますが、二輪草はやや日蔭の湿潤の地、立壺菫は日当たりのよいやや乾燥の地、上手く棲み分けています。
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2011年04月08日

とっておきの花12 オオシマザクラ 2011.04.08

オオシマザクラ
オオシマザクラ(大島桜)バラ科サクラ属
バラ科サクラ属は名花の集まり、正に日本を代表する象徴的な花の一群です。その中でも染井吉野や八重桜、河津桜の親であるこのオオシマザクラは、多くの園芸種を生んだ桜の母なる女王です。伊豆諸島に自生する野生の桜で伊豆半島、房総半島、三浦半島にも自生は見られます。その花の作りは染井吉野の親だけあり、大きさや密度の高さ等、鑑賞用にも優れた資質を見せてくれます。しかも桜には珍しくその白花にはいい匂いもあり、更に花と同時に出現する葉は鮮緑で美しく、その香を愛で塩漬けにされ桜餅を包むのに使われています。誠に有用な優れものなのです。

私の団地は桜の園、染井吉野や大島桜の外にも小彼岸桜や豆桜、八重桜に寒緋桜、十月桜など多くの桜が咲いてくれます。この大島桜も私のウォーキングコースの一角にあります。
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2010年11月27日

とっておきの花11 ヤツデ 横浜市 2010.11.26

ヤツデ
ヤツデ(八手)別名:てんぐのうちわ ウコギ科ヤツデ属
昨年も野の花として登場させましたが、余りにも美しい咲き振りを魅せられて今年も再びの掲載としました。丁度この晩秋の頃がこの花の咲き頃、清冽な大気の中に見事な華やぎを魅せてくれます。その球体のデザインが何より美しいですね。
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2010年11月21日

とっておきの花10 秋の庭の花三題 2010.11.18

 秋も深まり野も庭も花は一部を除いてもうそろそろお終いになります。この一年、よくぞ私を楽しませてくれました、「ありがとう」。感謝を籠めて花に礼を言いたいと思いました。そしてそんな中、我が団地の庭にも名残の花達がもう一咲きしてくれました。ツワブキとリュウノウギクにジュウガツザクラ、待ってましたとばかり勇んで咲き出しました。その美しさに乾杯、その健気さに勇気。その慈しみに感謝。

ツワブキ 
ツワブキ
咲き出したばかりの花、柔らかく瑞々しい黄色が鮮烈です。潮風が似合う蕗で、思わず青い海が目の当たりに浮かびます。海の傍で育った者には馴染み深い花です。

リュウノウギク
リュウノウギク
野生の菊とは言え流石は菊の花、画面からはみ出す華やぎがこの花の身上です。竜脳に似た香りもめでたく、秋に香るキク科キク属の正真正銘の菊花です。

ジュウガツザクラ
ジュウガツザクラ
春と秋に咲くもジュウガツザクラと言われます。ぽつぽつと少しずつ咲き、決して満開にならないのがこの桜の特徴と言えます。何処となく寂しいですが、その寂しさも愛らしさに同化させてしまう仄々とした優雅さがあります。実に切なく愛しい晩秋の桜です。
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2010年11月18日

とっておきの花9 ミゾソバ 逗子市池子・神武寺裏参道 2010.11.07

ミゾソバ
ミゾソバ(溝蕎麦)別名:ウシノヒタイ タデ科タデ属
殊更、とっておきの花に入れる程の美しさではないのですが、私が大好きなのでここに入れさせて貰いました。ミゾソバは過去に木曽漫歩の折に野の花に加え紹介をしました。あの時の感動が再び蘇りました。この参道の小さな沢の畔にも愛らしく咲き競い、沢山の仲間で群れていました。

 別名のウシノヒタイは葉の形が牛の額に似ているからですが、まあ、何となく似ているかなーと言うくらいですかね…。
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2010年11月04日

とっておきの花8 秋の花二題 鎌倉十二所 2010.10.22

 少し前に十二所(じゅうにそ、じゅうにそう)で撮った花で、しかも以前にも登場した花なのですが、私としては美しいと思いますので、とっておきの花として掲載させて頂きます。私が大好きな花なので…。ね!美しいでしょ!

タマアジサイ
玉紫陽花
野生の紫陽花の中では都会近くでもある花。こんな美しい紫陽花が身近な山にあるなんて驚きです。それにしてもこの株のこの花は美しい…、類稀です。溜息が出てしまいます。

ノコンギク
野紺菊
秋の山へ入れば必ず出会う花。思わず気付き思わず見惚れてしまいます。そんな自然な風情を醸す山の乙女。この麗しい田舎娘に、私はぞっこんです。

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2010年09月28日

とっておきの花7 シュウカイドウ 日向薬師参道 2010.09.26

シュウカイドウ
棚田を一巡りし、大いに曼珠沙華を楽しんだ後は、やおら日向薬師本堂に向かい歩を進めました。参道を歩き始めるとすぐ道端にはシュウカイドウが群れていました。余りにも美しかったので歩を止め暫し眺めました。大株に沢山の花を付け、それは見事な華やぎを魅せていました。茎までも紅に染めた秋の海棠。あの春に咲く花海棠のように美しいと海棠の名を頂戴し、この名・秋海棠と名付けられました。

 ベゴニア類と同属のシュウカイドウ科の多年草で球根植物です。中国南部の原産で日本には江戸期に渡来しました。雌雄同株異花で、一つの株で雄花と雌花があります。タネは実り、タネでも殖えますが、葉腋にできる珠芽(むかご)でも繁殖します。ヤマイモと同様に土に落ちた珠芽が発芽成長して新たな株を作るのです。二重三重の繁殖の仕組みを持つ、シュウカイドウは優れものです。
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2010年08月05日

とっておきの花6 サギソウ 2010.08.05

サギソウ サギソウ
サギソウ(鷺草)ラン科ミズトンボ属
待ち望んでいた鷺草の花がようやく開きました。今朝、水遣りのため観に行った所、既に花開いていました。一際白い純白の花、私を涼やかな気分にしてくれました。

 この一鉢は私のお客様のNさんが下さったもの。大切に作られて咲くばかりにまで育った株を分けて下さったのでした。有難うございました。見事に咲きましたよ! Nさんは大変趣味の広いバイタリティ溢れるカリスマ主婦の方です。園芸は勿論、音楽にも造詣が深くていらっしゃいます。お元気で励まれてください。

 この株は恐らく園芸種ですが、鷺草は本来は湿地に自生する野生の花です。昔は東京都のような湿地の多い都市近郊にはよく観られたそうです。まあ開発で全滅を余儀なくされたようですが? 残念です。

 花から垂れ下がっているのは、距と言う部位ですが、ここに蛾を誘う蜜が蓄えられているそうです。花は複雑であり、少し詳しくお知りになりたければ、ネットで簡単に調べられます。

 追伸: サギソウの花粉媒介をする虫は蝶ではなくスズメガの仲間でした。スズメガも長い口吻を持ち、サギソウの長い距にも十分対応できるのだそうです。しかもスズメガは強い飛翔力を持ち、広範囲を飛び回る事ができ、サギソウの繁殖に大いに力を貸す事になるそうです。

 先に東京都にも昔は鷺草が自生していたと申しましたが、鷺草は世田谷区の区の花だそうです。嘗ては区内に大群落があったそうです。観てみたかったですね。
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2010年07月30日

とっておきの花5 ユウスゲ 2010.7.30

ユウスゲ
ユウスゲ(夕菅)別名・キスゲ ユリ科ワスレグサ属
恐らくユリ科ワスレグサ属の中では最も美しい花と思われます。そして時筆すべきはこの花の香です。何処か河原撫子に似た仄かに甘い爽やかな香を持ちます。姿形の良さに加え香まで備わっている、正に河原撫子に匹敵する優れた名花です。

 夕菅の名の通りこの花は夕刻にひっそりと花開きます。そして翌日の午前中には早くも萎んでしまう一夜花です。人知れず闇に咲き日向に萎む陰の花。その儚さを愛すると言ったならばこの花に失礼でしょうか?

 写真は午後六時頃のもの、開いて間のない汚れない生まれたての花…。
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2010年07月15日

とっておきの花4 コムラサキ 2010.07.15

ムラサキシキブ
コムラサキ(小紫)クマツヅラ科ムラサキシキブ属
秋に美しい紫の実を生らす木、しかしその花を知っておられる方は少ないのではないでしょうか? 私もこんなに美しい花を咲かすとは知りませんでした。中々繊細な作りで華やかさもあります。これもこの公園に植栽されているものなので、真の自生ではないのですが、何れこの季節に野に入り野生の咲き振りを確かめようとは思っています。
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とっておきの花3 ヤマハギ 2010.07.15

ヤマハギ
ヤマハギ(山萩)マメ科ハギ属
昼間、仕事の空き時間に、何時もの散歩コースの自然公園を訪ねました。すると道端には二三の種類の萩が咲き始めていました。随分早い開花だなと思い今図鑑で調べたところ、萩も夏から秋にかけて咲く花のようでした。撫子、桔梗、女郎花と同様に萩も下界では七月が咲き始めの目安のようです。ほんの数輪所々で綻び始めたのですが、余りに綺麗だったので写真に撮りました。萩は種類が多く、種の見極めは難しいのですが、これは枝が枝垂れておらず、山萩と断じました。花の形が小さな蝶のようで可愛いでしょ!
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2010年05月20日

とっておきの花2 アヤメの花比べ

 いずれはアヤメかカキツバタと言われるように、アヤメの類は見分けが付き難いと人は言います。そこでそんな方々に私がアヤメ科アヤメ属の花を一堂に集めて、お教え致しましょう。何れも美しい花ですが、ここに載せるのは日本に自生する野生種であり、花菖蒲やアイリスなどの園芸種は入れていません。
 
シャガ(射干、胡蝶花) 2009.04.07
シャガ
美しい花模様が蝶のように見えたのでしょうか。胡蝶花、素敵な名前を付けたものですね。またシャガの名は桧扇に似る葉から導き出され、桧扇の漢名の射干(しゃかん)を当てたものです。
花は一日花であり、朝開いて夕刻には萎みます。美人薄命ですかね。

ヒメシャガ(姫射干) 2009.05.01
ヒメシャガ
シャガより更に紫が濃い美しい花です。小振りですが多花性であり、株一面を花が覆い尽くします。誰をも惹きつける魅力ある花です。

アヤメ(文目) 2010.05.18
アヤメ
はなびら(外花被片)の基部には黄色と白及び紫色の虎斑模様があります。これが文目の名の所以です。湿原の縁や草原に多く、良く群生します。アヤメ(菖蒲)の中の正真のアヤメです。

カキツバタ(杜若、貌佳草) 2010.05.18
カキツバタ
外花被片には虎斑模様がなく、白色の楔模様があります。故にシンプルな作りであり、明るい紫の色と相俟って端麗な佇まいを魅せます。湿原に群生する花で、一度は観る価値があります。それは驚愕の紫の海となります。

ヒオウギアヤメ(桧扇文目) 2010.05.18
ヒオウギアヤメ
最も高山型のアヤメで、湿原の地塘などでよく見られます。その外花被片には立派な虎斑模様があり、自らアヤメである事を主張しています。高山の透明な光の中でその薄紫は冷気を誘い、山人に暫しの涼みと安らぎを与えてくれます。

キショウブ(黄菖蒲) 2010.05.18
P5181562.JPキショウブ
明治の頃に渡来した外来種です。初めは鑑賞用に育てられていましたが、やがて半野生化し都市近郊の水田や沼に自生しています。五月の陽光に照り映える黄色は正に金色へと昇華し、圧倒的な輝きを呈します。

ノハナショウブ(野花菖蒲) 2009.06.10
ノハナショウブ
菖蒲園などで見られる園芸種のハナショウブの親(原種)です。この親子、基本は同じ性質なので花時は六月で一緒です。普通のアヤメ類に比べ一月前後遅く咲きます。
 京紫と呼ばれる赤みの強い紫と外花被片基部の黄色の楔模様、そして無駄を排したスレンダーな立ち姿、誠に気品に満ちた出で立ちです。子孫の花菖蒲達にはない野生の輝きがあります。
 私は京紫の貴婦人と称してこの花を称えたいと思います。
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2010年05月18日

とっておきの花1 庭のカキツバタ 2010.05.18

カキツバタ
カキツバタ(杜若、別名・貌佳草《カオヨグサ》、アヤメ科アヤメ属)
私がアヤメの仲間で最も好きな花、何よりもそのすっきりとした花の作りが素晴らしい…、端正の言葉が一番似合う菖蒲です。この紫薫る原生の美人を私は自然の中で愛でるのが好みです。水芭蕉で紹介した居谷里湿原で過去二回、私はこの花と逢瀬を重ねました。しっとりと濡れて…品を作って…その人は淑やかなる華やぎを魅せて私に頬笑みました。
posted by 三上和伸 at 21:06| とっておきの花 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする